表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/215

アシレマ【1】


目が覚めると、静寂(せいじゃく)に包まれた広めでシンプルな明るい雰囲気(ふんいき)の部屋に私は寝かされていた。


()しか空気も清浄で軽やかに感じる。


あれ、ここは───?


「あっ、真夜(マヨ)さん! 気づかれましたか!?」


更に聞き覚えのありまくりなアニメ声の少女が、紫紺(しこん)色の魔導服を身に(まと)い、慌てた様子でこの部屋の開け放たれたドアから私の元へ駆け込んでくる。


「ライカちゃん……」

「怖い思いされたんですね……かなり(うな)されてましたよ。(のど)乾いてませんか? 今お水持ってきますね!」


元気よくそう言うと、魔導師見習いの少女時代は身を(ひるがえ)し勢いよく部屋から出ていった。


そう言われてみれば確かに、凄く嫌な夢を見ていたような気がする。

それ以上に、あれが全部夢だったらいいのにとすら思ってしまっていた。


私の記憶に間違えがなければ、ここは南方なんぽうの大陸の国アイラーツァ中央部の荒野にあるエシラという町の、里和ちゃんの拠点になっている宿屋の一室だ。


アイラーツァに戻って来たのか……。


何となくほっとしたような、がっかりしたような、変な気分だった。


やけに静かだから、ここには里和ちゃん達はいないのだろう。

アイシュールの後始末でそれどころじゃないはずだし。


この部屋にはシングルサイズのベッドが3台並んでおり、その窓際の1台に私は横たわっていた。


気づくと服装も白のリネンの寝間着(ねまき)に着替えさせられている。

きっとライカちゃんがやってくれたのかな───あのおかしな格好(メタルビキニ)には随分(ずいぶん)驚いただろうけど……つか、ぶっちゃけ見られたくなかった。


いや、おかしなところで落ち込んでいる場合じゃない。


まだ頭に(きり)がかかってるような感じだったが、とにかくサーシャが心配だった。


「起きたか」


ライカちゃんが出ていったドアから、愛想の欠片(かけら)も感じられない声が飛んで来る。


黒髪の青年が珍しく心配そうな表情でそこに(たたず)んでいた。


「具合はどうだ?」


彼にしてはやけに優しい口調でそう言うと、ゆっくりと私が寝ているベッドの脇まで歩いてくる。


「大丈夫───色々迷惑かけて申し訳ない、です……」

「ばっ、何言ってんだよ! (むし)ろ逆だろ? リワのせいで(ひど)い目に()ったのはあんただ。今回は流石(さすが)にヴィンにこっぴどく説教されてたぞ、リワ(あいつ)


その言葉に私は目を丸くする。


ヴィンセントさんが里和ちゃんに説教するんだー……。

見たかったなー、それ。


その姿を想像し思わず笑みこぼれていると、そんな私にカイル氏が切れ長の双眸(そうぼう)を少し(ほころ)ばせたように見えた。


今度はその黒髪の青年にどきりとする。


……もしかして、元気づけようとしてくれて、る?


その私の視線に居心地の悪さを感じたのか、黒髪の青年は(おもむ)ろに視線を外し、少々慌てた様子で言葉を続けた。


「その上、サーシャが連れ去られちまうし……それもリワが無茶した結果だからな」


そうだ、サーシャ……でもどういう事だろ?


「いつもバタバタしてて(ろく)に説明する(ひま)が無かったのも悪かったんだが───」


今回は無口でぶっきら棒なカイル氏には珍しく、懇切丁寧(こんせつていねい)に説明してくれた。


要するに、ここ十数年の間に起こっていたミズガルズの騒動で必ず名前が上がっていたのがマイケル・ファーマンと呼ばれていた謎の魔術士で、里和ちゃん達はをずっと彼を追っていたのだという。


しかしかなり狡賢(ずるがしこ)い奴で、なかなか尻尾を(つか)めずにいたのだが、つい最近私達が被害に()ったアールヴヘイムでの騒動もその男がやっていたという事が判明し、流石の里和ちゃんも怒り心頭(しんとう)したらしい。


そこで奴を(ワナ)()める事を思いつき、約400年眠り続けていたマーガレットさんが目覚めたとワザと(うわさ)を流し、里和ちゃんは魔術士マイケル・ファーマンが()れるのを待っていた、と───


その正体にとてもがっかりし驚きもしたが、判ってみれば手口(てぐち)から何から成程納得(なるほどなっとく)な正体だった訳で。


(ちな)みにアールヴヘイムの謎の黒モヤ悪霊(?)は、ファーマンが呪いをかけた悲しみの妖精のバンシーだったという。


そこまで黒髪の青年が説明してくれたところで、硝子(ガラス)製の水差しとグラスを木製のトレイに乗せて持ってきてくれた可愛い魔導師見習いが駆け込んてきて叫んだ。


「何やってんですか、カイルさん! 真夜(マヨ)さんは疲れてるんですよ!?」


×HKの『○IFE』見ながら書いてたんですが、カイルの台詞を□瀬アリスちゃんの「気分はどう?」と書きたくなって仕方なかった私です


【’24/03/28 追記修正してます】

【’24/03/29 誤字脱字修正してます】

【’24/03/30 追記修正してます】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ