表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/215

アクシス・ムンディ【10】



え、え、え……………えーーーーーーーーっ!?


う、嘘だ……何これ?



私は無意識のうちに、黒髪の青年の着ている黒のソフトスキンのショートベストを両手でぎゅっと握り、高さを忘れて思わずそのアールヴヘイムにできた巨大な(うつほ)(のぞ)き込む。


その奥には暗闇ではなく、以前も見た荘厳(そうごん)幽夢(ゆうむ)な姿が(ひそ)やかに世界に根を下ろしている。



世界樹(ユグドラシル)───」



私はその存在の玲瓏(れいろう)さに陶然(とうぜん)となりながら、我知らずその名を(つぶや)いていた。


根の一部ではあったが、そのオパールの(ごと)き淡い虹色の輝きが間違いなく世界樹(それ)であると教えてくれている。


「そう言えばあんたには()えるんだったな。俺にはただの真っ暗な空洞(くうどう)にしか見えないが───って、あんま前のめりになると、落ちるぞ」


はっ、そ、そうだった───!


その幻惑(げんわく)的な宝樹(ほうじゅ)見惚(みと)れていた私は、カイル氏の言葉でふと我に返り、ついそのまま真下を見てしまう。


う……鬼高い…………!!


落とした視線の先には、意外に近場に美女エルフが開けたと(おぼ)しき巨大な穴の(ふち)があり、いまだにパラパラと土や草がその中に落下してゆくのが見える。

うっかり落ちてしまえば、無惨(むざん)な結果が待ち受けているであろうほどの高さだ。


ここから垂直落下する事を考えるだけで頭がクラクラして身が(すく)み、(にぎ)る両(てのひら)にじわっと汗が(にじ)んでくる。


結構太めの広葉樹の枝の上にはいるのだが、改めて見ると二人分の体重を支えるには心許(こころもと)なく感じられた。


そんな私の(おび)えた表情を見て、かなりワザとらしく黒髪の青年は話題を変えてくる。


「しかし想像以上に派手にやってくれたな。でもこれで、アールヴヘイムの崩壊は取敢(とりあ)えず止められたみたいだ。リワが開けた大穴(これ)を見たらアーロン様は頭抱えそうだけど」


───ん?

どーゆ事?

いやいや、そう言えば───


「里和ちゃん達は!?」

「大丈夫だ、心配ない。あんたが視てる世界樹(ユグドラシル)から今頃ミズガルズのどこかに降りてるはずだ」


……そっか、無事なんだ〜……って、もしかして知らなかったの私だけ?


私がキッとなって黒髪の青年に視線を移すと、珍しく彼は困ったような表情になり、焦ってしどろもどろで言う事には───


「イヤ、リワが……不穏(ふおん)な気配は感じてたみたいなんだけど、どのタイミングで襲ってくるかは(つか)みにくかったみたいで───だから、そんな不確かな事はあんたを不安にさせるだけだからって、ヴィンも言ってたし」


成程(なるほど)……(おっしや)る通り、かも知れないけど。

私みたいなのはニウ・ヘイマール(ここ)では役立たずなんだろうし。


深勘(ふかかん)ぐりなだけなのは判っていても、妙な疎外感(そがいかん)(ぬぐ)いきれない。


小学校を転校した時の寂寥(せきりょう)感がフラッシュバックする───


私はどこに行ってもよそ者なんだな。


そんな事で微妙に(へこ)んでいると、予想外の言葉が相手から発せられる。


「そんな顔するな」


え?


私は思い切りポカン顔になる。


「次からは俺がちゃんと可能な限り教えるから───まあ、それでも機密事項によっては駄目な事はあるから、それは許してくれ」

「あ、イヤ……そんな」


つもりは無かったんだけど、と言う前に───


「じゃ、俺達もリワ達の後を追うぞ」


彼は私の言葉を待たずにいきなり私の体を抱えたかと思うと、間髪(かんぱつ)入れずにそこから里和ちゃんが開けたらしい穴の方へ飛び出した。



私の反応は───()して知るべし。



『イギリスの歴史と時代背景』

https://walk.happily.nagoya/

参考にさせて頂きました


【'25/01/07 誤字改行修正しました】


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ