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イティプ・アプク【8】


「あのさー、里和(りわ)ちゃん」


私はイティプ・アプクの(この)坑道内にある、最下層の五叉路(ごさろ)の物陰にしゃがんで隠れながら、同じようにしゃがんで隠れている美女エルフにひそひそと声を掛ける。


ここは里和ちゃん達が女王ババイと激闘していた場所で、最終的に倒した場所だったりする───要するに、ここで沢山(たくさん)の子ババイを卵で産んでいた模様(もよう)


長命の女王ババイの遺骸(いがい)はモロお金になるらしく、イアンさんと蘭丸さんが魔法具で必要な下処理をし、里和ちゃんの魔法で宿屋にいるライカちゃんに転送したらしい。

今回の討伐で使った分の補塡(ほてん)ぐらいの稼ぎにはなるとの事で。


そしてこのババイの営巣(えいそう)場所にアリカントもいたらしく。


この坑道がババイに占拠(せんきょ)される前から坑夫の中に偶然アリカントを()る者がいたので、当然のように捕獲を試みたらしい。

だが、関わった坑夫全員が夢中になって追い回した結果、アリカントからの返り()ちに()い、見事に奈落(ならく)の底に落とされたという。


以降、何人もの海千山千の人々───軍人や傭兵、冒険者、トレジャーハンター、盗賊、マフィアなんかがアリカントの捕獲に挑戦したらしいが、毎度アリカントの罠でほぼ全滅───帰らぬ人となった。


やがて気づけばババイという厄介(やっかい)な魔物まで()みついてしまい、とうとう誰も入れなくなってしまった、と。


そこで今回、(しび)れを切らしたイティプ・アプクの鉱山の持ち主から里和ちゃんに依頼が舞い込んだのだ。


実はかねてより訳あってここの魔鉱石を狙っていた里和ちゃんは、渡りに船と内心ほくそ笑んだらしい……。


すると、シッと桜色の形の良い唇に白く細い人差し指を当て、無茶苦茶(むちゃくちゃ)真剣な目で美女エルフが私を(にら)みつける。


あぁ、黙ってろって事ね。

もうこうなると意地だね……。


そんな彼女の態度に思わず肩を(すく)める。


それでも、もうこれ以上の無謀な勇往邁進(ゆういまいしん)を防ぐため、更に小声で言い(つの)る。


「今やろうとしてる事って、私に必要な物を手に入れるためにしてくれてるんだよ、ね?」


里和ちゃんの可愛いお弟子(でし)さん(いわ)く、の話だけど。


「………うん、まあ、そんなようなモン」


ん?


何だ、その相変わらず歯にモノが(はさ)まったような、意味ありげな言い回しは?


ま、()(かく)───


(うるわ)しの私の兄であるヴィンセントさんやスレンダーな蘭丸さんのやつれ(がおっ)た顔を見るのが、非常に心苦しい訳で。


「私のためだとしたら、別に今すぐとかじゃなければ、もう()めても───」

香月(かづき)のためだけじゃないの。これはあたしのためでもあるし、ヴィンさん達のためでもあるの。そして一番に、この世界(ニウ・ヘイマール)のためでもあるの」


げぇっ!?


美女エルフの切迫(せっぱく)したような調子の言葉に、私は自分の嫌な予感が当たってたと実感していた。


何で私がこの世界(ニウ・ヘイマール)を背負わされるような事を言われなきゃならんのだ───!?


私が絶句して青ざめていると、そこではっとした里和ちゃんが口を押さえて慌てて訂正する事には、


「あっ、違う違う、そうじゃない! そこまでじゃないから、ね?」


○木雅之の歌みたく言うなよー!


今、この最悪のタイミングで口滑らす話なのか⁉


私が動揺して頭を抱えていると、また最悪のタイミングでサーシャが私達のところにやって来た。


「どうにかアリカントの居場所判ったんだけど───何か、ふたりでモメてるの?」

「って言うか、サーシャいつの間に女の子になってんの?」


気づけば茶髪のくりくりとした炎瑪瑙(ファイアーアゲート)の瞳が印象的な可愛い少女がそこにいた。


「省エネモードだよ〜」


確かに青年サーシャの時は私より十数cm身長も大きければ、体格もそれに合わせてほっそり系だがそれなりに筋肉質で頑丈そうな立派な男性だ。


女性サーシャになると体格自体ひと回り小さくなり、里和ちゃんの従者(ヴァレット)の蘭丸さんより身長も少々低くなる感じだ───ただ、体型(スタイル)(マーガレットさん)よりメリハリがある───いや、マーガレットさんも本来の私よりは相当スタイルはいいんだけども。


ずっとお腹が鳴っていたので、恐らく空腹を(まぎ)らわすための苦肉の(さく)なのだろう。


それでも無邪気な笑顔で私の左腕に抱きついてくる。


うむ、かわゆい。


最近は私がそう思っている事を判ってて、あざと可愛く振る舞っている(ふし)があるサーシャであった。


この訳の判らない面倒臭い案件が終わったら、美味しいご飯、里和(りわ)ちゃんからふんだくって沢山(たくさん)食べさせてあげるからね。


と、パトロンのおっさんみたいな了見(りょうけん)でそんな事を考えていると、美女エルフが意味ありげなニヤニヤ笑いでそんな私達を(なが)めていた。


そこでふと我に返り、昔日(せきじつ)(うら)(ごと)が口を突いて出る。


「そう言えば、里和ちゃん。サーシャ懐柔(テイム)の件、あれ(たくら)んだの里和ちゃんでしょ?」


また地味に誤字等訂正してます

ついでに読み返して追記などもしております

何とぞ良しなに


[参考文献]

『種族資料』作者:月雪 銀狼 様 https://ncode.syosetu.com/n8480cc/

とても助かりました

ありがとうございます


【’24/02/23 11:07 加筆修正してます】


【’24/02/24 後半部分かなり加筆修正してます】

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