デスティニーパークへ行こう!1
皇 うぃん:元地域最強クラスの男子高校生、皇 勝利。現在は親族の意向により女体化しており、女性として生きることを決意。一ヶ月の入院生活により、筋力は一般女性クラスまで低下している。一人称はアタシ。
九頭龍 慎吾:私立清峯学園二年生、双龍の片割れ。成績を重要視しており、喧嘩は勉強のストレス発散として位置付けている。基本的に人付き合いが悪い。一人称は僕。
兎月 美未:私立清峯学園二年生。うぃんのクラスメイトで、大人しめの性格。あずきとのいじめ問題は解消され、今は最初のような仲良しに戻っている。一人称は私。
狼山 あずき:私立清峯学園二年生。うぃんのクラスメイトで、美未の親友、小倉の姉。美未のいじめ問題を通じて、二人の仲は深まることとなった。一人称はウチ。
【五月十八日(土)】
そろそろかな。
アタシは約束通り、美未ちゃんにモーニングコールをかける事にした。
ーーピロリロリロ、ピロリロリロ。
ーーピロリロリロ、ピロリ…。
『……』
「…美未ちゃん?」
『…
…ぁぃ』
「うぃんだよ」
『…ぅぃんちゃん』
「うん、うぃんだよ」
『…ぅぃんちゃん…
好き』
「え、起きてる!?美未ちゃん、起きてるんじゃない!?」
唐突な切り返しに慌ててツッコミを入れる。
だが予想に反して、美未ちゃんからの追撃は無かった。
『…すぅ…』
「美未ちゃん!?寝ちゃダメだよ!?美未ちゃーん!!」
それから十分近くの時間を要して、アタシはなんとか美未ちゃんへのモーニングコールを成功させた。
◆
「いやー本当上がるしー!もう電車から楽しいって最高じゃーん!?」
「あずきちゃん、声が大き過ぎるよ」
楽しみでたまらないといった様子のあずきを、美未ちゃんが軽く注意する。
「あずき、その気持ち…アタシも分かるよ」
アタシがスッと手を差し出すと、あずきが握り返してくる。
「上がりっぱなしで抑えらんねーし!しかもタダだよ!?タダ!本当二人には感謝してるしー!」
アタシは美未ちゃんと一緒にあずきに抱き抱えられた。
すると、少し離れていた慎吾がこちらに向き直る。
「僕にも感謝して欲しいのだが」
「アンタは敗北者だしー」
「ぐ…僕自身は学年トップだったんだぞ!?」
「アンタのルールに従った勝負で、アンタが敗北者だしー」
「…」
あずきの容赦無い口撃に、慎吾が吊り革に体重を預ける。
うーん、さすがに可哀想。
アタシは慎吾の横に移動すると、
「ありがとね、慎吾」
と告げた。
すると、慎吾の表情が一瞬で明るくなる。
「どういたしまして!うぃんさんとご一緒出来るなら、この程度は瑣末な出費です!」
「そう言ってもらえると嬉しいよ、今日は一緒に楽しもうね?」
「…あれ、僕、今日死ぬんですか?」
自分のほっぺたを引っ張る慎吾。
少なからず、慎吾も浮かれているのかもしれない。
だが、それくらいがちょうどいい!
なぜなら、これから行くのは運命の公園!デスティニーパークなんだから!




