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アタシたちの中間試験1

すめらぎ うぃん:元地域最強クラスの男子高校生、すめらぎ 勝利しょうり。現在は親族の意向により女体化しており、女性として生きることを決意。一ヶ月の入院生活により、筋力は一般女性クラスまで低下している。一人称はアタシ。


九頭龍くずりゅう 慎吾しんご:私立清峯学園二年生、双龍の片割れ。成績を重要視しており、喧嘩は勉強のストレス発散として位置付けている。基本的に人付き合いが悪い。一人称は僕。


十三じゅうぞう 龍也たつや:私立清峯学園二年生、双龍の片割れ。のんびり屋。勝利とは幼馴染。一人称はオレ。


兎月とつき 美未みみ:私立清峯学園二年生。うぃんのクラスメイトで、大人しめの性格。あずきとのいじめ問題は解消され、今は最初のような仲良しに戻っている。一人称は私。


狼山ろうやま あずき:私立清峯学園二年生。うぃんのクラスメイトで、美未の親友、小倉の姉。美未のいじめ問題を通じて、二人の仲は深まることとなった。一人称はウチ。

【五月七日(火)】

 今年はこどもの日が日曜日であった事から、月曜日が振替休日となり、試験は実質今日からの四日間で行われるとの事だった。

 とはいえ、そんな事は百も承知。

 昨夜は初日に行われる国語と数学について、徹底的に対策を行なってきた。


「ねぇ、机、ちょっと借りてもいい?後でちゃんと消すから」

「え、消す?…えぇ…どうぞ」

「ありがと!」

 アタシはとある男子の席に座ると、スラスラとシャーペンで書いていく。


『この勝負で勝ったら、本当はどうしたい?…アタシは、覚悟決めておくね』


 中間試験の席順は、クラスの左前から後ろにかけて、出席番号順で座ることになる。

 そう、この席は『慎吾が座る席』。

 アタシくらいになると、場外戦術に関しても抜かりはない。

 なんて、実はこれ、あずきからの入れ知恵だったりする。

 あずきもデスティニーパークがかかっている以上、他人事では無いのだろう。


 アタシとしても、少しでもダメージを与えられるのであれば、使わない手はない。


「本当ありがと!じゃあ、ちょっとの間だけごめんね!」

「いえ、大丈…」

 男子の返答を背に去るアタシの耳に、「だいじょばないッ!!」という悲鳴が聞こえた。


 ちょうどその時、アタシの先生である美未ちゃんが入室してきた。


「美未ちゃんおはよ!」

「おはようございます、うぃんちゃん」

 今日もニッコリ笑顔。


「美未ちゃんのおかげで追い込みも出来たし、今日からの四日間いけそうな気がする!」

「それは良かったです。私、うぃんちゃんの事を待つと言いましたが、九頭龍さんに見す見す有利な機会を与えるようなつもりはありませんから」

「あはは、美未ちゃんも臨戦態勢!勝って、デート行こうね!」

「はい!」

「…ウチ、完全に空気じゃね?」

 いつに間にか登校していたあずきが言った。


「そんな事ないって!言ったでしょ、あずきを含めた三人分が勝負の賞品なんだから!絶対勝ち取って、一緒に楽しも!」

「そう?だったらウチも応援するしー!あと、今度面白そうなイベントがあったらウチもうぃんと青春すっから!」

「あずきちゃん、それってライバル宣言?」

 美未ちゃんがクスクス笑う。


「それはそう!ウチだってうぃんには目付けてっから!勉強では出番無かったけど、それ以外だったらウチだって頑張っかんね!」

 わぁ…ここはここでバチバチになっちゃったぁ…なぁんでぇ?





ーーキーンコーンカーンコーン。


 チャイムの音を合図に、生徒たちが出席番号順に移動を始める。

 アタシは慎吾が移動したのを見計らって、その列の後ろへ向かう。

 出席番号順は名前の順。

 九頭竜の『く』と皇の『す』は同じ列に座る事になる。


 恐らく、そろそろ…。


ーーガタッ!


 慎吾が顔を赤らめてアタシを探す。

 背後のアタシに気付いた時、アタシは頬に指を当てて、困ったような顔を見せた。

 それが追い討ちをかけたのか、慎吾はなんとも言えない羞恥の表情を浮かべ、着席した。


 ふぅん…まだ足りてないのかな?

 アタシはネームマーカーを持つと、慎吾の席に向かっていく。

 慎吾はアタシに気付くと、キッとコチラを責めるような目つきで見る。


「あ、うぃ、うぃんさん!?あなた一体どういうつもりで…」

「…ちょっと静かにして」


 アタシは慎吾の左手を掴むと人差し指と親指の間に、『すき』と書き、自席へ戻った。


 徐々に込み上げる何かがあったのだろう。

 アタシが着席してやや時間差の後、慎吾の短い叫びが教室に響き渡った。


「うぃんちゃーん、あんまりいじめちゃダメだってー…慎吾は成績が生き甲斐なんだよー?」

 前の席のたっつんに注意され、アタシはぺろっと舌を出した。

 ごめんねたっつん、今は慎吾とバトってんだ。

 手加減したら失礼ってもんでしょ?


「うぃんちゃん」

「ん?美未ちゃん?どうしたの」

 美未ちゃんがアタシの席まで来てしゃがみ込んでいる。

 美未ちゃんは口の横に手を添えると、「テストの解答と同じ内容を問題用紙に書き込んでください、後で自己採点しましょう」と小声で言った。


「わかった、ちゃんと書き写すね」

 アタシも小声で親指を立てて合図すると、美未ちゃんもグッドサインで応じてくれた。

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