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アタシが馬鹿だったらどうする?1

すめらぎ うぃん:元地域最強クラスの男子高校生、すめらぎ 勝利しょうり。現在は親族の意向により女体化しており、女性として生きることを決意。一ヶ月の入院生活により、筋力は一般女性クラスまで低下している。一人称はアタシ。


九頭龍くずりゅう 慎吾しんご:私立清峯学園二年生、双龍の片割れ。成績を重要視しており、喧嘩は勉強のストレス発散として位置付けている。基本的に人付き合いが悪い。一人称は僕。


兎月とつき 美未みみ:私立清峯学園二年生。うぃんのクラスメイトで、大人しめの性格。あずきとのいじめ問題は解消され、今は最初のような仲良しに戻っている。一人称は私。


狼山ろうやま 小倉おぐら:私立清峯学園一年生。あずきの弟。喧嘩好きでタイマンとはいえ双龍の二人に勝利している。一人称はワイ。


鵜飼うかい 沙耶さや:私立清峯学園一年生。同じクラスの犬神グループに付き纏われるも、うぃんに助けられてからはうぃんに対して好意を抱く。一人称はあーし。

【四月二十六日(金)】

「あーもう!わからーんッ!!」

 中間テストまで猶予一週間といった頃、アタシは耐えきれずに教室で叫んだ。

 さすがの奇行に視線が集まるが、そんな事を気にしている場合ではない。


 慎吾に勉強を教えてもらった時はスラスラ頭に入っていたが、沙耶との一件でクラスに公開所有物宣言をして以降、クラスの視線が気になり慎吾とは距離を置くようになっていた。

 もちろん、クラスメイトにバレないよう放課後に会って勉強、なんて甘ったるそうなイベントも皆無だ。


 このままじゃマズイ…アタシが馬鹿だって事が仲間にバレてしまう…。


 どうしよう、特に後輩組…小倉や沙耶にガッカリされないだろうか?


 不安だ。

 馬鹿なのは認める。

 でも、仲間に馬鹿にされるのは、悲しい。


 そうなると、頼れるのは…美未ちゃんか。

 美未ちゃんは最初に候補として挙げた一人。

 もし美未ちゃんが勉強の時間を割いてくれるとしたら嬉しいが…そんな余裕が美未ちゃんにあるのだろうか。


 自分だけで悩み込んでしまうのはアタシの悪い癖だ。

 アタシは美未ちゃんに相談する決心をした。





「そうなんですね…お話はわかりましたけれど…」

 美未ちゃんがあごに指を当てて言った。


挿絵(By みてみん)


「しかし、私より九頭龍さんの方が成績も良いですし、やはりわだかまりを解消した方がよろしいのでは?」

「うー…出来れば、中間試験が終わった後の方が良いんだ…さすがにクラス中から好奇の視線を向けられたままじゃ集中出来そうになくて」

 しょぼんとして説明するアタシに、美未ちゃんはニッコリ笑ってくれる。


「では、私でよろしければ、勉強をお教えします」

「本当に!?ありがとう美未ちゃん!助かるよぉ!」

 アタシは喜びのあまり美未ちゃんの両手を掴む。


「い、いえ、私は全然構いませんので…!」

 ほんのり顔を赤らめながら視線を逸らす美未ちゃん。


 その反応を見て思い出す。

 以前アタシが男だった事を伝えた時に、アタシが男でも好きって言ってくれたんだっけ。


「ご、ごめん…アタシ、距離感が分かってなくて…」

 慌てて両手を離すと、今度は美未ちゃんからアタシの手を掴んだ。


「いいんです。私はうぃんちゃんに感謝していて、うぃんちゃんが好きで、うぃんちゃんの力になりたいですから」

 優しい笑顔だった。


「…これは、好きになっちゃうよ」

「え?」

「あ」

 しまった、思った事が全力で口から出てしまった!

 アタシの「あ」という言葉で察したのか、美未ちゃんがあずきに向けるようなイタズラ心丸出しな視線で見てきた。


「うぃんちゃんは、やはりハーレム系がお好みでしょうか?」

「ち、ちがッ…アタシはみんなと仲良く!」

「仲良く、チヤホヤされたいんですね?」

 目力が強い。


「いや、それは…その、ぁう、ぁぅ…」

「ふふ、うぃんちゃんの人助けは、みんなに好意を持たれたいところから来ているのかもしれませんね」

「え…」

 …アタシは人助けと思っていたが、自分が好かれるために介入していたのか?

 確かに介入によって目の前の問題は解決しているが、その対価として、憧れの感情を抱かれる事に喜びを感じているのだろうか。

 それでも、助けた相手との関係はってきた…けれど、正直な所、図星のような気もする。


「私はそれも良いと思います。実際に助けていただいた私が言うんです、そんなに思い詰めないでください」

 握られた手にギュッと力が込められる。


「動機は問題ではありません。助けていただいた事実に感謝しております」

「美未ちゃん…」

「もし、負担にならなければですけれど」

 そう前置きをしてから、


「そのままのうぃんちゃんでいてほしいと、私は思います」

 この瞬間、やはりアタシの理想は捨てるべきではないと実感した。

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