体育祭だってよ2
皇 うぃん:元地域最強クラスの男子高校生、皇 勝利。現在は親族の意向により女体化しており、女性として生きることを決意。一ヶ月の入院生活により、筋力は一般女性クラスまで低下している。一人称はアタシ。
九頭龍 慎吾:私立清峯学園二年生、双龍の片割れ。成績を重要視しており、喧嘩は勉強のストレス発散として位置付けている。基本的に人付き合いが悪い。一人称は僕。
兎月 美未:私立清峯学園二年生。うぃんのクラスメイトで、大人しめの性格。あずきとのいじめ問題は解消され、今は最初のような仲良しに戻っている。一人称は私。
狼山 あずき:私立清峯学園二年生。うぃんのクラスメイトで、美未の親友、小倉の姉。美未のいじめ問題を通じて、二人の仲は深まることとなった。一人称はウチ。
「障害物走かぁ…アタシに合うと思う?」
「はい、相性抜群だと思います」
美未ちゃんがニッコリ笑う。
「身体能力こそ低下されたのかもしれませんが、身体をどう扱うかという点については健在のようなので、障害物走ではかなりの好成績を残せるのではないかと」
「…なるほど、相変わらず納得の根拠」
アタシがほへーと美未ちゃんを見ると、美未ちゃんは恥ずかしそうにはにかんだ。
「わかった、アタシは障害物走で輝くよッ!」
ーーガタッ!
椅子から立ち上がり天高く指を突き上げる。
しかし、クラスにはなんとなくガッカリした空気が漂った。…なんだというのか。
「クラスの大半がうぃんと二人三脚したかったって事だし」
「例えそうだとしても、アタシの決意に水をさすのはいかがなものか!」
ぷくっと頬を膨らませて見せると、周囲から「おぉ…」という息が漏れた。本当になんなんだ君たちは。アタシが勝利だった時に一度でもそんな反応してくれた?性別がそんなに大事?解せぬ。
「かくいう僕も、残念だと思ってしまった一人です」
「…いたの慎吾」
「相変わらず辛辣ですね」
いつの間にか近寄ってきていたらしい。なんでコイツ嬉しそうなの。
「僕がうぃんさんと組んだあかつきには、確実に1位を捧げていましたよ」
当然だと言わんばかりに胸を張る慎吾。
「アンタの力で勝って何が嬉しいのよ」
「…これは手厳しい」
「アタシは、勝利という目標に向かって一緒に共感出来る相手が欲しかったの。だから、二人三脚という案を出したわけ。まぁ、美未ちゃんの助言でアタシの種目は変わったけど、チームとして勝利に向かうという意味では変わってないから」
「なるほど、そういうことでしたか」
慎吾がうんうんと頷く。
「そういう事でしたら…」
美未ちゃんがスッと手を挙げる。
「私と組んでいただけませんか?九頭龍さん」
「…兎月と?」
慎吾が怪訝な表情で美未ちゃんを見る。
対する美未ちゃんは、双龍を相手に不敵な笑みを浮かべている。
「ええ、私とです。言っておきますと、私、運動は得意ではありません」
「…まぁ、それは僕の認識通りだが、なぜ僕がキミと組まなければならない」
「先ほどうぃんちゃんが言ったではありませんか。『チームとして勝利に向かう』と」
「…そういうことか」
慎吾が額に手を当ててうつむく。
「つまり、足手纏い(あしでまとい)のキミを勝利に導いて、うぃんさんの言うチームでの勝利に貢献しろと、そういうわけか」
「ご明察です」
美未ちゃんがニッコリと笑う。
「…全く、うぃんさんの利を持ち出されて、僕が断れるわけがない」
「ありがとうございます、九頭龍さん」
クスクス笑う美未ちゃんとは対照的に、慎吾はガックリとうなだれている。
…美未ちゃん、相変わらずなんて見事な立ち回り。本当の所マジでこの子、転生でもしてるんじゃないの?




