アタシは馬鹿ではないらしい4
皇 うぃん:元地域最強クラスの男子高校生、皇 勝利。現在は親族の意向により女体化しており、女性として生きることを決意。一ヶ月の入院生活により、筋力は一般女性クラスまで低下している。一人称はアタシ。
九頭龍 慎吾:私立清峯学園二年生、双龍の片割れ。成績を重要視しており、喧嘩は勉強のストレス発散として位置付けている。基本的に人付き合いが悪い。一人称は僕。
「今日はこんな所で良いでしょう」
「はい!先生、ありがとうございました!」
「僕はほとんど何もしていないじゃないですか」
慎吾が苦笑する。
「そんなことない!何かを解こうとした時に必要となる前提知識が何なのかを教えてくれた!だから効率良く勉強できたんだよ!」
「…まぁ、それはそうですが」
「だから、慎吾がいてくれないとダメだ」
「…そ、そう、ですか?」
「そうだよ!」
慎吾が柔らかい笑顔になる。
本当のことだ。これからも頼れるなら頼っていきたい。
「さて、それでは僕はそろそろ失礼します」
「あ、送っていくよ!」
「女性に送られる側の気持ちを考えてください」
「…お、女って、めんどくさい!」
ただ送りたいだけなのに、帰宅の心配をされて許可が出ない。
自分でも『絶対大丈夫!』と言える実力がないものだから、ここは素直に従わざるを得ないのも悔しいところ。
「わかった、じゃあアタシは今日進められなかった荷物整理に取り掛かるよ」
「ええ、そうしてください」
慎吾はブレザーを羽織ると、鞄を持って立ち上がった。
「それではまた明日、学校で」
「せめて玄関までは見送らせてね!」
「わかりました」
アタシの部屋を出て、突き当たりにある階段を降りる。
玄関に着き、慎吾が靴を履く。
慎吾はリビングの方を見ると、
「お邪魔しました!」
と声をかけた。
ーードタドタドタッ!
「な、ななな、なんだキミは!?まさかうぃんちゃんの部屋にいたんじゃないだろうな!?」
「と、父さん!?お客さんだよ!勉強を教わってたの!!」
「は、初めまして…」
「勉強!?怪しいッ!うぃんちゃんが勉強なんてするはずない!!」
ひどい。
「まさか…うぃんちゃんが可愛くて大人の勉強を!?父さん許さんからなーッ!!」
今にも暴れ出しそうな父さんを制止すると、
「ごめん、慎吾!今日はありがとうね!」
「は、はい…それでは失礼します」
「この泥棒猫ーッ!!キーッ!!」
もうやだこの父さん、すごい勢いでパパっ気出し始めた。
アタシが女になって、ちょうど一週間になる。
このまま今までみたいに慣れてくれるのか、それとも…さらに暴走してしまうのか。
とにかく、慎吾が無事に出ていけたわけだし、父さんがどうなろうとあんまり興味ないので、アタシはアタシの出来ることをしようと思った。
まずは部屋の整理と…あと、勉強の復習、なんて、柄にもないこともやってみる。




