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1-3. ただの幼女だと思っていたら女神様だった(1/2)【☆】

約2,000字でお届けします。

楽しんでもらえますと幸いです。

☆2023/05/31に七狗さまからイラストをいただきましたので、挿絵にさせていただきました。

七狗さま、ありがとうございます!

 女の子の正体は、この世界の唯一神である女神ユースアウィスだ。この世界を作った神であり、つまり、幼く見えても実年齢はこの世界より上である。


 具体的な年齢を伝えることはできない。


「年齢は乙女の秘密だよ!」


「ユウ、誰に言っているんだ?」


 ユースアウィスだと長すぎるので、ムツキからユウと呼ばれている。その呼ばれ方が気に入っていった彼女は、ケットやクーなどの妖精族たちにもユウと呼ばせるようになった。


「さぁてね」


 この女神はこの世界でのムツキの育ての親でもあり、1人目の伴侶でもある。神話でも親子や親せきと結婚することはよくある。


 ちなみに、ムツキがケットたちに出会うまでは、ユウが楽しそうに彼の全てのお世話をしていた。


「ケトちん。私のご飯あるー?」


「ユウ様、もちろん、ご用意していますニャ」


 ケットは恭しく礼をして、猫たちに食事を運ばせる。


「ユウ、乗れ」


「ありがとー、クーちゃん」


 クーはユウが座ったことを確認して椅子まで彼女を運ぶ。彼女はクーの艶やかな長毛を嬉しそうに撫で触る。クーはそれをこそばゆそうに反応しながらも嬉しそうにしている。


「いただきます! あーん」


 ユウは椅子に浅く座り、仔猫にエプロンをつけてもらうと口を大きく開ける。


「ニャ」


「ん-。美味しいっ。さすが!」


「喜んでもらえてニャによりですニャ。あ、口が少し汚れていますニャ」


「んー」


 ユウは口を閉じて尖らせながら、ケットにナプキンで口を拭いてもらう。


「拭けましたニャ」


「……老けた?」


「絶対に言葉の意味が違いますニャ……」


「そっか。あーん」


「ニャ」


「ん-。これも美味しい!」


 椅子に座っているユウは何の迷いもなく、いろいろと猫や犬から奉仕を受けていた。


 そう、神である彼女は周りから奉仕を受けることに何の躊躇もなかったため、ムツキが最強になる代償の呪いをこれでもかと付与できたわけである。


 こうして、妖精とはいえ動物の姿をしたものたちに食べさせてもらう男と幼女がいるというシュールな絵面ができあがる。


「ところで、世界の管理というのも大変なんだな」


「まあ、割とてきとーだけどね」


 ユウは今も世界の管理を行っており、急激な変化は極力起きないようにしている。今の彼女の部屋には管理に必要なツールがあり、ムツキでさえも部屋に入ることはできない。


「そういえば、今日も人族や魔人族が来たんだね」


 ユウは傍らにいるウサギを撫でつつ、ムツキにそう訊ねた。


「ああ、そうなんだよ。困ったもんだ」


 ムツキは嫌そうな顔をしながら首を縦に振る。


「風の勇者とか言っていたな。闇の魔王もいたが期待外れだった」


「まあ、ここは場所がねー」


 ムツキたちが拠点にしているのは、妖精族の楽園、世界樹の樹海の近くである。樹海の中央には世界の中心とも言える世界樹が生えており、その周りをまるで海のように広大な森林が囲っている。


 資源が豊富なこの樹海は昔から人族や魔人族に目を付けられていた。


「モフモフは尊いから守らなければならない!」


「そうだね」


 ムツキの強い主張にユウは少し苦笑いである。


「ありがたいことニャ」


 ムツキは転生して大人になってから現世に現れて、世界樹の樹海の守り人を買って出ることになった。


 すべてはモフモフのためである。いや、妖精の一種である森人族、通称エルフ族の姫が色っぽかったのも彼の頭を過ぎっていた。


 健全な男性なら仕方ない。


「ムツキやこの樹海に構わなくても済むように、割と天候を操作して、豊作にしたんだけどなー」


 ユウは最近の人族や魔人族の動きを見て、妖精たちやムツキのスローライフが極力脅かされないように神の施しを与えていた。


 それでも満足せずに人族どうし、はたまた、人族と魔人族で領土を取り合うような尽きることのない欲望を持つ彼らにとって、神の施しなど一服の清涼剤程度にしかならない。


「まあ、諦めてくれるまで何度も追い返すしかないな。早くそうなるといいけど」


「……いっそのこと、世界征服しちゃえば?」


「いやいや」


「その方が楽じゃない?」


 ユウがケタケタと笑いながらムツキに提案してみるが、彼はそれを明確に否定した。


「そういう柄じゃない。何かを痛めつけるとか、何かを滅ぼすとか、強さを見せつけるとかは好きじゃない。俺は安全にモフモフに囲まれながら、人生を謳歌したいだけなんだ」


 目の前にいた三毛の仔猫の顎を触ってゴロゴロと鳴かせながら力強く言い放った。いつ何時も動物とのスキンシップに勤しむ姿からは説得力しかない。


「ふーん。モフモフだけじゃなくて、ハーレムも築けばいいのに」


 ユウが意地悪そうに笑いながらムツキにそう言った。


☆2023/05/31 七狗さまからいただいたユウ(ユースアウィス)のイラスト☆

挿絵(By みてみん)

最後までお読みいただきありがとうございました。

☆七狗さまのユウがかわいくて素敵ですね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 女神ユースアウィス、可愛いですね イラストの方もとっても素敵です( ´艸`)
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