表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/215

アイシュール【5】


ドガーン!!


先ほどサーシャが入ってきた贅豪諠爛(けんらん)な扉が、外側から吹き飛ばされるように破壊される。


私が驚いてそちらに視線を移すと、そこには肩で大きく息をしている全身黒ずくめ青年が鬼の形相で(たたず)んでいた。


「やあ、カイル! 随分(ずいぶん)と早かっ───」


次の瞬間、一陣(いちじん)の風と共に茶髪の竜人(ドラゴニュート)はふっ飛ばされていた。


どぉーん………!


室内の派手な装飾の暖炉(ペチカ)を破壊しながら、更にフローラルパターンの壁に体をめり込ませる。


サーシャ!


私は一気に青ざめ、ばっと身を起こす。


気づけばいつの間にか私のいるベッドの(かたわ)らに黒髪の青年が立っており、凄絶(せいぜつ)な怒りの色をそのファイアオパールの如き瞳に浮かべ、サーシャを(にら)みつけていた。


「よくもお前、()()を───!」


更にカイル氏は追い打ちをかけようと、その全身に怒りの気魄(きはく)(みなぎ)らせている。


そこで(ようや)くはっとして、私はその黒髪の青年の右手を(つか)む。


「待った!」


すると今度はギッと私を睨みつけ、その私の手を振りほどく。


こんなに怒りに身を任せているカイル氏を初めて見た。


普段はどんな状況でもどこか冷めた目をし、世情から一線を(かく)しているような風情(ふぜい )の人なのに───


最初から私にも(こわ)い人ではあったが、それは周りの事を考えて()えてそんな立ち回りをしてしまうような、そんな不器用な優しさのある人だと気づいてから、いつの間にか私は彼が怖くはなくなっていた。


だから、止めないと!


こんなのきっと、絶対に後悔する。


私はそんな黒髪の青年の前に立って両手を広げ、それ以上の怒りの行使をさせないよう(さまた)げる。


「───どけ!!」

「どかない」


しかしそんな私になどお構いなく、カイル氏は冷徹な瞳で私を見下ろしたかと思うと、私を避けて茶髪の竜人(ドラゴニュート)の方に行こうとした。


「待って! サーシャは敵じゃない!」

「まだそんな寝()けた事言ってんのか、あんたは!?」

「寝惚けてない!」


それ以上憎しみに心を支配されてしまえば、今回私を(エサ)に里和ちゃんを(おび)き出そうとしてる連中と同じになってしまう。


そして、エシラの宿屋で私を(かば)って頭を打ってしまった時の事を思い出す。

頭に怪我がないか、私が彼の黒髪の頭を確認していた時に気づいてしまった事───


「ごめんなさい! 私がこの世界に無知で、ぼんやりしてるから、カイルにストレス抱え込ませてたんだね……本当にごめんなさい」


その私の言葉にかなり面食(めんく)らった様子(ようす)で、黒髪の青年のサーシャへの怒りの感情がゆらりと(かたむ)いていた。


「……真夜(メグ)


やがて瞳に怒りの色は消え、いつもの彼の宇宙の深淵(しんえん)のような輝きの瞳に戻っていた。


それを見て、私はほっと胸を()で下ろした。


しかし、何でそんなに怒ってたんだろ?


「良かった、無事で───」


カイル氏は独り言ちるようにそう言うと、私の予想を裏切る行動に出た。


ふわりと何かが私を包んだ。


「あいつが坑道でおかしな事言うから………」


再び私の左耳元で、黒髪の青年が疲れたようにそんな言葉を漏らす。


「おかしな事って?」

「『早く助けに来ないとメグを食べちゃうぞ』とか言ってたんだよ」

「………」


サーシャの言う食べるって、どっちの意味なんだろ?


「感動の再会に水を差すようで悪いが、ブラック・ドラゴン(ズメイ)は返してもらうよ」


唐突(とうとつ)に、そんな言葉の中身とは裏腹で変に威圧的な声が室内に響き渡る。


ぎょっとして私とカイル氏はその声の方に慌てて振り返った。


睡魔せん……また後で加筆修正させて下さい


【24/03/14 00:50 加筆してます】

【24/03/16 地味に加筆修正してます】

【24/04/04 加筆と重複表現修正しました】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ