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スヴァルトアールヴヘイム【4】

*続きを読んで下さっている方へ*

話がつながらない場合、地味に前回新たにお話を追記してありますので、お時間ございましたらお読み下さい

気になさらない方はそのままどうぞ


しかし、なるほどなぁ……。


それが現在にまで(いた)るアールヴヘイムに厄災(やくさい)(もたら)すきっかけになった訳か。


「それでマーガレットさんの母親になるリラさん───えっと、ローズマリーさんがスヴァルトアールヴヘイムを裏切ることに?」

「まぁ、そんなところだけど、厳密(げんみつ)に言うと親父殿(おやじどの)がローズマリーさんを裏切らせてしまったんだよ。だって(もど)れないだろう、そんな状況じゃ」


………確かに。


不可抗力(ふかこうりょく)とは言え、王女様の(おも)い人を(うば)う結果になっちゃったんだから。


一連の騒動を(かんが)みると鬼のように個人的(うら)み感は否めないけど、スヴァルトアールヴヘイムに戻っても良くて処刑───もしくはその前に拷問(ごうもん)・暗殺ぐらいされてもおかしくない話なのだろう。


どの世界や時代であっても拷問ほど残忍(ざんにん)かつ恐ろしい行為(こうい)はないからなぁ……異端者のフォークとか、イバラ(ムチ)打ち、百(きざ)みとか。


「でもまぁ、ろくな真似(まね)しないことの(ほう)が多い親父殿だけど、ああ見えてもかなり腕のいい弓引き(アーチャー)だし、伯父上(おじうえ)───もとい、エルフ王のアーロン様と並び(しょう)されるぐらいの功績(こうせき)はあったりするからなぁ」


その()め息混じりのヴィンセントさんの言葉に、頭の中を○島みゆきの曲が流れたのは言うまでもなく。


そうなんですかー、と我ながら白々しい相槌(あいづち)を打ちながら、私が知ってる程度のグリフィスさんからは全く想像もつかない現状なんだけれども───って、いやいやいや、見た目で人を判断しちゃいけない。


ともかく、情報過多(かた)で何だか頭がくらくらしてきた私は、すっかり冷めてしまったハーブティーで喉を(うるお)すためにティーカップを手に取り一口(すす)る。


自分(マーガレットさん)がこれだけがっつりばっちりしっかり関わってしまっていては、黙ってたって厄災(やくさい)は向こうからガンガンやって来る予感しかせず……。


一体どーすりゃいんだろ───?


そこでいきなり聞き覚えのあるキンキン声が私の背後から矢のように飛んでくる。


「そんな訳で香月(メグ)さぁ、スヴァルトアールヴヘイムに行ってくんない?」


振り返らずとも判るお馴染(なじ)みの登場に、それでも私は飲みかけていたお茶を思わず、目の前の(うるわ)しの兄上様に吹き掛けそうになっていた。


里和(りわ)ちゃん、私驚かせて遊ぶのやめてくんない?」


うんざりしながら声のした方を振り返ると、艶麗(えんれい)な笑顔の美女エルフが相変(あいか)わらずの不気味な身体半分状態で浮遊(ふゆう)していた。


ちなみに里和ちゃんは分身体(ぶんしんたい)と本体を区別しやすいように、と親切心からそうしていると言い張るのだが、私にはただただ無駄に人を驚かせて喜んでいるようにしか見えてはいなかった。


つか、毎度一体いつから、そしてどこから私たちの状況を見て出てくるのか?


そしてそのおかしな現状に慣れきってる美女エルフ周りの人達の平然としたこの状態……いまだに理解に苦しむ私であった。


ところが、そこで黒髪の青年が再び怒気(どき)(ふく)んだ青黒いオーラを立ち(のぼ)ららせながら静かに口を開いた。


「おい、リワ。いい加減にしろ。また真夜(メグ)を危険な目に()わせる気か? 俺はそんなの許さんぞ」


うわ、カイルまた本気で怒ってる……。


私のすぐ後ろで両腕を組みながら目を(すが)め、無表情なまま黒髪の青年はそんな里和ちゃんを横目で見やる。


それにしても、我ながら何でこんな不可解な現象(オーラ)()られるようになってしまったんだろう?


これに関してもあまりに不安定な能力過ぎて、もうちょっと様子見(ようすみ)しないと自分でもあやし過ぎて誰にも言う気になどなれなかった。


「だな。流石(さすが)に私もそれは認められないな。今のスヴァルトアールヴヘイムに真夜(メグ)を送り込んでただで済む訳がないだろう? そうじゃなくてもロージーは……」


今回は珍しくヴィンセントさんもその柳眉(りゅうび)にしわを寄せながら同じように異を唱える。


って、その口幅(くちはば)ったそうな言い方───ローズマリーさんに何かあったんだろうか?


いや、そう言えば、ローズマリーさんって今何処(いずこ)……?


駄菓子菓子(だかしかし)───


「だからの変身魔法な訳よ」


声高らかに美女エルフは(のたま)うのだった。


えっ、あれって移動拠点が安全じゃなくなってきたからってな話じゃ───?


「木は森に隠せって言うでしょ? いつまでもヤラれっぱじゃ〜、あたしの沽券(こけん)に関わるしそんな性分(しょうぶん)でもないからねぇ。ここいらで一発、かましてやらにゃー!」


へー……流石の里和ちゃんも負け意識はあったのか。


「……それでまた、私に(おとり)になれ、と?」

「まっさかー。あたしが香月(あんた)に、香月(あんた)があたしになりすまして(ワナ)に引っ掛けるだけよぉ」


同じ事だろ……!


先週末ぐらいから今月一杯ぐらいまで少々ドタバタしておりまして、投稿遅くなりがちですみませんです

また誤字脱字加筆修正してしまうと思いますが、何とぞご了承願います

*「駄菓子菓子」は某漫画家さんへのオマージュです

【’24/10/31 誤字脱字加筆修正しました】

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