アタシが馬鹿だったらどうする?からの就寝
皇 うぃん:元地域最強クラスの男子高校生、皇 勝利。現在は親族の意向により女体化しており、女性として生きることを決意。一ヶ月の入院生活により、筋力は一般女性クラスまで低下している。一人称はアタシ。
九頭龍 慎吾:私立清峯学園二年生、双龍の片割れ。成績を重要視しており、喧嘩は勉強のストレス発散として位置付けている。基本的に人付き合いが悪い。一人称は僕。
「頭痛い…」
連日に及ぶ長時間の勉強に加え、美未ちゃんからの告白にアタシの頭はキャパオーバーだ。
ーーコンコン。
「はーい」
「パパだよー」
「入っていいよー」
ーーガチャ。
アタシの許可を受け、父さんが入室する。
「あれ、もう電気消してたのかい?」
「うん、ゴロゴロしたら寝ようと思ってたんだ」
「そうだったか、ごめんね」
「ううん、全然大丈夫」
父さんがベッドの側面に背中をもたれかける。
「最近時間が合わなかったから、うぃんちゃんの調子はどうかと思ってね」
父さんは介護職なのだが、シフト制であるため夜勤が続く事もある。
そうなると仕事の時間まで寝たまま日中を過ごす事も多いため、その日はアタシと会話が出来ない日になってしまう。
今日は中番だったと言っていたから、比較的安定した稼働だったようだ。
「そうだねー、調子は、いいかも」
「そうかい?」
「うん。最近勉強頑張ってるんだ、『友達に教えてもらいながら』」
「うッ!!ゔ、ゔん、良い…ね!」
ん?なんだか父さんの様子が変だ。
「そう、それでさ…結構仲良くなってきたなーって思ってたんだけどさ、急展開なんだけど、告白されちゃって」
「ああああああああああああ!!!!!!!あの野郎ッッッ!!!!!!!やっぱそういう目的だったんじゃねえかああああ!!!!!!!」
「え、父さん!?…あの野郎!?」
あ、もしかして、父さんこの間鉢合わせた慎吾と間違えてる!?
アタシは慌てて起き上がり、父さんの頭をポンポンする。
「違うよ父さん!そっちは慎吾、アタシが告白されたのは女友達からだよ」
「え!?女の子から!?」
父さんは息荒く肩を上下させると、次第に落ち着いた。
「…女の子かぁ。まぁ、うぃんちゃんの魅力は性別を超えるという事が証明されたって、コトだね…はぁ」
父さんは呼吸を荒くしながら「うんうん」と頷いている。
それだけで納得しちゃうのが親バカだなって思う。
「それでさ、その子すごくて。アタシ、受け入れてもいいと思ったんだけど、これからどんな出会いがあるかわからないから、ちゃんと周りを見てから決めていいよって」
「そうか…その子、素敵な子だね」
「うん、すごく良い子だよ」
「もし付き合う事が出来れば、その子の欲求は満たされるのに、うぃんちゃんの幸せまで考えてくれている」
「うん」
「もちろん、まわりまわってその子の幸せにもなるんだけど、大人な考え方だなって思うよ」
「アタシもそう思う。だから、もっと周りを見て生きようって思った」
「それは良い傾向だね」
父さんが「ふふ」と笑った。
「うぃんちゃんの周りに素敵な子がいてくれて良かった。パパは学校までついていけないから、そういう子がいてくれるんだって思うだけで安心出来るよ」
「うん。今までしてこなかった友達作り、頑張ってみたくなったかも」
「でも、変な男に引っかかるんじゃないよ?」
こちらを振り向いて強調してくる。
本当に心配性だよ、今までそんなに心配してくれた事あったっけ。
思わず苦笑してしまう。
「わかった。多分その時はアタシが良いと思っても、周りがきっと反対してくれるから、大丈夫なんじゃないかな」
「そうか、そういうお友達が増えるといいね」
「うん、増やしていくから。応援してて」
「もちろんさ。パパはうぃんちゃんの幸せを願っているからね」
「彼氏が出来るとしても?」
「そんな奴はファッ◯オフだよ」
安定の父さんだった。




