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アシレマ【11】


()()以降、私は地味に黒髪の青年を()けるようになっていた。


ほぼライカちゃんか蘭丸(ランマル)さんの(そば)にいるようにし、カイル氏と二人きりにならないよう(つと)めた。


最初のうちは皆見て見ぬふりをしてくれていたのだが、あまりにも私の態度があからさまだったためか、ある時とうとう蘭丸さんが(しびれ)れを切らした。


「……あのさぁ、流石さすがに仕事やりにくいんだけど、お二人さん」


本日はセレグナ・ソルで拠点にしてる宿屋におり、移動拠点のリビングで蘭丸さんとライカちゃんがグロスマン財団に潜入して調べてきた内容を話し合っている最中だったのだが───


私はライカちゃんと蘭丸さんの間に(はさ)まってソファーに座っており、今となっては定位置と化している私の背後に黒髪の青年が腕を組んで立っている、という状態だ。


マックス坊っちゃんの分身(ダブル)であるところのミッシャは、ライカちゃんの魔法で外見に少々手を加え、本人になりすまして情報収集をしてくれていた。


(ちな)みに、どちらも術者なのになぜライカちゃんがミッシャに変身系の魔法をかけたかと言うと、単純に本体もそうらしいがミッシャは攻撃系魔術に割と特化していて飛び抜けて才能があるらしいのだが、補助系魔術はあまり得意ではないらしい。


私も本来はカイル氏とグロスマン財団の周辺を探る予定だったのだけど……。


「じゃ、里和ちゃんに頼んでもう一人、従者(ヴァレット)さん貸してもらえない……かな? ()(まま)言って申し訳ないんだけども」

「いや、それは(やぶさ)かじゃないけどさ、カイルの立場もあるし─── 一応、リワに伝えとくけど」

「うん、了解。じゃ、カイルはあたしが引き取るよ。こっちも何気(なにげ)に人手不足だからね。優秀な人材に現場で動いてもらえるのはすんごい助かるし」


不意に背後から特徴のあるキンキラしたソプラノの声が降ってくる。


えっ……!?


いい加減()れてはきたが、当たり前のように美女エルフが黒髪の青年の横で、同じように腕を組んで(たたず)んでいた───ただ、分身体なので当然のように体は半分なのだけれど。


里和ちゃんがよく使う分身魔法はいわゆる忍者同様、単純な人数増えるだけのもので、更に魔力消費が少なくなるよう里和ちゃんアレンジで体半分にしてたりする訳で。


とは言え、本体同様の威力(いりょく)の魔法を行使するのも可能で、更に本体と簡単に入れ()える事も可能だという。


ただ、美女エルフにとって分身魔法はお茶の子さいさいらしいが、彼女が簡単だと言ってるだけで実は相当上位の術者しか使いこなせないとライカちゃんがぼやいていた。


「しっかし、カイル、何で黒いマスクなんてしてんの? って、何だかずいぶん白くなったねぇ……」


私が里和ちゃんの取りなしに安堵(あんど)していると、その当人がまたぞろ別の問題に焦点(しょうてん)を当ててくる。


ふわんとカイル氏の顔まで浮かび上がると、手を伸ばして彼のマスクを()ごうとまでしてきた。


黒髪の青年はその美女エルフの手をあっさり()け、少々怒った様子(ようす)でぼそっと短く拒否ってくる。


「うるさい、ほっとけ」

「だって君、仕事のためにわざと日に焼いてたでしょ」

「黙れ」

「ああ、それ、真夜(メグ)さんの魔法でカイルさんが───」


今度は私が(あせ)って右(どなり)にいた可愛い魔導師見習いの口を(ふさ)ぐ。


これ以上(ヤブ)(つつ)かないで欲しい。


「ははぁ、なるほどね。じゃ、後でその美肌魔法の話、教えてよね。簡単な魔法(レシピ)にアレンジして特許出すから」


何が、ははぁ、なるほどなのかは判らないが、取り()えず話が()れたところで私はぶんぶんと小刻(こきざ)みに首を上下に振る。


咄嗟(とっさ)だったからあんま(くわ)しく覚えてないんだけども……相変(あいか)わらず計算早いね、里和ちゃん。


「それと従者(ヴァレット)の件だけど、そろそろ香月(メグ)もきちんと勉強してまぐれじゃない従魔、自力で出せるようになってもらおうと思うんだ」


え……それって───


私は思わず左(どなり)に座っている蘭丸(ランマル)さんに視線を移す。


美女エルフを柔らかな微笑(ほほえ)みを浮かべ見上げていたその彼女の従者(ヴァレット)さんは、私の視線に気づいて更に華やかな笑みをその白面(はくめん)に乗せ口を開いた。


「私の本来の姿はリワの使い魔の三毛猫なんだよ。今じゃ本来の姿に戻る事自体少ないんだけどね」

「そうだねー。あたし、ランマルの三毛猫姿(すがた)可愛くて好きだから、最近あんま見られなくて残念」


そこでライカちゃんがくすくす笑いながら間に割って入ってくる。


「だって、アレ嫌なんだよー。お尻の毛玉が2個丸見えになるからさぁ」

「その毛玉が可愛いんだよ〜! 猫好きのこと判ってないよねー」

「知る訳ないよ、そんなん」


ん?

毛玉が、2個?


「え、蘭丸(ランマル)さんって、女性、ですよ、ね?」


衝撃のあまり、思わず言葉がおかしくなる。


「あれっ、そうか、真夜(メグ)ちん知らなかったっけ? 私、女装子(ジョソコ)なんだよね」


………まじっすか?


ふと背後の黒髪の青年に視線を移すと、目を(つぶ)眉間(みけん)(シワ)を寄せ、疲れた様子で首を軽く振っていた。


茫然(ぼうぜん)としたままその横にいる里和ちゃんを見ると、やはりにやにやしてる花貌(かぼう)と視線がかち合う。


里・和・ちゃ・ん・めぇ〜…………… !!


【’24/04/15 加筆修正してます】

かなり追記してしまいました……毎度すみません

【’24/04/22 微修正しました】

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