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アイラーツァ【4】


里和(りわ)ちゃん達と別れてからそんなに時間は()ってないとは思うが、魔導師見習いの愛らしい姿を見た途端(とたん)、私は懐かしさと安堵(あんど)で涙がじわじわ来る気分を味わっていた。


「ライカちゃーん!!」


私は思わず駆け寄り、そのまま彼女の小柄な体を抱きしめる。

ふかふかしたその少女の抱き心地と(さわ)やかな花のような匂いに、更に私はほっとしていた。


「ま……メグさん!?」


魔導師見習いの可愛らしい少女は私の勢いによろめきながら、それでも持っていた魔杖(ワンド)を支えにどうにか踏ん張り、彼女より少し背高い私の体を受け止めてくれていた。


「待ってたよ〜」

「大丈夫ですか?」

「だいじょばないー」

「ええっ!?」


正直、精神的にはギリギリな感じだったので、私の心のオアシスが来てくれて本当に嬉しかった。


そんな私の様子を呆れた表情で眺め、溜め息をつきながら黒髪の青年が口を開いた。


「ライカ、助かったよ」

「あ、遅くなって申し訳ありませんでした。間に合って良かったです」

「ねーねー、この可愛(かわ)い子ちゃん、誰? ボクにも紹介してよ〜」


茶髪の青年は炎瑪瑙(ファイアーアゲート)のような瞳をキラキラさせ、カイル氏の背中に貼りつくようにして私が抱きついている金髪の少女を興味深そうに眺める。


「………⁉ このチャラい人、どうしたんですか?」


そんなサーシャに怪訝(けげん)そうな視線を投げ、ライカちゃんは黒髪の青年に質問する。


「あぁ、話せば長くなるから───それよりヴィン達は?」


カイル氏はうざったそうに自分の背中に貼りつく茶髪の青年を引っ()がし、綺麗な金髪ウェービーヘアの少女に()き返す。


「それが今、師匠が魔鉱石(まこうせき)探しに地下に行ってまして」

「あー? また石っころ探しに行ったのか!?」

「う〜、石っころって、そうなんですが……今回は真夜(メグ)さんの、なんですよ」


え、私の?

何で!?


私はびっくりして彼女から身を離し、どういう意味か質問しようと口を開きかけた時、


「ここで話すのはアレなんで、とにかく私達が泊まってる宿屋に行きましょう───とりあえずメグさん、これ」


ライカちゃんはそう言うと、魔導服の(ふところ)からライトキャメルのフードつきマントを取り出し私に渡してきた。

毎度そこに収まるような大きさではないのは判ってはいたが、この世界でそれを突っ込むのは時間の無駄以外の何ものでもない。


「わっ、ありがとう! ちょうど買わなきゃと思ってたから、ホント助かる〜」


そう礼を言いながら元々着ていたパールホワイトのベルベット地のマントを脱ぎ、早速新しいマントを羽織(はお)目深(まぶか)にフードを被る。

その私を確認するとライカちゃんは嬉しそうに微笑み、私が着ていた砂埃(すなぼこり)まみれのベルベットのマントを懐へしまうと私達を先へ促した。


「じゃ、行きましょうか」


紫紺(しこん)色の魔導服姿の少女は、歩き出すと同時に小声で何事か(ささや)くと持っていた魔杖(ワンド)を軽く振る。

すると足元から徐々(じょじょ)に金髪で淡い黄色がかった緑眼の冒険者風な青年に変化していった。


「ら、ライカちゃん?」


私が呆気(あっけ)にとられていると、後ろから黒髪の青年が私の肩をポンと軽く叩いて歩くよう促す。


「驚かせてごめんなさい。こんなあまり治安の良くない町では、師匠も私もこんな風に男性になっている事の方が多いんです。余計ないざこざを避けるためにも有効なので」


外見は冒険者風の男性がライカちゃんの声でそう(しゃべ)った。


おぉう、違和感バリバリ……。


「あはは、それじゃ君はボクと同じだね。ボク達仲良くなれそうだね〜」


いつの間にか青年化したライカちゃんの真横に並び、サーシャが愉快そうに()()に笑いかける。

しかし意味の判らないライカ()()は、眉根を寄せて私達を振り返った。


「うん、ごめんね。後できちんとこの軟派なにーちゃんの説明するからね。悪い子じゃないから」

「………あんたが思うほど可愛いとも思えないけどな」


珍しくカイル氏がぼそっと補足してくる。


そりゃ、黒い巨竜(ズメイ)の時はかなり恐い(おっかない)けども。

でも、こんな綺麗なドラゴンがいるなんて思わなかったからなぁ。


私が無意識で支配(テイム)し従魔契約してしまったとは言え、そうとは思えないほどサーシャが自由奔放(ほんぽう)そうに見えるのが、黒髪の青年がイマイチ信用しきれない要因なのかなぁ、とも思う。


いや、それ以前の問題か……。


多分彼が恐れているのは、私のコントロールが()かない魔力のあやふやさ、なのかも知れない。


どちらにせよ現時点で自分ではどうにも出来ない───美女エルフ(リワちゃん)がどうにかしてくれるだろうか?


猥雑(わいざつ)な人混みの中を抜けながら、そう()()めのない事を考えていると、金髪緑眼の青年がすっと方向を変え、目配せで右側の横道に入る事を私達に示唆(しさ)してくる。


その後を追い同じように(かど)を曲がって細めの路地に入ると、少し先に淡い(あか)りに照らされた(ひら)けた場所が見えた。


「こちらです」


『ファンタスティックビースト』観てます

誤字脱字等ありましたらまた後ほど直しますので、何とぞ良しなに


【’24/02/03 00:25 微修正しました】

【’24/02/03 12:57pm かなり追記しました】

「紫紺色の魔導服姿の少女は〜」からになります

【’24/02/06 修正追記しました】

【’24/07/07 微修正しました】

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