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女の子二日目→帰宅

すめらぎ うぃん:元地域最強クラスの男子高校生、すめらぎ 勝利しょうり。現在は親族の意向により女体化しており、女性として生きることを決意。一ヶ月の入院生活により、筋力は一般女性クラスまで低下している。一人称はアタシ。


狼山ろうやま 小倉おぐら:私立清峯学園一年生。あずきの弟。喧嘩好きでタイマンとはいえ双龍の二人に勝利している。一人称はワイ。

「ただいまー」

 打ち上げや!打ち上げやー!とうるさい小倉を連れて帰ってもらい、今日は解散。無事に帰宅したところだ。


「おかえりなさい、うぃんちゃん!」

「母さん!今日は早いね!?」

「そうなの、うぃんちゃんに会いたくて、早く帰らせてもらっちゃった」

 母さんがウィンクする。


「許可が出て当然だよ!昨日はすごく遅かったみたいだし…」

「そうね、バランスを取らないと体調を崩しちゃうもの、メリハリが大事よ」

 そう言うと母さんはリビングへ。

 アタシは荷物を下ろすために自室へ向かった。


ーーガチャッ、バタン。


 自室に入ると鞄を置き、ブレザーをハンガーにかける。


 …今日も、本当に疲れた。

 出来ることなら、あんな運任せの近距離戦は、もうごめんだ。

 少しずつでも筋トレを始めて…


 …って、違うだろ。

 今日のは例外。

 ルーティンの危機だったから、仕方なくやったんだ。


 明日からは小倉も合流してくれるし、アタシが居なくたって。


 …。


 …それで?

 自分は安全なところでぬくぬくして、みんなのことは危険にさらすのか?


 出来るわけがない。


 でも、両親はアタシに安全に暮らしてほしいと思ってる。

 それは、みんなの家族だってきっと同じだ。


 じゃあ、やっぱりルーティン自体を廃止するしかないのか?


 救えるかもしれない誰かを救いたいと思うのは、傲慢ごうまんなんだろうか。

 自分には出来ると思っていたことが、今の自分には出来ない。

 今までと同じ考え方をしていてはいけない。


ーーガチャッ。


「うぃんちゃんおかえりー!パパだ…」

「父さん、ただいま」

「きゃあああああああああああああああ!!!!!!」

 父さんが悲鳴をあげる。


 はっ、ちょうどブラウスを脱いで下着が丸出しになっていることに気付く。


「だ、大丈夫だよ父さん、セーフセーフ!!」

「いやあああああああ!!!!!!!アウトおおおおおおお!!!!!」


ーーバタンッ!!


 …。


 いや、おかしいでしょ。

 なんでアタシが気を遣わないといけないの。





「…全く!もっと警戒してほしいな!父さん困っちゃう!」

「アタシの安心プレイスはこの家にはないの?」

 食事中、父さんがプリプリと不満を漏らす。


「もちろん、うぃんちゃんの場所はあるわよ。お父さん、もっと気を遣ってあげてね」

「はぁぃ…」

 しゅんと俯く父さん。

 我が父親ながら不思議な人だ。


「…これただの興味本位なんだけどさ、父さん」

「ん?なんだい?」

「アタシの半裸見て興奮するの?」

「ブバッ!!!!」

 舞い散る米。


「あら、どうなの?お父さん」

 母さんも興味津々といった様子だ。


「す、するわけないだろッ!!!可愛い我が子に欲情してたまるかッ!!」

「へぇ、じゃあ一緒にお風呂入る?」

 ニヤニヤしながら問いかける。

「んあッ!!!!!!」

 父さんはよくわからない叫び声をあげて顔を隠す。

 テーブルに片手をつきながら、父さんの腕をどける。


 ゆでだこがそこにいた。


「プッ!真っ赤じゃん!!」

「う、うるさい!!!!!」

「まぁ、お父さんったら」

 母さんがクスクスと笑う。


「…でも」


ーーガンッ!


 母さんはフォークをテーブルに突き立てると、


「お母さん以外に欲情するのも、ほどほどに…ね?」

「…ふぁい」

 父さんをからかうのは、母さんがいないところにしてあげようと思った。

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