体育祭だってよ3
皇 うぃん:元地域最強クラスの男子高校生、皇 勝利。現在は親族の意向により女体化しており、女性として生きることを決意。一ヶ月の入院生活により、筋力は一般女性クラスまで低下している。一人称はアタシ。
九頭龍 慎吾:私立清峯学園二年生、双龍の片割れ。成績を重要視しており、喧嘩は勉強のストレス発散として位置付けている。基本的に人付き合いが悪い。一人称は僕。
十三 龍也:私立清峯学園二年生、双龍の片割れ。のんびり屋。勝利とは幼馴染。実は負けず嫌い。一人称はオレ。
「それにしても」
アタシは顎に指を添えるとニヤリと笑う。
「なんと言っても最高なのは棒倒しだよな!…思わぬ伏兵が現れると上がるんだよ、特に運動部の連中は面白い…新入生にも小倉みたいなイキのいいヤツもいるしな!ワクワクするぜ」
当日の乱戦を妄想するだけでニヤニヤが止まらない。
ふと前を見ると、慎吾が哀れみの表情でこちらを見ていた。
「…何だよ慎吾?」
「素が出るほど喜ばれているところ恐縮ですが…」
「素?…あ」
思わず口元を手で覆う。
「…『うぃんさん』は、応援を頑張ってくださいね?」
「…」
棒倒しは全学年を二分して行われる、『男子』の競技だ。
もちろん、今のアタシは『女子』に分類されるので、参加は出来ない。
…。
え、参加出来ないの?
「え?」
「『え?』ではありませんよ、本当に危ないので応援側でお願いします」
「じいちゃんに直訴してくる」
「やめてくださいッ!!!」
◆
ーー休み時間。
「…アタシ史上、最高レベルに不満。今の状況、不満」
机にほっぺたをくっつけて愚痴を漏らす。
「まーねー、うぃんちゃん、殴り合い大好きだもんねー」
たっつんが笑いながらアタシのほっぺたをつつく。
遠くの方で一部の女子達がこちらを見ながらキャーキャー言っている。
殴り合いが大好きだったのは、あくまで勝利の時であって、今のアタシはそこまでではないものの。
「こればっかりは、しゃーないねー。うぃんちゃんに怪我されたら、オレもイヤだしさー」
たっつんがアタシの頭に手を置く。
響く嬌声。学校でなんつー声出してんだ。
「アタシだってわかってるけど、納得は…いや、納得しなきゃいけないんだけどさぁ…」
「かくいうオレもさー、今回はちょっと楽しみなんだよねー」
「え?」
たっつんが手を引っ込めて、両手の指をバキボキと鳴らす。
「『狼山小倉』…ルーティンの時は我慢してっけどさー、競技なら仕方ないよねぇー」
「…お、おぅ」
たっつんの目がガンギマリ。
今でこそ双龍と小倉は協力体制を取っているが、双龍は二人とも小倉に敗北している。なるほど、内に秘める気持ち、察して余りある。
「その、たっつん…アタシの立場からは非常に言いづらいんだけど…」
アタシは両手を合わせて口の前に持ってくる。
「…リベンジ、決めちまいな?」
「あいあいー」
たっつんが鬼のような形相で笑った。




