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2-16. 家が大きくなったので女神がハーレム増加を画策した(3/4)

約1,500字でお届けします。

楽しんでもらえますと幸いです。

「そっか。部屋が増えたのか」


 ユウは浮遊魔法の【レヴィテーション】を使って、ふよふよと部屋の中を浮きながらうろうろとしている。その瞳には何かを企んでいるような雰囲気が伺える。しかし、ここには誰も止める者もおらず、仮にいたとしても止められることはないだろう。


「もういっぺんに増やしちゃおうかな。ナジュみんとリゥぱんのときにムツキにはもう勘付かれちゃってるし……。でも、もう後3人くらいが限界だなー」


 ユウはムツキを模したぬいぐるみを見つめて、それを見つめられるように浮遊を留まり、じぃーっと待ってみた。何か良いアイデアが浮かばないかを念じているようだ。


「やっぱ、いくらムツキがすごいとはいえ、7人を順繰りに相手するのは大変だからね。ムツキったら、中々皆まとめてしたがらないんだから! 私も遠慮がちとはいえ、順番回ってくるの遅くない!?」


 本来、ムツキの体力を持ってすれば、一夜に10人でも問題ないはずである。むしろ、複数人で相手しないと彼は実際満足しない。しかし、彼はハーレムを形成しつつも一人一人を大事にしたいということで基本的には共に夜を過ごすのは一人だけと決めている。


 ユウは何度か彼に複数人を打診するも、数度あったくらいで中々受け入れてくれない。その数度でさえも彼を煽りに煽って、何とかそのような雰囲気に持っていったのであって、毎回使える手ではない。


「それに、モフモフもさせてあげないと、ムツキはこの生活に嫌気が差すかもしれないし……。それだけは嫌! 絶対に回避しないと! ムツキに嫌われたら、私、本当に生きていけないかもしれない……」


 ユウの原動力は主に、自分が楽しいこと、ムツキに嫌われないこと、そして、ムツキが喜ぶことである。


 彼女は場合によって、自分よりも彼を優先することがある。彼女の最高傑作であるムツキは、彼女をときめかせて生きることに潤いを与える存在であり、嫌われてしまうことに怯え彼女をとてつもなく強く縛る枷のような存在にもなっていた。


「本当に失敗したな……本当はこんなにすごく好きになるはずじゃなかったのに……。かっこよくして、強くして、何より性格が私の超好み……。あー、もう、最高! 好きすぎてちょっと辛い……」


 ユウはムツキのぬいぐるみを急に抱きしめて、ぎゅーっと抱え込む。ぬいぐるみは「く」の字に曲がりながらも抱きしめに耐えている。


「ムツキがハーレムを望んでくれて本当に良かった。そうじゃなかったら、私は彼を縛り過ぎる害悪になっていたかもしれない……」


 ムツキはユウとモフモフさえあれば、ハーレムはなくても良いと思っていた節があった。ただ、彼は彼で、彼女を、女神を独り占めすることにならないかと考えてしまったのだ。彼らはお互いにお互いを想いやる余りに少しすれ違っているところがある。


「さて、と。時間もないと思うから、早く決めないとね」


 「く」の字に曲がっていたぬいぐるみは元の位置に戻され、ユウは再び考え込む。やがて、この世界に似つかわしくないタブレットのようなものを取り出して、何やら画面とにらめっこを始める。


「あとは、人族、半獣人族、獣人族。この組合せで、かつ、私たち3人に匹敵するハーレム要員か……。難しいよ。ナジュみんが奇跡だったくらいだもの」


 ユウは悩む。自分のパートナーのハーレム要員を選ぶことに悩むなど、きっと彼女しか経験しえないことであろう。


「うーん。あ。人族はこの子がいたわね……。ちょっと性格に難があるけど、ムツキにかかれば、ちょちょいのちょろいよね」


 ムツキへの過大評価が見て取れる。彼も実際にユウのその言葉を聞いたら、首を横に振って否定するだろう。


「でも、リゥぱんとは合わなさそうだな……。ナジュみんがいるから、何とかなるかな? いざとなれば、私がフォローするか」


 ユウはできそうな雰囲気でそう言ってのけるが、実際、そういう調整をできない。女神も何でもできるわけではないのだ。つまり、ナジュミネ頼りの采配となる。


「獣人と半獣人は……おぉ……ちょうどいいのがいるじゃない? これは間違いなく決定ね。さて、後はどうやって出会うか……ね」


 ユウは少し考えた後に何かを思いついたようでさらさらとタブレットにメモをし始めるのだった。


 おかげで着替えもあって少し遅くなったのは言うまでもない。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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