なんでアタシに言わねえんだ!4
皇 うぃん:元地域最強クラスの男子高校生、皇 勝利。現在は親族の意向により女体化しており、女性として生きることを決意。一ヶ月の入院生活により、筋力は一般女性クラスまで低下している。一人称はアタシ。
九頭龍 慎吾:私立清峯学園二年生、双龍の片割れ。成績を重要視しており、喧嘩は勉強のストレス発散として位置付けている。基本的に人付き合いが悪い。一人称は僕。
十三 龍也:私立清峯学園二年生、双龍の片割れ。のんびり屋。勝利とは幼馴染。一人称はオレ。
鵜飼 沙耶:私立清峯学園一年生。同じクラスの犬神グループに付き纏われるも、うぃんに助けられてからはうぃんに対して好意を抱く。一人称はあーし。
「慎吾さん、ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございませんでした」
鵜飼がぺこりと頭を下げる。
慎吾は何が起こっているのか分からず、鵜飼とアタシを交互に見る。
「鵜飼さんが慎吾にくっついてたのは、例のグループに絡まれないためだったでしょ?だから、アタシが行って念押ししてきたよ。今頃、小倉にも説得されてるだろうから、きっともう大丈夫。慎吾はお役御免ってこと」
「やだ、お姉様…鵜飼さんじゃなくて、沙耶って呼んでください」
鵜飼…沙耶が、頬を染める。
「!?…解決、した…んですか!?本当に!?なんか、二人の距離が近い…僕とうぃんさんの距離、相対的に遠くなってませんか!?」
「それは仕方ないです。だってあーし、ライバルに立候補ですから」
「なッ…」
慎吾が絶句する。
…こうなっちゃったかぁ。
こういう事態を避けるためにも、勝利時代は友達作りを避けていた面がある。
とはいえ、美未ちゃんやあずき、小倉は良くて、沙耶だけ仲間外れってわけにもいかない。
「わかった、沙耶。これからは沙耶も友達!仲良くしようね」
「はい!もちろんですお姉様!」
「…なんで、こんなことに」
人助けをしただけなのに、何故かライバルが増える結果になった慎吾は、珍しくやるせない気持ちをあらわにするのだった。
◆
「ってわけで、無事喧嘩は解決!事情聴取ありがとね、たっつん」
笑顔でお礼を言うアタシに、たっつんは微妙な表情で応じた。
「…解決、したんだよねー?なんか、慎吾…朝以上にひどくなってなーい?」
「んー、それは置いておこう。根本問題は解決したのだよ、たっつん!」
「えぇー…」
たっつんは慎吾の事を心配している様子。
…確かに、ちょっと可哀想だとは、思う。
かなり私情を挟んでいる感も否めない。
仕方ないなぁ。
「慎吾」
ーービクッ。
アタシの遠くからの呼びかけに、慎吾が背筋を伸ばす。
「ごめんね、沙耶に嫉妬してたかも。嫌な態度もごめん」
ーーキャー!
ーーザワザワ。
わざとクラス中に聞こえる声で言った。
『アンタはアタシのもんだ』と宣言したつもり。
アタシの発言でクラス内がざわつく。
慎吾の顔がみるみる赤くなるが、口角は徐々に上がっていく。
「どう?クセになるだろ」
「…はい!」
アタシの問いかけに、しっかり返事をする慎吾。
うん、エラい。
「…しょーちゃん、本当ドSだよねー」
アタシの行動があんまりだったせいか、たっつんがアタシをしょーちゃん呼びする。
「ダメだよたっつん、うぃんちゃん、だよ?」
「あいあいー」
たっつんは笑いながら手をヒラヒラする。
慎吾はというと、机に突っ伏しながら頭を抱え込んでいた。




