女の子一日目→登校準備
皇 うぃん:元地域最強クラスの男子高校生、皇 勝利。現在は親族の意向により女体化しており、女性として生きることを決意。一ヶ月の入院生活により、筋力は一般女性クラスまで低下している。一人称はアタシ。
「交換…学生?俺が?」
「そ。将来の理事候補である勝利は、見聞を広めるため、交換学生として清峯学園を離れてるって設定なのよ」
「はぁ…そうかよ」
俺は慣れない下着を目の前で広げてみる。
「ブラ、不思議よね」
母さんはケラケラ笑いながら下着を取ると、スッと器用に装着してくれた。
「大きいわね、Dらしいわよ。お母さんスレンダーだから胸には自信ないのよねー。お母さんも手術してもらおうかしら?」
「笑えねーよ」
鏡の前でポーズをとっている母さんに吐き捨てるように言った。
母さんはこちらに向き直ると、口元を緩めながら、
「お母さんたちの都合で女の子になってもらっちゃって悪いとは思うけれど、もし良かったらもう少し弱い言葉を使ったらどうかしら。みんな近寄りづらくなっちゃうわよ?」
「…んー、まぁ、その方がいいっつうなら、うん…徐々に、心掛けるよ」
「まずは一人称!俺っていうのから変えてみない?『私』とか」
「!?」
そう言うと母さんは笑って見せた。
「あー…うん、…そう、だね。…」
「……わた、わた、…わた…」
「…」
「アーッ!!!!!!」
マジでケラケラ笑いやがる。
「あーたーしッ!!アタシが限界だッ!!」
あっツゥ!!顔あっツゥ!!
「私ってそんなに恥ずかしいかしら?大人の男性もよく利用するのよ?」
尚も面白そうに笑う母さん。…まぁ、確かに、冷静に考えたら女性だけの一人称じゃねーのか?いや、だけど…えぇ。
「まぁまぁ、最初はアタシでいいわよ。そんな事より早く制服着ちゃいなさい。いつまで下着の格好で赤面してんの」
「ハッ!?」
おr…あ、アタシはサッとシャツ…ブラウスに袖を通すと、スカートを…スカー…と…を。
「…母さん」
「プッ、はいはい、ホックね」
これから当面服を買うのが楽しみだと言いながら、母さんはアタシの準備を手伝ってくれた。
「しかし、髪伸びたな…1ヶ月も寝っぱなしだったし」
「そうね。あと筋力も低下しているみたいだから、あまり無茶しちゃダメよ?」
「筋力…」
そうなんだ。父さんがハグしてきた時に咄嗟に押し返すことが出来なかった。今のおr…アタシの筋力は、まさに女性並み。
「あ、やばい…喧嘩どうしよう」
「何言ってるの!?ダメに決まってるでしょう!喧嘩に関してはお母さん、男の子の頃から認めてないんだからね!」
「そ、そうは言うけど、街の治安が…」
「警察だっているんだから、うぃんちゃんが気にすることではありません!」
「う…はい」
実際、今の俺がいたところで戦力になれるはずもなく。果たして双龍だけで凌げるのだろうか。…新入生で活きのいいヤツ入ってこないかな。