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体育祭だってよ3

すめらぎ うぃん:元地域最強クラスの男子高校生、すめらぎ 勝利しょうり。現在は親族の意向により女体化しており、女性として生きることを決意。一ヶ月の入院生活により、筋力は一般女性クラスまで低下している。一人称はアタシ。


九頭龍くずりゅう 慎吾しんご:私立清峯学園二年生、双龍の片割れ。成績を重要視しており、喧嘩は勉強のストレス発散として位置付けている。基本的に人付き合いが悪い。一人称は僕。


十三じゅうぞう 龍也たつや:私立清峯学園二年生、双龍の片割れ。のんびり屋。勝利とは幼馴染。実は負けず嫌い。一人称はオレ。

「それにしても」

 アタシは顎に指を添えるとニヤリと笑う。


「なんと言っても最高なのは棒倒しだよな!…思わぬ伏兵が現れると上がるんだよ、特に運動部の連中は面白い…新入生にも小倉みたいなイキのいいヤツもいるしな!ワクワクするぜ」

 当日の乱戦を妄想するだけでニヤニヤが止まらない。

 ふと前を見ると、慎吾が哀れみの表情でこちらを見ていた。


「…何だよ慎吾?」

「素が出るほど喜ばれているところ恐縮ですが…」

「素?…あ」

 思わず口元を手で覆う。


「…『うぃんさん』は、応援を頑張ってくださいね?」

「…」

 棒倒しは全学年を二分して行われる、『男子』の競技だ。

 もちろん、今のアタシは『女子』に分類されるので、参加は出来ない。

 …。


 え、参加出来ないの?


「え?」

「『え?』ではありませんよ、本当に危ないので応援側でお願いします」

「じいちゃんに直訴してくる」

「やめてくださいッ!!!」





ーー休み時間。


「…アタシ史上、最高レベルに不満。今の状況、不満」

 机にほっぺたをくっつけて愚痴を漏らす。


「まーねー、うぃんちゃん、殴り合い大好きだもんねー」

 たっつんが笑いながらアタシのほっぺたをつつく。

 遠くの方で一部の女子達がこちらを見ながらキャーキャー言っている。

 殴り合いが大好きだったのは、あくまで勝利の時であって、今のアタシはそこまでではないものの。


「こればっかりは、しゃーないねー。うぃんちゃんに怪我されたら、オレもイヤだしさー」

 たっつんがアタシの頭に手を置く。

 響く嬌声。学校でなんつー声出してんだ。



挿絵(By みてみん)



「アタシだってわかってるけど、納得は…いや、納得しなきゃいけないんだけどさぁ…」

「かくいうオレもさー、今回はちょっと楽しみなんだよねー」

「え?」

 たっつんが手を引っ込めて、両手の指をバキボキと鳴らす。


「『狼山小倉』…ルーティンの時は我慢してっけどさー、競技なら仕方ないよねぇー」

「…お、おぅ」

 たっつんの目がガンギマリ。

 今でこそ双龍と小倉は協力体制を取っているが、双龍は二人とも小倉に敗北している。なるほど、内に秘める気持ち、察して余りある。


「その、たっつん…アタシの立場からは非常に言いづらいんだけど…」

 アタシは両手を合わせて口の前に持ってくる。


「…リベンジ、決めちまいな?」

「あいあいー」

 たっつんが鬼のような形相で笑った。

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