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リーサストール・ドレーカベイギャ【1】

*続きを読んで下さっている方へ*

色々ありまして前々回、新たにお話を割り込み新規投稿してありますので( 詳しい事は「活動報告」に記載 )、お時間ございましたらお読み下さい

気になさらない方はそのままどうぞ


アールヴヘイムは広い。


広いと言うより、人が夢見る数だけ無限に(ひろ)がってゆく───そんな場所だ。


だから広大で、限りがない。


まるでメビウスの輪のように。


その上、訪れるたびに風景も変わる。


同じ場所などふたつと無い。


同じ場所のように見えて、決して同じ場所ではない。


だから地図など作る事は出来ないし、それは不粋で無駄な行為だ。


それがエルフの故郷、アールヴヘイム。



××××××××××



ここに来るまで黒髪の青年からどんな現状か手短に話を聞いたところ───


アールヴヘイムの崩壊を止めるための要員として、魔法使い(ドルイダス)である里和ちゃんを筆頭に、現エルフ王かつ伝説の大魔導師でもあるアーロン様、魔導師見習いのライカちゃん等を中心とした、ミズガルズやニウ・ヘイマールの方々(ほうぼう)の階層世界の有志を集めた術師たちの協力を得、どうにかアールヴヘイムの完全崩壊を食い止めているという事。


黒い火竜(ズメイ)の方はとにかくアールヴヘイム中を暴れまわり、私の兄になってしまった吟遊詩人(バード)かつ魔法使い(ドルイド)でもあるヴィンセントさんを中心に、竜騎士のイアンさん、私の父になってしまった王弟でもある伝説のアーチャーのグリフィス公爵、美女エルフの従者(ヴァレット)蘭丸(ランマル)さん達が何とか止めようと奮闘中らしい───ちなみに、カイルは私のところに助けに来るまではここで闘っていた模様。


私は早速サーシャの気配を探り、(ようや)く居場所は見つけたのだが、カイルには黙って何度も思念伝達を試みたりしてみたが、黒い巨竜(ズメイ)からの反応は一切(いっさい)返ってこなかった。


内心それに哀しみと絶望を感じつつ、それでもやはり最後まで諦めずに、(ブラック)ジャガーに頼んでその場所まで乗せてもらう事にした───要するに、私の脚力(きゃくりょく)じゃ現場に到着するまでに日が暮れる、という話な訳で。


私が二回(ふたまわ)りぐらい大きくなった、綺麗な梅花紋柄(ばいかもんがら)が入ったその弥七(ヤシチ)の黒い背に乗ろうとした時だった。


そこで思い出したように黒髪の青年が口を開く。


「そんなに遠いのか? 半径10km圏内だったら、迷子になったパーティー用の簡易通信機器があるんだが……リワに頼めば飛ばしてくれるぞ」

「指輪型の魔水晶の通信器の事? あれって半径5km圏内が通信限界じゃ───」

真夜(マヨ)に指摘されて、プラス5km頑張って伸ばしたらしい」


別に指摘した訳じゃー無いんだけども。

内心里和ちゃんにしては中途半端な魔法具だなぁ、とか思ってただけで。


じゃあ、手っ取り早く美女エルフに頼んでみようか、となったところで───


「誰か私の悪口言った?」


私達の背後からそんなキンキン声が、後頭部に小石のようにぶつかってきた。


誰も悪口なんか言ってないっつーの!……………多分。

っつーか、逆にそんな言われている自覚があるんだろーか?


振り返るとそこには、奇っ怪なことに変わりはないが、(すで)に見慣れつつある体半分の里和ちゃんが浮いていた……あぁ、妍麗(けんれい)な分ホント不気味な風景。


ここで何でまだ呼んでもいないのにいるの、とか思わず、大概(たいがい)のことではもうまったくちっともさっぱり驚かなくなっている私であった───と言うより、悲しいぐらい驚くだけ時間の無駄なのだ。


いやいや、そんな事よか───


「里和ちゃん、お忙しいとこお手数ですが私達をサーシャのいる場所に……」

「おっけー。結局、香月(かづき)の手を(わずら)わせちゃうハメになっちゃったけど、こちらこそくれぐれもお願いするね」


アールヴヘイムの事なのか、はたまたただ単にサーシャをって事なのか……我ながら妙に疑心暗鬼(ぎしんあんき)になってるな、と思う昨今(さっこん)


私が微妙に表情を作り(そこ)なって(うなず)くと、里和ちゃんはなぜか少し(やつ)れたような笑顔になり、不意にそのまま私を抱きしめた───つか、里和ちゃん胸でか……!


と、私が不謹慎な事を考えていると、(にわか)に私達の足元が蛍光イエローに輝いたかと思うと、大きな魔法陣が浮かび上がる。


流石(さすが)に疲れているのか何だか様子が変だが、それでも美女エルフは無詠唱でこの複雑な空間転移魔法をあっさりやってのける鬼才だ。


次の瞬間、あの転移する時の独特な体が(ねじ)られるような、多少エグい吐き気のする感覚が私を襲う。


そして気づくと、周囲の草木が焦げた(にお)いが鼻を突く、熱風と赤い炎が渦巻く森の中に私達は立っていた。


そのあり得ない風景に愕然(がくぜん)とする間もなく、私達の頭上を猛烈な旋風(せんぷう)と共に白熱の炎が(かす)めるように通り過ぎる。


その炎が放射してきた方向に、私が探し続けていた黒く巨大な姿があった。




「───サーシャ!」





エピソードタイトルはアイスランド語で「巨大な竜の波」という意味です……毎度のググる翻訳さんです

読みは耳コピなので恐らく間違ってます……カタカナに置き換えられない音がありすぎて


【’24/07/20 文章の抜け加筆修正しました】

暑さでまともな判断が出来ないです……ぇ、元々?

まだ加筆修正すると思いますが何とぞよしなに

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