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体育祭だってよ1

すめらぎ うぃん:元地域最強クラスの男子高校生、すめらぎ 勝利しょうり。現在は親族の意向により女体化しており、女性として生きることを決意。一ヶ月の入院生活により、筋力は一般女性クラスまで低下している。一人称はアタシ。


十三じゅうぞう 龍也たつや:私立清峯学園二年生、双龍の片割れ。のんびり屋。勝利とは幼馴染。一人称はオレ。


兎月とつき 美未みみ:私立清峯学園二年生。うぃんのクラスメイトで、大人しめの性格。あずきとのいじめ問題は解消され、今は最初のような仲良しに戻っている。一人称は私。


狼山ろうやま あずき:私立清峯学園二年生。うぃんのクラスメイトで、美未の親友、小倉の姉。美未のいじめ問題を通じて、二人の仲は深まることとなった。一人称はウチ。

【五月二十日(月)】

「という事で、今年の体育祭は組で分かれて争う事になります。私達は二年A組なので、一年A組、三年A組と協力して取り組む事になります」

 学級委員、美未ちゃんの言葉をきっかけに教室がざわつく。

 美未ちゃんは今まで表に出るタイプでは無かったらしいが、アタシがいじめを解決した事で、積極的に頑張ってみたくなったとの事だ。良き。


「今から配るプリントに出場種目が書いてあります。これから10分間話し合いの時間をもうけますので、自分が出場したい種目を選んでください」

 美未ちゃんは連絡事項だけ伝えると、アタシの方へ駆け寄ってきた。


「うぃんちゃんは何に参加されるんですか?」

「んー難しいなぁ、ほら、アタシ性別がさ…だからちょっと勝手がわからなくて」

 へへへと笑うと、美未ちゃんも笑った。


「そうですよね、身体能力との兼ね合いもありますし、いきなりこれ!というのは難しいですよね」

「そうなのよー。でもね、今年はアタシも頑張るから!父さんと母さんも来るって言ってたし、何より…」

「何より?」

 美未ちゃんが続きを促すようにこちらを見る。


「何より…今年は、一緒に楽しめる友達がいるから」

「あ…、…ふふ」

 美未ちゃんが微笑む。

 今までのアタシは、家庭の問題で行事ごとに無関心だったが、色々あって今年は変わった。その影響の一部で、アタシにも友達が出来た。だからアタシは、友達と一緒に学校行事を積極的に楽しもうと思っている。


「うぃん、約束だかんね。ウチ、走るよー」

「あずき!覚えててくれたんだ!」

 いつの間にかアタシの席に来ていたあずきが微笑みかけてくれた。


「当たり前っしょ、そんな薄情じゃねーし」

 あずきはそう言うと自分の頬を人差し指でかいた。

 あずきは美未ちゃんの方を見ると、


「美未、代表リレーに出るにはどうすりゃいいの?」

「えっとね、今年は100m走の成績上位者がリレーに選抜される事になってるよ」

「なるほどね、じゃあウチは100m走エントリーだわ」

 あずきがニヤッと笑う。


「きっと出れるよ!デスティニーパークの時さ、あんなに速かったのに余裕あったんだから、応援してる!」

 アタシは両手でガッツポーズを作り、あずきを賞賛する。

 あずきは目を見開くと、すぐに穏やかな表情を浮かべる。


「応援してくれるなら、あん時みたいにもっかいハグするし?」

「え」

「ダメです」

 美未ちゃんの神速の却下が炸裂した。



挿絵(By みてみん)



「うぃんちゃんは何に参加されるんですか?」

 サラッと話題を変える美未ちゃん。

 んー、アタシはなんだろうなぁ。


「二人三脚とか?」

「「「ガタッ!!!」」」

 アタシの周りを含む教室内が一瞬ザワつく。


「…え、何?」

 アタシの呟きだけが響く。

 すると、美未ちゃんがアタシ鼻先に指をつけてくる。


「私達だけでは飽き足らず、まだとりこを増やそうと言うんですか?」

「え!?いや、アタシは自分の体力低下をたっつんあたりに補ってもらおうと思っただけで…」

「…オレはパスー」

 遠くの方でたっつんが気だるそうに返事する。


「…いきなり振られたんだけど」

「うぃんちゃん、今回も自覚されていないようなので説明しますが」

 美未ちゃんがメガネをクイっとあげる。


「今のうぃんちゃんは可憐なだけでなく、中間試験で成績上位を取り、さらに皇という名字から学園関係者であると噂されている超優良物件なんですよ」

「…マジで?こんなにガサツなのに?」

「…マジです」

「…世も末だな」

 ようやく理解しましたか、といった様子で美未ちゃんが離れる。


「つまり、そんなアタシが二人三脚なんて言い出したもんだから」

「はい、きっかけ作りにこれ幸いと周囲がざわついたわけです」

 女の子になっても学園パンダ具合は相変わらずなアタシだった。


「とは言っても…アタシのなけなしの体力じゃ100m走なんて到底無理だし…」

「あ、それなら」

 美未ちゃんが手をポンと叩く。


「障害物走なんていかがですか?」

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