ミズガルズ【8】
誰……?
いまだモクモクと煙る砂塵の中に、飄々とした風情の青年が、にっこりと満面の笑顔でそこに立ち尽くしている。
黒地のナポレオンジャケット風でアンティークの金ボタンが印象的な上着、細身のダークブラウンのトラウザーに黒革でダブルモンクストラップのハーフブーツという出で立ち。
軽くカールした肩まで届く長さの茶髪、色白で眉頭だけが太めに残る短めの眉の下には、ゴールドと呼んでもいい色合いの炎瑪瑙に似た輝きを有した瞳がとても印象的だ。
この世界に来てから散々美女イケメンばかり見てきたので、大分感覚が麻痺ってきてはいるのだが、可愛い系のイケメンと呼んでも差し支えない部類のお顔をしていた。
身長はカイル氏よりちょっと低いだろうか?
自分についた砂埃を払いながら、私達の方に近寄ってきて言う事には、
「あー、こんなか弱いボクを2人して随分ボコボコに痛めつけてくれたよね───でもまあ、久々に手応えあって楽しませてもらえたから、おあいこ、かな?」
「「………」」
何だ、このチャラい兄ちゃんは?
いや……ま、さ、か───!?
「でね、君たち、つき合ってるの?」
ん?
謎のチャラ男君に指摘され、初めてカイル氏と抱き合ったままだった事に気づく。
そこでお互いにはっとし、慌てて離れる。
「まぁ、別にそれでもボクは構わないよ? ボク、この彼氏もタイプだし」
………は?
そう言ったと同時にチャラ男君はパチンと指を鳴らし、再び私達の目の前で炎の旋風が巻き起こる。
わあ、さっきから何なんだ───⁉
私が動揺するのを尻目に、こんな状況でも黒髪の青年は冷静に私を庇うため、すっと私の前に出てくれていた。
ホント真面目だなぁ。
そう感嘆したのも束の間、その炎の旋風が治まると先ほどまでチャラ男君が立っていた場所に、茶髪の可愛らしい少女が姿を現していた。
格好はさっき見たチャラ男君と同じで、容貌もある意味まんまの愛らしい美少女になってしまっている。
私は次々と起こるおかしな事態に、流石に頭を抱えたくなっていた。
そんな私をよそに、カイル氏は冷徹な言葉を茶髪の美少女に投げつける。
「つまらない事ばかり一方的に言うな。俺はお前みたいな訳解らん奴は御免だ」
「えー、そんな事言わないでよー。じゃ、このエルフちゃんだけで我慢する」
……いや、私だけとか、そんなの私も御免被ります。
つか、それ以前に、ね───
「あなたは一体、誰なの?」
すると茶髪の美少女はニカッと私達に向って笑い、少々不服そうに口を開いた。
「判ってるクセにー。ボクはさっきの黒い火竜だよ」
また追記すると思います
毎度すみません……
【’24/01/27 12:17am 微修正しました】
人化した黒ドラ見た目を少々変えてます
【’24/02/02 19:30 微修正しました】




