3 王都に行く
家出後初仕事は護衛だ。しかも女性限定の依頼だ。
3 王都に行く
冒険者ギルドに行った。受付の人に挨拶した。受付嬢が待ってましたとばかりに声掛けて来た。
「あなた達に是非頼みたい依頼があるのよ。護衛依頼よ。女性限定の依頼なの。依頼料は高くないしそれに徒歩だけど目的地に着いたら礼金があるそうよ。討伐で死んだ人の奥さんと女の子達なの。ギルドとしても何とかして上げたいけどあなた達以外当てがないのよね。その代わりこれをやってくれたらランクアップ2人ともするわ。本当は条件に足りないけどこの件を無理にお願いしたことにすればクリアーなの。受けてくれる。」
詳細を聞いて訪ねることにした。小さな借家だ。ノックすると30歳くらいの女性と子ども達だ。7歳くらいと4歳くらいの少女たちだ。あからさまにガッカリされた。
「Dランク冒険者のマリエールとシルビアです。依頼より護衛に来ました。アイテムボックス持ちなので何でも持つていけます。何でも言ってください。」
ほとんど全て荷物がアイテムボックスに入った。近日中出て行くことは話して精算済ませたので直ぐ手掛けられるそうだ。
目的地まで300キロほど。この人達なら集団転移でも抱いてフライも出来そうだが、いきなりそんな手に頼るのは間違いだと思う。
マリエールが7歳の子、シルビアが4歳の子を抱いて出発した。女性は割と健脚だ。午前中歩いても音を上げない。午後一時頃に河原でシートを敷いて保存食料と飲み物を出した。
「すみません。護衛の食料は依頼した方が出す筈なのに。」
母親は恐縮したようだ。
「あの家で判ったのですがあまり裕福とは思えません。到着後の生活も考えれば出費は最低限に抑えるべきでしょう。」
柄の悪そうな5人組の男達が近寄って来た。マリエールは前に立つ。酒の匂いもする。
「家族仲良くピクニックかい。俺達も混ぜてくれよ。」
チンピラのリーダーが声を掛けて来た。
「私達はDランクハンターで護衛任務中です。任務を妨害するなら殺します。」
周りに人陰ない。今な゙ら出来る。
「糞生粋な小娘が、誰を殺すだと。これでも喰らえ。」
と殴りかかってくる。殺すと決めた相手だ躊躇いはない貫通魔法を放ち収納した。母親は唖然としたが何も言わない。
「ここは離れるべきでしょう。移動しましょう。」
荷物をまとめて5人で固まった。
「集団転移をします。お互い手を繋いで下さい。」
行程を3分の2ほど来たところだ。母親は見知ったところらしい。先程と同じ人気のない川岸だ。
「後2,3日でつきます。ゆっくり行きましょう。」
また子ども達を抱いて出発した。日が傾いて来た。人気のない原っぱで亜空間を開き中に入った。
「今日の宿泊場所です。お風呂がありません。水を出しますのでタオルを濡して身体を拭いてください。着替えは持って来ましたので着替え下さい。」
たらいは借りた。着替えも出した。
私達は食事の準備をした。テーブルも食器も全て借りた。フライパンも借りて、オーク肉を焼いた。後は保存食料だ。子ども達は美味しいと言ってくれた。私達が持って来た絵本をシルビアが読み聞かせた。マリエールは明日以後の事を母親と打ち合わせた。
母親と娘達のような一行だ。ちょっかいを出そうとする輩もいる。絶対に許さない。