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アイラーツァ【7】


先の騒動で大分(だいぶん)サーシャに関しての説明は(はぶ)け、ライカちゃんは文字通り珍獣を見る面持(おもも)ちで茶髪の青年を見ていた。


サーシャはハイソなリビングの立派な一人掛けソファーで優雅に(くつろ)ぎながら、その彼女に応えるようにニッコリと邪気(じゃき)の無い笑顔をみせる。


ぶっちゃけサーシャの美点は分け(へだ)てなく、にこやかに人と接する事が出来るところだと思う───まあ、人によっては見境なく発情(さか)ってる、という風に見えなくもないが、恐らく訳が……あるんだろうと思いたい。


そんな私達の前には、大理石に似た石のセンターテーブルにライカちゃんが()れてきてくれた紅茶が置かれており、白のティーカップから(かんば)しい香りと共に湯気を立てている。


久方振(ひさかたぶ)りの人間らしい暮らしに触れる事ができ、私は嬉しさを隠しきれずその紅茶をひと口飲んだ。

とても香りの良いフルーティーなフレーバーで、思わずほぅ、と溜め息がでてしまう。


その私の様子が面白かったのか、ライカちゃんはふふっと笑いを漏らしてから、再びサーシャという不可思議なドラゴン(ズメイ)と呼ばれている青年に視線を移してしみじみと口を開いた。


「……はぁ、この方竜人(ドラゴニュート)黒い火竜(ズメイ)なんですか。里和(リワ)様に師事してから色んな種族や魔物なんかに遭遇(そうぐう)しましたけど、ズメイは断トツでレアです」


やっぱそうなんだー……。


私は手にしていたカップをテーブル上のソーサーに戻し、別な疑問に立ち戻る。


と、なると、益々(ますます)こんな砂漠みたいな荒野になぜ黒い巨竜が連れて来られてしまったのか。


サーシャの話が事実だとすれば、魔法を使える誰かがって事になるけど───


ある意味専門家である美女エルフのいない今、考えても詮無(せんな)い話ではあった。


とにかく里和ちゃん達がいつ戻ってくるか判らない現在、自分が今やれる事と、できる限りライカちゃんとカイル氏からこの世界の事情や疑問なんかを色々訊いておかないと。


そんな訳で、早速私はライカちゃんに話を切り出した。


「ライカちゃん、お願いがあるんだけど」

「はい、何でしょう? 私にできる事であれば」

「私に魔力ってあるのかな?」

「「あるよ」」


それまで黙って私達の話を聞いていた黒髪の青年と茶髪の竜人(ドラゴニュート)が、ライカちゃんが答える前に異口同音(いくどうおん)でそう念を押すように言う。


私はガクリと項垂(うなだ)れる。


○中要次さんみたく言わないでよ……。


「いまだにそんな事言ってるのか、あんたは。じゃなければコレは何だ?」


私の左横の一人掛けソファーで前屈みで腰掛けていたカイル氏が、呆れ果てた様子で私の右横を陣取(じんど)っていたサーシャを指さしそう口を開いた。


「コレって言うな! って、そうだよ‼ ボクを強烈に籠絡(テイム)しといて、何でそんなおかしな事言うの?」


うぅ……おかしいのは私なのか。


すると魔導師見習いの美少女がクスクス笑いながら助け船を出してくれた。


「まあまあ、お二人共落ち着いて。でも仕方(しかた)ないですよね、真夜(メグ)さんはいきなり強力な魔力に目覚めてしまった状態なんですから。戸惑(とまど)うのは当然ですよ。それと、今頃で申し訳ないのですが、前回私をその魔力で救って下さってもいるじゃないですか。あの時は本当にありがとうございました」


あ、アールヴヘイムの時の。

冷静に考えると、あの件も一体何だったのか───それも訊きたかったんだよね。


「いやいや、とんでもない。恥ずかしいけどあんなのまぐれみたいなものだと思うし……それでもライカちゃんがそれで助かったのなら、ホント良かった」


ある意味ここに呼ばれた甲斐(かい)があったと言うか何というか。


「だから、真夜(メグ)さんにはかなり強力な魔力があります。これから師匠と私でそのコントロール法をお教えしたいと思ってます───と言いますか、学んで頂かねばなりません」


おぉ……!

願ったり(かな)ったりだけど、何か地味にコワい感じがするのは気のせいだろうか?


そこで私の右肩にズンと衝撃が走る。


長距離を飛行して流石(さすが)に疲れが出たのか、サーシャが寝落ちしていた。


【’24/02/06 18:20 微追記しました】

地味に誤字脱字等ないか頭から読み返したりしてるんですが、ありすぎて悶絶中です

話の中で忘れている事もあり、なるべくチェックしてはきたつもりなのですが……現在訂正しまくってます

しかし探してる訂正したい箇所が見つからず、何やってんだ状態っス(T_T


【’24/02/07 19:37 追記しました】


【’24/02/09 追記しました】

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