お友達とお買い物!2
皇 うぃん:元地域最強クラスの男子高校生、皇 勝利。現在は親族の意向により女体化しており、女性として生きることを決意。一ヶ月の入院生活により、筋力は一般女性クラスまで低下している。一人称はアタシ。
兎月 美未:私立清峯学園二年生。うぃんのクラスメイトで、大人しめの性格。あずきとのいじめ問題は解消され、今は最初のような仲良しに戻っている。一人称は私。
狼山 あずき:私立清峯学園二年生。うぃんのクラスメイトで、美未の親友、小倉の姉。美未のいじめ問題を通じて、二人の仲は深まることとなった。一人称はウチ。
狼山 小倉:私立清峯学園一年生。あずきの弟。喧嘩好きでタイマンとはいえ双龍の二人に勝利している。一人称はワイ。
恐る恐る、試着室のカーテンを開ける。
「ど、どうだ…?変じゃ、ないか?」
「…うーわ、普通に着こなしてるしー」
「うぃんちゃん、とっても可愛いです!」
「役得やッ!!昇天するッ!!ワイ召されてまうでええええッ!!!!」
ゾクゾクッ。
あー…だめだこれ、アタシは今容姿を褒められる喜びを知ったかもしれない。
「美未!あらゆるコーデを試すよ!」
「ええ、忙しくなります!!」
『昇天』
「…あ、あの、他にも揃えないといけないから、ほどほどにね?」
若干一名が戦線を離脱したが、残りの要員が戦意剥き出しのバーサーカー。
「店員さん!お金に糸目はつけないから、自信作を持ってくるし!!」
「あの試着室にいる方が、皆様の企業努力を満たした上で購入してくれますッ!!」
「は、はぁ…」
おーおー、好き勝手言いなさる。
じいちゃん、クレジットカードは自分で働いてから作るべきだと思ったよ。
ご利用は計画的に、だな。
特にやることのないアタシは、試着室で先ほど着た商品を丁寧に片付ける。
なんというか、最近騒がしい、忙しいと思っていたが、交流が増えたことが原因なんじゃないだろうか。
自分の自由は極端に減ってしまったが、でもまぁ、悪い気はしない。
むしろ、
「嬉しい…かも」
◆
「いやー!めっちゃ買ったしー!しかもウチらの分までごめんねー!」
「いいんだよ、自分じゃ何もわからないし、経費という名のお礼だ!」
「私も、ありがとうございます。大切にしますね!」
美未ちゃんもあずきも、活き活きしてるなぁ。
これも全部、あの日二人をいじめから解放した成果!
ほらみろ、やっぱり人助けは必要なんだ。
アタシは間違ってない!
…と思う、けど。
心配してくれる人を思えば、自信満々とは言えない…。
あずきはキョロキョロと周囲を見回し、一箇所に指を差した。
「次、あそこ」
「え?」
「当たり前だし、一つのブランドで統一するのもいいけど、別の店舗もチェックしないといけないし!オシャレの組み合わせは無限だし!」
「…マジかよ」
美未ちゃんを見ると、ニッコリと笑っていた。
これからが本当の地獄だ…。
◆
「もうッ!もういいんだよな!?今の所で5店舗だぞ!?5時間だぞ!?」
小倉がガラガラ押してくれているカートはすでにてんこ盛りだった。
「お店は何店舗見てもいいんだし。それぞれのお店で得た知識は無駄にならず、今後のオシャレに昇華されるんだし」
「あずきちゃん、オシャレの時は饒舌になるね」
美未ちゃんがクスクス笑う。
「それに、うぃんが勘違いしてそうだから教えてあげるし。言っておくけど今の時期に売ってるアイテムは『初夏』のモノだし」
「しょ…初夏?」
「そ。言っておくけどおっきく4シーズンに分割されるけど、こだわってるブランドはもっと細かく刻んでくるし。今日のは、『初夏』。アンダスタン?」
じいちゃん…このカード、貰っていい?
「もうやだ…女の子こわい…出費がとどまることを知らない…」
「うぃんちゃん、ランジェリーやスキンケア用品、その他にも買わなければならないモノ…まだありますよ?」
ここまでくると、笑顔を絶やさない美未ちゃんが一種のモンスターのように思えてくる。
「…はい、お任せしますので…お手柔らかにお願いします」
アタシは敗北宣言をし、今日一日を犠牲にすることで今日を生きる権利を得ることにした。
「ワイは男で良かったと思える瞬間やな、日々学習やで」
「小倉、アンタも他人事じゃないし。その猫みたいな目さえ除けば、高身長、高学歴、清潔感有りで優良物件なんだし」
「何サラッとディスっとんねん、どう見てもプリティーアイやろうがい。ねー、うぃんちゃん!」
「や、そこで振られても困るんで」
「なんでや!?同意してくれたらええ話やんけ!?」
「や、そこで振られても困るんで」
「おっふ、そんなユーモアあふれるうぃんちゃんも、好・き」
「あんまり気持ち悪いと、また顎ぶん殴って脳揺らすよ」
「いやん!ドSッ!?」
なんかアタシ、みんなといられて、すごく楽しいかも。




