お友達とお買い物!5
皇 うぃん:元地域最強クラスの男子高校生、皇 勝利。現在は親族の意向により女体化しており、女性として生きることを決意。一ヶ月の入院生活により、筋力は一般女性クラスまで低下している。一人称はアタシ。
兎月 美未:私立清峯学園二年生。うぃんのクラスメイトで、大人しめの性格。あずきとのいじめ問題は解消され、今は最初のような仲良しに戻っている。一人称は私。
狼山 あずき:私立清峯学園二年生。うぃんのクラスメイトで、美未の親友、小倉の姉。美未のいじめ問題を通じて、二人の仲は深まることとなった。一人称はウチ。
狼山 小倉:私立清峯学園一年生。あずきの弟。喧嘩好きでタイマンとはいえ双龍の二人に勝利している。一人称はワイ。
「はーい、これにて本日のお買い物、全行程終了だしー」
「…あ、ありがとうございました」
アタシはタクシー乗り場で膝をつくと、四つん這いのポーズになった。
「…小倉も、荷物持ちありがとう…」
「…ええねん、ワイが手伝ったこと、忘れんといてな…」
小倉は三つのてんこ盛りカートの後ろでプルプル震える足を押さえ込んでいる。
「さっきも言ったけど、これは初夏のアイテムだから、また別の機会に四シーズン揃えるしー」
「…はい」
本日の買い物を通じて、少なくともこのショッピングモールにおいて、この人に逆らったところで無意味だということを察した。
この人はショッピングモールにいる限り、ステータスにバフを得ているようだ。
「うぃんちゃん、お疲れ様でした。お茶、買ってきましたのでどうぞ」
「…ありがとう、美未ちゃん」
美未ちゃんはペットボトルのフタを開けると、アタシに差し出してくれた。
アタシはお茶を受け取ると、ゆっくり身体に入れていく。
「間接キス、ですよ」
「ブッ!!!!!!」
突然の囁きにお茶が逆流する!
フタを開けてきたのはそのため!?
「ま、マジで?」
「ふふ、冗談です」
この子も、今日一日でかなりお茶目な一面を見せてくれた。
二人とも活き活きしていたし、アタシとしては嬉しい限りだ。
「それじゃ…アタシはこの後、タクシー二台くらいとめて…荷物全部持って帰るから…」
その後、家に入れるまでが苦行だ。
「ウチらはもうちょっと見て回るしー」
「マジっすか!?」
なんというタフネス。
「うん、私も付き合うよ」
「…ワイは帰りたい」
小倉は限界が近い様子だ。
「ダメだし、今度はお姉ちゃんに付き合うし」
「えぇ…なんでなん…うまみゼロやん…」
「飯抜き?」
「ええ加減にせえよホンマ!ついていくわッ!!」
ふ、不憫だ…小倉、この世に救いはない…。
◆
「ただいまー…ごめん!荷物運び込むの手伝ってぇー!」
「おかえりー…あらあら、こんなに…ちょっとお父さーん」
その後、三人がかりでタクシーからカート三個分の荷物を運び込んだ。
「ほんとごめん…アタシもう疲れちゃって…。友達に聞きながら買ったんだけど、もう全然わかんないよー…」
アタシは玄関のフローリングにほっぺたをくっつけ、脱力した。
「お義父さんの支払いとはいえ、お母さん、ここまでやるとは思わなかったわ」
大量の荷物を見て、母さんが笑う。
「母さんも使っていいから、スキンケアのやり方とか、教えてね?」
「もちろんいいわよ。ふふ、本当に娘が出来たのね、なんだか不思議だわ」
「女の子にした責任、とってよね!」
アタシたちは二人で笑い合うと、大量の荷解きを開始するのだった。




