表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/215

アイラーツァ【6】


黒髪の青年に頼み、サーシャの首根っこを(つか)んで引きずるようにして私達は宿泊する部屋へ向かった。


夜だから宿屋の外観などの規模は(はか)りかねるが、中に入ってみると三つ星ホテル並の規模と(しつら)えがありそうだった。


里和(りわ)ちゃん……かなーりな富豪?


私は何気に背筋がうそ寒くなる心地を味わっていた。


広めの廊下をぞろぞろと進みながら、この宿に来てから気づいた3つの事を思い返していた。


1つは里和(りわ)ちゃんが探しに行っている魔鉱石(まこうせき)で、私も恐らく魔杖(ワンド)か何かの魔法具を作らねばならないだろう事。


もう1つは、ロビーにあの『天空の雄鹿』が飾ってあるこの宿屋が、恐らく里和ちゃんの関係者が経営してるのではないかという事。


最後の1つが、里和ちゃん自体が恐らくアシレマのグロスマン財団とかいう不穏そうな事業者と、何か関係があるのではないかという事───


「この部屋です」


ライカちゃんのその声で我に返るが、私達はいつの間にか窓のない薄暗い石の廊下におり、その行き止まりの石壁の前に立っていた。


両側の壁には等間隔でガラスのような光る照明がはめ込まれている。

しかし振り返ると、私達が通ってきたと(おぼ)しき廊下の奥は真っ暗になっていて、どこに(つな)がっているかも判らない暗闇になっていた。


気づくと、ライカちゃんの魔杖(ワンド)柄頭(ポメル)にある黄水晶(シトリン)が淡く輝いている。

いつの間にか魔法の領域に(みちび)き入れられていたらしい。


ここは、地下なのか?


何回か曲がったり下りたり上ったりした気がするが……。


んー??


私がはて、と首を(ひね)っていると、魔導師見習いの少女はその壁に魔杖(ワンド)を向け、


止まるものよ(イス)開きて(カノ)導き給え(ラド)!」


と唱え、コンコンと数回その壁をノックする。


すると叩いているうちに壁が水面(みなも)の波紋のように波立ち始めたかと思うと、やがてそこにポッカリと入口が開いていた。


「どうぞお入り下さい」


ライカちゃんは紫紺(しこん)色の魔導服姿の体をすっと脇に寄せ、私達を室内に導き入れる。


なるほどー。


私は感心しながら石造りだが洗練されたデザインのエントランスホールに入ってゆく。


里和ちゃん達の特別室なんだな、ここは。

これも竜騎士のイワンさんに言わせれば、用心深いって事になるのかな、とぼんやり思う。


エントランスを抜けると、そこには50㎡ほどのシンプルかつスタイリッシュな広いリビングルームがあった。


うっわ……!

このファンタジーの世界観に私達のいた次元の意匠(デザイン)、持ってきちゃって大丈夫なの!?


まだこの世界に来てからそんなに時間は()ってはいないはずなのだが、妙な懐かしさと感動と、自分でも驚くほどの安心感がそこにはあった。


里和ちゃんもヴィンセントさんも詳しい事は判らないが、どうやら『取り替え子』とか言うこの世界のシステム( ? )のせいで無理矢理こちらに呼び寄せられてしまったらしいので、やはり元いた世界のこんな場所が欲しかったのだろうな、と思わせる室内の造りだった。


そう言えば、二人のその辺の事情も訊きたかったんだけどなぁ……次は逃げないで教えてくれるといいんだけど。


そして私達全員がリビングの中に入ると、それまであった入り口は忽然(こつぜん)と消え去っていた。


「お疲れでしょう? 師匠達が戻って来るまでもう少し時間が掛かると思うので、()ずはゆっくりお(くつろ)ぎ下さい」


金髪ウェービーヘアの可愛い魔導師見習いはそう言うと、豪華な(しつら)えの広い部屋の中央にある高級そうなソファーセットを指し示す。


「ひと息ついてから、カイルさんの怪我(なお)しましょう」

「あー、気にすんな、ライカ。こんなん(かす)り傷だ。放っときゃ治る。俺はとりあえず風呂入らせてもらうわ」


砂埃(すなぼこり)まみれで全身白っぽくなっていた黒髪の青年はそう宣言し、それまで首根っ子を(つか)まえたまま引きずってきた茶髪の青年を、そのまま軽々と中央の革張りの長椅子に放り込むと、背を向け軽く手を振って右奥の部屋へ消えていった。


「カイルってばヒドーい! ボクもお風呂入る!!」


サーシャはそう憤慨(ふんがい)しつつ、黒髪の青年を追ってバスルームと思しき奥の部屋へ駆け込んでいった。

ぽいぽいと自分の服を脱ぎ捨てながら───すると、ほどなくしてカイル氏の驚愕(きょうがく)の叫びが鳴り響き、ついでにドカーンと言う破壊音が辺りを揺るがした。


あぁ……止めるべきだったか?

面白くなりそうだったんで、つい見送ってしまったが。


「メ……真夜(メグ)、さん……サーシャさんって……?」


ライカちゃんがぽかんとした表情で二人が入っていった奥の方を見ていた。


「うん、ごめんね。今説明する」


私は大きく溜め息をついて魔導師見習いの美少女に謝るしかなかった。

安易な好奇心は大火傷(やけど)の元だ。


そう反省してたところ、その部屋の奥から再び怒気を含んだ声が私の名を呼ぶ───


真夜(メグ)ーっ!! こいつをどうにかしろーーーっ!」


ルーンは恐らく間違ってます……ちゃんと勉強して後ほど修正するかもです

何とぞ良しなに


【’24/02/05 微修正しました】

後々お話に響きそうなので

・重複表現修正してます

【’24/02/07 12:08pm かなり追記してます】

【’24/07/01 修正しました】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ