1話 転生したら
眩しかった。一瞬、死んでなくて生きてたのかと思った。白い天井が見えるまでは生きてると思った。
でも1歳にも満たない子供とその親らしい人が来て、俺に「かわいいなぁ」と話しているのを見て察した。
「(あっ、この流れって……)」
そうして少し、本当に少しだけ目を開いて自分を見た。ちっちゃくて丸い足と手が写った。
「(転生して、生まれ変わったのか…)」
そんな転生事件から15年が経過した。
「こら!起きろバカ弟!」
「あぁー!毛布取るなよ!寒いだろ!」
「朝ごはんだから起きろ!」
そう言って聖域から引き摺り下ろされた。彼女は俺の姉で如月ひよりと言う。そして…、
「早く起きないと前世で読んでたラノベの名前を親の前で叫ぶけど?」
「起きさせてもらいます!」
そう、転生した俺の姉となった人は俺の前世の妻でした。いやなんで?ほんとになんで?
ちゃんと喋れるようにお互いがなった時に初めて言われた言葉は「久しぶりだね、健自!」だった。本当に鳥肌が立ったことを今でも時々思い出す。
嬉しい半分困惑半分ってところだ。
「姉ちゃん、朝ごはんは?」
「白米と目玉焼き」
「ありがと」
そういって食卓につく。いま、この家には姉ちゃんと俺の2人だけだ。両親は海外に長期出張に行っている。去年から海外に行って、それからほとんど帰ってきていない。もう向こうに移住したようなもんだ。
「もうすぐ高校生か、はやいね」
「そうだな、同じクラスだと面白そうだしなって欲しいかな」
今は春休み、来週からはお互い高校生になる。ちなみに俺と姉ちゃんは同じ年に生まれているので同級生となる。姉ちゃんが4月、俺が3月生まれだ。
「確かに、でももしそうなったら問題児2人っていう先生からしたら最悪の状況になるね」
「おい、勝手に俺まで含めるなよ。問題児なのは姉ちゃんだろ?」
「何だとこのやろー」
そういってペチペチとお互いをはたき合う。毎日細かいことで言い合ってはこうなる。じゃれあいみたいなものだ。
「とりあえずご飯食べ終わったし、戦う?」
「いいね、いつも通りのルール?」
「今日は三本先取ね、このあと出かけるから時間ないし」
「了解、じゃあやりますか〜」
そうして外、庭に出て木刀を構える。戦いというのは模擬戦のことだ。お互い剣とか銃が大好きなのだ。正確には俺が好きだったのを見て彼女も好きになったというところだ。
「じゃあ行くよ、3…2…1……GO!」
その合図と同時にお互いが踏み込んで壮絶な斬り合いになる。お互いがかなりの剣の使い手なので毎回こうなってしまうか、得意技で一瞬で終わるかの二択だ。
前者の方が練習にはなるので出来るだけそうなるように気をつけている。
「今日は俺の勝ちだな」
「うぅ、私の連勝記録がっ…」
「はいはい、じゃあ用意して出かけるか」
「OK〜!15分後には来てよ?」
頷いてから部屋に戻っていく。
今日はこれから文房具などを買いに行くのとゲームセンターに遊びに行くのだ。
昔からよく2人でゲーセンに行っていた。よくやるのは音ゲーだ。これは彼女が好きで誘われてやって俺がハマったパターンだ。音ゲーの曲って世界観がすごいと思うんだよね(布教)。
買い物を終わらせて筐体の前に立つ。
「順番に3回ずつ決める?それとも6?」
「気が済むまででしょ」
そう言って曲を投げる。もちろん勝負もしているので得意曲を投げた。
「あぁー!私の苦手なの投げないでよ!」
「俺が得意なんだよ!そう言うお前も投げるじゃん」
「そうだけど…」
またくだらない言い争いをして音ゲーと向き合う。
結果は圧勝だった。
もう少しの間は日常要素多めで行きます。
ちなみに作者は月に行く計画の名前の曲を作った方が大好きです。