表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

308/360

5-8. 雪合戦は遊びよりも本気で(4/4)

約1,500字でお届けします。

楽しんでもらえますと幸いです。

 ユウとリゥパが実質リタイアになった後、地上ではミクズとキルバギリーが先ほどの場所から見て雪壁の後ろになるように隠れつつ待機していた。


「静かすぎるのじゃ……やはり、地下は罠なのじゃ……キルバギリー……警戒を怠ってはいけないのじゃ」


「承知しました」


 いつの間にかミクズとキルバギリーが共闘状態になる。先ほどまで撃ち合っていたとは思えないほどに、お互いがお互いの死角を確認する息の合ったコンビネーションで警戒をしていた。


 彼女たちの周りで触手たちがせっせと雪壁を壊したり作ったり、さらに雪玉を作っており、そのゴソゴソとした作業音だけがやけに響く。


「くっ……メイリめ……ユウとリゥパの弔い合戦といくしかないのう」


「いや、亡くなってまではいないと思いますが……」


「ほんとだよ! 人聞きが悪すぎるよ!」


 ミクズの言葉にキルバギリーが冷や汗を垂らして苦笑気味に答えると、どこからともなくメイリも顔をひょっこりと出して非難の声を挙げる。


 メイリは顔を出したついで、非難の声を挙げたついで、と言わんばかりにミクズに雪玉の連射を見舞う。


「あたたたたたっ! くっ! メイリ! ぬぅ! 次はどこからじゃ!」


 ミクズが雪玉の向かってきた方向へと目を向けると既にメイリの姿はない。雪の中でメイリの黒色はあまりにも目立つはずだが、地下からでは色に意味などない。


「サラフェを見つけました! 別方向です! 撃ちます!」


 キルバギリーがメイリではなくサラフェを見つけ、雪玉射出装置を向けて放つ。


 サラフェは水魔法を唱えながら、氷の壁を張って、その壁を使ってアイススケートの要領で素早く華麗に滑り始めた。


「キルバギリー、いつも通りじゃ当たりませんよ? 雪玉だから弾速が遅いです」


「サラフェが速すぎるのじゃ! 地上では雪に足を取られて早く動けぬはずじゃが、氷の壁を使って、雪玉を防ぐのではなく壁を滑っておるのじゃ!」


「ミクズ、説明どうもありがとう!」


 メイリは油断も隙もなく、ひょっこりと現れては雪玉を投げて隠れてを繰り返している。


「っ! メイリ! ……あたたたたたっ!」


「あたたたたたっ!」


 ミクズやキルバギリーの姿をした【狐火】の分身には目もくれず、メイリが本物だけを当て続けている。


「さっきからどこからともなく撃たれるのじゃ! しかも、分身がバレておって……くっ! やはり見破られておるのじゃ!」


「ミクズさん、マズいです!」


「どうしたのじゃ!?」


 キルバギリーが叫ぶ。


 ミクズが反応する。


 その間にもサラフェとメイリの作戦は進んでいく。


「サラフェの作った氷の壁で移動可能範囲を狭められています!」


「なっ! しかも、周りをぐるりと! 閉じ込められておるのじゃ!」


「ふっふっふ! これで終わりだよ!」


 メイリはサラフェが作った氷の壁をいつの間にかよじ登っていて、上から大玉転がしサイズの大きさの雪玉を両手でがっちりと持ち上げていた。


「いや、いやいやいやいやいや! どっからそんなバカでかい雪玉を出したのじゃ!?」


 ミクズの焦ったセリフに、メイリは柔らかな微笑みを浮かべる。


「な、い、しょ♪ てえええええいっ!」


 ミクズとキルバギリーを囲む氷の壁は氷の筒のようになっており、その中を大きな雪玉が勢いよく落ちていく。


 キルバギリーとミクズが雪玉で応戦しても大きな雪玉が止まることはなく、そのまま彼女たちに直撃した。


「ふぎゃ! きゅー……」

「あにゃ! ぷしゅー……」


 大きな雪玉が崩れ、どっさりとミクズとキルバギリーの上に積み重なる。ミクズとキルバギリーは顔だけどうにか出してから気絶してしまった。


「時間はまだあるが、サラフェとメイリ以外は戦闘不能のようだな! 勝者はサラフェ&メイリだ!」


 アニミダックの宣言が響く。メイリとサラフェが小さく飛び跳ねて喜びを表していた。


「いえーい! サラフェ、やったあ!」

「メイリさん、やりましたね!」


 サラフェがいつになく笑顔を振りまくのでナジュミネとムツキまで笑顔になった。


「サラフェまで、メイリにつられていつもよりも笑顔が多いな。ん? 旦那様?」


 ナジュミネがムツキの方を見ると、本当に嬉しそうな笑顔で彼が口の端を上げつつも閉じていた。


「あ、悪い。サラフェがあんなに笑っているのは珍しいからさ」


 こうして、雪合戦はサラフェとメイリが勝利した。

最後までお読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ