なんでアタシに言わねえんだ!からの就寝
皇 うぃん:元地域最強クラスの男子高校生、皇 勝利。現在は親族の意向により女体化しており、女性として生きることを決意。一ヶ月の入院生活により、筋力は一般女性クラスまで低下している。一人称はアタシ。
鵜飼 沙耶:私立清峯学園一年生。同じクラスの犬神グループに付き纏われるも、うぃんに助けられてからはうぃんに対して好意を抱く。一人称はあーし。
「はぁー…やっちゃった」
アタシはベッドに寝転びながら、今日の出来事を振り返っていた。
沙耶への嫉妬。
沙耶に付きまとう犬神グループへの武力介入。
クラスでの公開宣言。
思い出してもやってしまった事ばかり。
特に冷静ではなかったとはいえ、喧嘩騒動を起こしてしまった事は反省しなければならない。
これでは一体何のために女にしたのか、両親の不安を煽る事になってしまう。
…とはいえ、仲間だけを危険に晒しても良いのか?という悩みに関しても、未だ解決策を見出せずにいる。
アタシの介入によって救えた仲間は多い。
出来ればこれからもアタシでなんとか出来る事は、手伝っていきたいと思っている。
ならば、いつの日かその事について両親と話をしなければならない。
失敗して、自分に被害が及ぶ前に。
「…難しいなぁ」
ベッドの上で寝返りをうつ。
見て見ぬふりをするのは簡単だ、と、普通の人は思うかもしれない。
でも、アタシの場合はそれがストレスになる。
その時行動を起こさなかった自分を後悔するからだ。
この点を強調して、両親を説得することが出来るだろうか。
そんな楽観的な思考に逃げたくなるくらい、この悩みは大きい。
自分だけを大事にして仲間を犠牲にする、両親を尊重するパターン。
街のいざこざから目を背ける、両親を尊重しながら仲間を助けるパターン。
自分も仲間も犠牲にする、自分の理想を追求するパターン。
思い浮かぶのはこんなところ。
どれを選べば正解なのか、アタシにはわからない。
「…今日はもう、いいや」
天井に視線を向ける。
「わからないなら、当事者に聞けばいい」
登場人物が複数いるのに、自分だけで答えを出そうと思っている事がそもそも間違っている。
アタシは君主ではないんだから。
そんな考えに至ったところで、アタシはスマホをスリープ状態にし、意識を沈めていった。




