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ミズガルズ【10】


黒い巨竜(ズメイ)の空の旅は、私が考えていたような快適なものとは程遠いクオリティであった。


私達が乗る前、可愛い女の子と化した黒い火竜が言う事には───


「ボク、人間なんて乗せて飛んだ事ないから、正直どうなっても知らないよ? なるべく揺らさないように気をつけるけど、多分無理だと思うんだよねー」


実際、その通りだった。


黒竜が飛翔している最中は常に息もつけないほどの暴風が私とカイル氏を襲い、ズメイの顔の変形型(ウロコ)である首付近の長めの(トゲ)に必死でしがみつくが、約400年眠り続けたマーガレット(メグ)の体には元来握力どころかまともな体力もなく、黒髪の青年に(かば)ってもらわなければとっくに吹き飛ばされてしまっていたに違いない。


冷静に考えれば乗るための輿(こし)(くら)がある訳ではないので、当然と言えば当然な話ではあった。


目下地の利があるカイル氏の提案で、比較的近い場所にあるアイラーツァ中央部の荒野の中の小さな町・エシラに向かっていた。


エシラは郊外に鉱物( 魔石も含む )や宝石などの鉱山があり、それに関する産業で成り立っているアイラーツァの中でもかなり裕福な部類の町らしい。

そこで里和(りわ)ちゃん達が来るのを待つ事になった。


そして肝心の黒いドラゴンであるズメイをどうするか、である。

一応エシラに向かう前にカイル氏がみっちり事情聴取をしてくれた訳なのだが、美少女になった黒ドラちゃんの話は至ってシンプル(?)だった。


「ボクが可愛い女の子達に会いに行く途中の話なんだけどさ〜」


……要するにナンパしに行こうとしてたらしい。


「急に変なモヤモヤしたホールに入り込んじゃってね。気づいたらこんなクソ暑い場所にいたの。きっとどっかのアホな魔術士かなんかの仕業(しわざ)だろうと思ってね、とっちめてやろうと探してたら近場に結構強烈な魔力を持ったお二人さんがいたワケじゃない? そりゃ、犯人だって思ったってしょうがないよねー」


と、私達を襲った理由を明かしてくれた。


いや、大きめの魔力持ってたからって即犯人認定とか、あり得ないんですけど───って、おや?


「それってこの人だけでしょ?」


傍らの背高い黒髪の無愛想な青年を指さす。

私は魔力なんて……恐らく無いはず。


しかし茶髪の美少女はふるふると(こうべ)を横に振る。

うーん、無駄に可愛い(めんこい)から困る。


「どっちかって言うと、メグっちのが」


え。


「じゃなきゃ、ボクほどの竜人(ドラゴニュート)と従魔契約なんて出来ないよ?」


へ?

ドラゴニュート??


私が地味にパニック状態になった所で、見兼ねたのかカイル氏が助け船を出してくれた。


「後で説明するから───とにかく、お前の言い分は判った。一応、仲間と合流するまではそう言う事にしといてやる。だが、嘘だと判ったら………覚悟しておけ」


そう言って黒髪の青年はじろりと茶髪の美少女を()めつけた。


「こーわっ」


黒い火竜(ズメイ)と思しき少女はクスっと笑ってそう言うと、ワザとらしく私の後ろに隠れてみせる。


そこで私ははたとする。


「ところで黒ドラちゃん、あなた名前なんて言うの?」


そうそう、呼ぶ時困るから教えといてもらわないと。


「名前? 無いよー。強いて言えば、ご先祖様はトゥガーリン・ズメエヴィチとか呼ばれてたみたい。ボクは『黒ドラちゃん』でも構わないよ〜………あー、じゃあ、メグっちがボクの名前つけてくれる?」

「───えっ!? 私が?」

「うん、メグっちはボクの初めての調教師(テイマー)召喚術師(サマナー)だからね」


香月真夜(メグ)は更に頭が混乱した。


地味に「テイマー」「サマ(モ?)ナー」「コンジュラー」で私自体が混乱してます

間違ったりしてたら後ほど訂正します

DQ1,2,3,7とFF3〜10-2しかやったことないもので……ははは


【’24/02/12 20:52 間違え修正しました】

「コンジュラー」→「サマナー」表記間違えを直しました

【’24/04/02 一部修正しました】

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