表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/215

アールヴヘイム【2】


「あのー、ちょっと()いても?」


幾筋もの(つた)が絡みつく鬱蒼(うっそう)としたアールヴヘイムの森を歩き続けて早一時(ひととき)───こんな場所に王宮があるとは思えない私なのだが、里和ちゃん御一行様は全然気にしてはいない様子。


先頭に里和ちゃんの従者(ヴァレット)蘭丸(ランマル)さん、美女エルフと化したらしい里和ちゃん、緋色の髪の竜騎士・イアンさん、エルフ王の甥っ子のヴィンセント氏、魔導師見習いのライカちゃん、トホホな私、殿(しんがり)は私を鬼威嚇(いかく)した黒髪のカイルさんという並びになっている。


そんな中、里和ちゃんは生欠伸(あくび)を押し殺したみたいな表情のまま私の方を一瞥(いちべつ)し、気怠(けだる)そうに返事をしてきた。

気のせいか緋色の髪の青年が、その彼女を見て一瞬だけ表情をだらしなく緩ませたように見えた。


(なぁに)───?」

「今どこへ行こうとしてるんだっけ?」

「今回お世話になったエルフの王様に会いに『光芒(こうぼう)の宮殿』へ」


あ、間違ってなかった。

つか、思った以上に遠いかも。


その上、今更ながらみんな結構な重装備で歩いている気がする……。

所謂(いわゆる)、中世北欧のファンタジー世界でよく見る感じの冒険者風の格好だ。


本日の里和ちゃんは豪奢な銀髪(プラチナシルバー)をポニーテールにして赤紫色の組み紐で結び、白のキャバリアブラウスにキャメル色の革のハンティング風ショートベスト、同じく革の濃紫(こむらさき)の小さめのショルダーバッグを斜め掛けし、黒のデニム生地っぽい細身のボトムに太めの革ベルト、膝丈の茶革のレースアップブーツ、極めつけはフードつき黒のドルイドマントと言う出で立ち。


相変(あいか)わらずおしゃれだな、とつくづく思う。


高校の頃から所謂(いわゆる)流行りのスタイルとかを追うタイプではなかったのだが、彼女なりのポリシーがあり、常日頃から自分に合った格好を心掛けていたのを私は知っている───多少、独特(クセつよ)感はあったが。


私は私で、何せこの世界の事は全然さっぱりすっかりちっとも判らないので、取敢(とりあ)えず彼女に一式任せたら───


白のサテン地に金糸で刺繍(ししゅう)を施された、前立てと襟袖(えりそで)にオーガンジーのフリル多めの黒のボウタイつき立ち襟ブラウスに、黒革で太めの編み上げサッシュベルト、グレージュのベルベット生地で細めのボトムに黒の長めのキャバリエブーツ、パールホワイトのベルベット地のフードつきマントといった仕上がりになっていた。


うぉう……!

何、この湧き上がる(ヅカ)感。


鬼のように抵抗はあったが、他に白のネグリジェしかなかったので黙って着ることにした、が───その時の里和ちゃんのニヤニヤは一生忘れないであろう。

私が嫌がるのを判っててやってるのだから(タチ)が悪い。


そしてその(ヅカ)服(多分違)に着替えた直後、里和ちゃんに用があって偶然入って来た仏頂面のカイル某が、思い切り驚愕(きょうがく)したままよろけていたのが印象的だった。


そんなに私が嫌いなんスかねぇ……。


「久々に可愛い香月(メグ)が見られて嬉しいんでしょ?」


里和ちゃんがけたけた笑いながら、最後に私の髪を編み込んでシルバーの髪飾りをつけてくれた。

カイル某はむうっとした表情になり、何も言わずにそのまま出て行ってしまった。


「……何か里和ちゃんに用事あったんじゃないの、あの人?」

「あったんでしょうねぇ」


(ようや)くこの美女エルフを里和ちゃんだと実感し始めた昨今、こんなシチュエーションに遭遇する(たび)まだまだ自分がメグ───マーガレットと呼ばれる事に違和感ありまくりな私だったりするのだが。

ヴィンセントさんは気を(つか)って『真夜』と呼んでくれてはいるが、その都度(つど)周囲の人の微妙な反応に正直うんざりもする。


ひとつ溜息を()き、そんな事を思い出していた矢先であった。


「あったよー、フェアリーリング」


都度壁にぶつかり、ますます遅筆になってます

またこっそり加筆修正してしまう予定です

あと遠くに出掛けなければならないので、また遅くなってしまうかもですので何卒ご容赦願います


【’23/12/11 01:02 微修正しました】


【’24/02/20 間違え修正しました】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ