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1-41. パーティーをしようと思ったら材料が足りなかった(1/5)

約2,000字でお届けします。

楽しんでもらえますと幸いです。

 調査が終わって帰ってきた翌朝。ムツキの部屋には、ムツキとリゥパがいた。彼に抱き着くように添い寝する彼女はとても満足げな表情だった。


 昨日は全員が疲れ切って帰ってきたものの、ユウの強権が発動し、ムツキとリゥパの初夜になったのだった。予定していた妖精たちが少し不満を持っていたものの、ユウの強権の前では寂しそうな鳴き声を出すばかりだった。


 ムツキは必ず埋め合わせをする予定である。


「ん……おはよう、ムッちゃん。ふふっ……まだ寝てるのね。寝顔、かわいい」


 リゥパは薄緑の寝ぼけ眼と薄緑の短い髪を寝ぐせ付きにした状態で目が覚める。彼女はまだムツキが起きていないことに気付き、その白く綺麗な細い指で彼の顔や首を優しくなぞる。やがて、彼女は彼の紫の綺麗な髪を梳くように指を通していく。彼の全てが愛しい、と言わんばかりの表情をしている。


「そういえば、夜のあれ、すっごくすごいけど、朝ってどうなってるのかしら?」


 ふと何を思ったのか、リゥパは布団の中にもぞもぞと潜り込み、しばらくしてから、顔を真っ赤にして戻ってくる。


「すごすぎ……まだ元気なのね……。さすがユウ様好みの究極体ね」


 何がとは言わないが、リゥパはムツキのすごさにある種の恐れも抱いたようだ。


「ん……おはよう」


 ムツキが起きる。そして、ゆっくりとリゥパを抱きしめる。彼は彼女の寝ぐせを梳かすように頭を優しく撫でる。彼女は自分の鼓動が早くなるのを感じ、表情がおかしくなっていないかを心配する。


「リゥパ。昨日はありがとうな。いろいろと俺のワガママに付き合ってくれて。こう言ったら怒られるかもしれないが、初めてとは思えなかった」


 リゥパは両手でムツキの両頬をペチリと叩く。そして、彼女の頬は膨らむ。


「もー、ひどいわね! 初めてに決まっているでしょ! もー、本当に怒っちゃうわよ? でも、ま、私が意外と尽くすタイプって、ムッちゃんも分かったでしょ?」


 リゥパが自慢げにドヤ顔をするので、ムツキははにかみながら彼女を見つめる。


「ごめん、ごめん。あぁ、すごかったよ。それに、モフモフ話もすごく盛り上がって、ちょっと興奮が収まらなかったな」


 リゥパはナジュミネから聞いていた話からモフモフ話が来るのは想定済みだったので、初めてということもあり、ワイワイ盛り上げることができた。しかし、たしかに、ナジュミネが言う通り、毎回これだと厳しいわね、と彼女さえも感じる。


「そうね。その興奮のまま、その、また、あれが始まったのには驚いたけど……。さて、起きましょ。いつまでもこんな格好で二人でいたら、朝から燃えちゃうかもしれないわ」


 リゥパの言っている燃えるは、昨夜の続きで情欲が燃えるという意味と、ナジュミネの嫉妬の炎が燃えるという2つの意味を指しているようだった。


 そして、リゥパは布団を自らはぎ取り、一糸纏わぬ姿をさらけ出す。彼女はムツキの視線に酔いしれながら、下着をつけて、白の半袖でひざ丈くらいの長さのワンピースを着る。


 森では長袖長ズボンしか着られなかった反動からか、今まで着ることがほぼなかった可愛らしい服ばかりを荷物にまとめてきていた。そして、森の中では狩人のような勇ましさがあったが、彼女もワンピースを着ると絶世の美女の1人に間違いなかった。


「たしかに、起きるか。って、何時だ?」


 ムツキは全裸のまま時計を見る。時計はこの世界にまだ時計がないため、ユウが異世界から持ってきた目覚まし時計である。そして、彼は自分で服が着られないので全裸なのである。


「これは、読み方が分からないわ」


 リゥパは恐る恐るそれを触るが、特に何かが壊れることはない。時計の針は変わらずいつも動いている。


「それは俺が読むから大丈夫だ。……あ、まずい。ナジュとの朝練に遅れそうだ」


「真面目ね。でも、他の女のために、寝室にいる女そっちのけなのは不誠実じゃない?」


 リゥパも本気で言っているわけではないが、少し意地悪がしたくなったようだ。


「あー、そういうことじゃないんだが、ごめん」


「冗談よ、冗談。ほら、こっちに来て。着させてあげるわ」


 ムツキはまるで小さい子どものようにリゥパに服を着させてもらう。


「ありがとう」


 2人ともの身なりが整ったところで、リゥパがゆっくりとムツキを抱きしめる。彼もそれに応じて彼女をゆっくりと抱きしめる。


「ムッちゃん、愛してる」


「俺も愛している」


 2人はお互いの顔を見つめながらそう呟きあう。


「誰よりも?」


「うっ……皆、一番だ」


 ムツキはリゥパの意地悪に笑顔を引きつらせてしまう。


「優柔不断、と言いたいところだけど、ハーレムだからね。私も皆も一番でいいわよ」


「……意地悪ばかり言われると困っちゃうな」


 ムツキは本当に困ったような顔をして、リゥパにそう告げる。彼女は少し焦ったようにぎゅっと彼を抱きしめる。


「冗談、冗談だから。言い過ぎたわ、ごめんね」


「……ははは」


「ふふふ」


 その後、2人は声に出して笑いつつ、寝ぐせ混じりで1階へ降りて行った。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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