アタシが馬鹿だったらどうする?5
皇 うぃん:元地域最強クラスの男子高校生、皇 勝利。現在は親族の意向により女体化しており、女性として生きることを決意。一ヶ月の入院生活により、筋力は一般女性クラスまで低下している。一人称はアタシ。
九頭龍 慎吾:私立清峯学園二年生、双龍の片割れ。成績を重要視しており、喧嘩は勉強のストレス発散として位置付けている。基本的に人付き合いが悪い。一人称は僕。
兎月 美未:私立清峯学園二年生。うぃんのクラスメイトで、大人しめの性格。あずきとのいじめ問題は解消され、今は最初のような仲良しに戻っている。一人称は私。
【五月三日(金)】
憲法記念日。
ゴールデンウィークの初日。
にも関わらず、アタシは今日も自室で教科書と睨めっこをしている。
視線を上げると、美未ちゃんの顔があった。
美未ちゃんはアタシの視線に気がつくと、ニッコリと微笑んだ。
「どうしました?うぃんちゃん」
「いや、ゴールデンウィーク初日に勉強するなんて、人生で初めてで」
「ふふ、今年のゴールデンウィークは勉強漬けになってしまいますが、しっかり勝負に勝って、みんなでデスティニーパークへ行きましょうね」
美未ちゃんがシャーペンを握り締めながらガッツポーズを作る。
可愛い。
「そうだね、慎吾には悪いけど…財布になってもらおっか」
にひひと笑って見せる。
美未ちゃんは「その意気です!」とアタシを応援してくれた。
「ところで、そろそろテスト対策に入りましょうか」
「テスト対策?アタシ、もうその段階まできたの?」
「ここ最近、多くの勉強時間を確保したこと、またうぃんちゃんの吸収力も合わさって、7割ほどの前提知識は習得出来たかと思います」
「…それでも7割か」
アタシがうんざりした顔を見せると、美未ちゃんは笑ってみせた。
「私が同じ量を習得しようとすると半年以上はかかると思います。物差しがないのでわかりませんが、それくらい苦労する事をうぃんちゃんはあっという間に学んでしまったんです」
「…我ながら気持ち悪いな」
「はい、気持ち悪いです」
美未ちゃんが涼しそうな顔で言う
「…じょ、冗談だよね?」
「半分冗談、半分 妬みです」
素直な感想に背筋が寒くなる。
「とにかく、ある程度の前提知識がついた状態なので、これからは一時テスト対策の期間とします。残りの詰め込みは、それが終わってからにしましょう」
「わかった。具体的に何をすればいいのかな?」
「今日は私が用意した仮想問題を解いていただきます。この点数によって、今後の学習方針を定めていきましょう」
美未ちゃんがアタシに五教科の問題と答案用紙を渡してくれた。
ん?
…これって。
「ねえ、文字こそタイピングだけど、この図形とか表ってもしかして、手書き?」
「はい、中間試験の範囲は発表されていますので、私が作りました」
美未ちゃんが控えめにピースサインを作る。
おぉ…。
「…美未ちゃん、愛が溢れてる」
「ちゃんと伝わったようで何よりです」
ニッコリ笑ってくれる。
「わかった、めっちゃやる気出たよ!じゃあこれから問題解くから、美未ちゃんは自分の勉強進めてて!」
「はい、頑張ってくださいね!」
二人で頷き合うと、アタシは用意してもらった課題に着手した。
◆
結局アタシは三時間ぶっ通しで課題をこなした。
今度は美未ちゃんが集中して採点してくれている。
…。
暇だ。
アタシも何か勉強でもしている方が良いのかもしれないが、採点結果が気になって集中出来そうにない。
…。
ウズウズ。
「…美未ちゃん?」
「なんですか?」
「好き」
「私もです」
「ブッ!」
「イタズラですか?可愛いですね」
こちらにチラリと視線を送り、余裕の表情でふふっと笑う。
くそぅ…美未ちゃん…つよい。




