お友達とお買い物!3
皇 うぃん:元地域最強クラスの男子高校生、皇 勝利。現在は親族の意向により女体化しており、女性として生きることを決意。一ヶ月の入院生活により、筋力は一般女性クラスまで低下している。一人称はアタシ。
兎月 美未:私立清峯学園二年生。うぃんのクラスメイトで、大人しめの性格。あずきとのいじめ問題は解消され、今は最初のような仲良しに戻っている。一人称は私。
狼山 あずき:私立清峯学園二年生。うぃんのクラスメイトで、美未の親友、小倉の姉。美未のいじめ問題を通じて、二人の仲は深まることとなった。一人称はウチ。
狼山 小倉:私立清峯学園一年生。あずきの弟。喧嘩好きでタイマンとはいえ双龍の二人に勝利している。一人称はワイ。
「もういい時間なので、本当お昼くらい食べませんかッ!!カードで支払いますのでッ!!」
懇願するあまり、アタシの口調が崩れる。
「お昼かぁ…ウチなんでもいいよ」
「私も、お任せします」
「あ!ほんならワイ肉食いたいッ!ここええ焼肉屋さんあるやろ!?」
小倉がキラキラした目で主張する。
「アンタねー…焼肉なんて匂いついちゃうしー。ウチこれでもうぃんのためにオシャレしてきてんだけどー」
「私も…少し気にしてしまうかもしれません」
まさかの女性陣による梯子外しだ。
「キミらなんでもええ言うたんちゃうんか!?ホンマ理不尽ッ!!女って理不尽でイヤやわぁ!!ねぇうぃんちゃん!?」
面白いから、乗っかってみようかな?
「わかるよ、今日はいっぱい重いモノ持たせてごめんね、元気の補充に焼肉は最適だもんね」
チラ。
「あ、ウチ焼肉食べたいかも」
「私もです」
「キミらホンマええ性格してるで」
ということで、今日のお昼は焼肉に決定したようです。
そうと決まったからには、食べるぞー!!
「じゃあ移動開始!場所がわかる人ー?」
「ウチ知ってるしー、こっちこっち」
あずきは先頭に立つと手招きする。
「もし階が違うなら、エレベーター使わないと小倉が大変かもしれないね」
さすがにこの量のカートでエスカレーターは危ない。
「ホンマそれ、ちょっとだけでも気ぃ使うてもろて」
「もー、アンタのせいで進行遅れるしー」
「イヤ、キミらがこんな買い込んだせいやけどな!?」
…。
どうやら小倉の叫びは誰の耳にも届いていないようだった。
小倉…あんなに強いのに、強さだけではやっていけない、社会の縮図を垣間見たような気がするよ。
◆
お店の前に着く。
『御肉苑』と書かれたこのお店は、そこそこ値の張る有名焼肉チェーン店だ。
今はどちらかと言えばおやつの時間に近いこともあってか、待たずに入れそうな雰囲気だった。
「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
「四名です」
「ご案内いたします、こちらへどうぞ」
店員さんに奥のテーブル席へ案内される。
「席順どうするし?」
「あぁ、アタシがここでいいよ。女性二人は奥に座って。小倉はアタシの隣ね」
「かまへんで!うぃんちゃんのお隣さん嬉しいわー!」
「…やってるわ、美未」
「…やってるね、あずきちゃん」
「な、なんだよ…二人とも」
アタシの警戒に、あずきがニヤッと笑う。
「うぃん、アタシらのことサラッと上座に座らせたしー」
「そうですよ、ご自分から下座を選ばれて…少しスマート過ぎませんか?」
「え、いや、別にそんな…」
あまり意識しない気遣いが伝わることほど恥ずかしいことはない。
なんのことやらサッパリな様子の小倉は、ぜひそのまま大きくなってほしい。
「そ、そんなことはいいからメニュー見ようよ!もうランチの時間は過ぎたみたいだから、各々(おのおの)食べたい部位があれば言ってね。もちろん、サラダ類もオッケーだよ」
ペラペラ、メニューをめくる音が聞こえてくる。
「…ねぇ、下手したら今日の食事代だけでウチのコーデ買えちゃうし」
「わかる…私もこの金額はちょっと、尻込みしちゃうかも…」
「カルビもロースも牛タンまで、一皿三千円超えてるしー!これ上とかじゃないんだよ!?」
やばい、女性陣が引いてる。
「うぃんちゃん、ワイがっつり食いたいんやけど、おすすめある?」
キミのマイペースさ、グッドだね。
「そうだね、量が食べたいなら上とか特上は避けた方がいいかも。脂っこいだけで、最初の二、三口で飽きちゃうんだよ。量を食べたいなら尚更普通のお肉がおすすめだよ。ロースとかがちょうどいいかもね!」
「ほほー!さっすがうぃんちゃん、情報通や!チューせーへん?」
「しないよ」
「ケチケチやな!」
本当に自由なやつだ。
「じゃあ女性も食べやすいロースを中心に、サラダなんかも頼みながら食べようか。とりあえず、小倉はライス特盛と、ロース三皿を個別に注文しておくね」
「…ホンマ男心がわかるええ子やで、ワイの心さっきからキュンキュンやもん」
「どっちの心もわかるように、頑張るよ」
両手を握りしめてガッツポーズをとる。
「可愛いかよ」
「可愛いですか」
「うぃんの株が天井知らずだしー」
「ここへきて、さらにアップしてるよね」
なんか知らんが、女性陣の中でアタシの株が高騰しているらしい。
高騰すること自体はとても嬉しいが、こんなホイホイ上がられると暴落も簡単そうで今から不安すぎる。
アタシは高騰が良い側面ばかりではないと意識しながら、注文を通すのだった。




