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4-91. 最終手段だから大きかった(1/2)

約2,000字でお届けします。

楽しんでもらえますと幸いです。

 時は少し遡り、サラフェとキルバギリーではなく、ムツキとレブテメスプの話である。


 レブテメスプとムツキもまた、無数の十字路で構成された通路の中を駆け巡り、ある部屋へと辿り着いた。こちらの部屋はとても広い上に円形をしているため、まるで闘技場のような印象を見る者に与えていた。


「ここがバトル会場か?」


「そうさ☆ ここで心置きなく戦おうじゃないか!」


 ムツキは罠やそれ以外の何かがあるかもしれないと思い、周りを見渡すもそれらしい仕掛けが何も見つからなかった。


 一方のレブテメスプは彼の様子にニヤニヤとイジワルな笑みを浮かべて、ここに何かがありそうと思わせようとしている。


「レブテメスプが戦うのか?」


「ボク自身が、という意味ならノーだね。ボクがボクの持てる力を駆使して、という意味ならイエスさ☆」


 ムツキの問いにレブテメスプは、とっさにファイティングポーズを取った後にポーズを解いてから、肩を竦ませて両手をひらひらとさせている。


「そうか。で、勝負はどうすれば決まるんだ?」


「相手を戦闘不能、もしくは、戦意喪失させた方が勝ちさ☆ ただし、ボクを死に追いやるほどの力を使わないでくれよ?」


 レブテメスプはキルバギリーと似たような説明をする。


 ただし、彼女の場合は自身の力量がサラフェよりも上だったが、彼の場合は力量がムツキよりも下になるため、暗に手加減してくれよと言っていた。


 ムツキはお返しとばかりに肩を竦ませて両手を肩の位置まで挙げている。


「そこまではしない。それにナジュがレブテメスプにお仕置きをするって息巻いていたからな」


「おっと、それは負けらんないね☆ あの鬼族の子はなんだか怖いからね☆」


 レブテメスプは冗談交じりといった軽快な声色で反応する。


「俺はいつでも準備できているぞ」


「こっちも最初から出し惜しみはしないぜ?」


 レブテメスプが指をパチンと鳴らすと、部屋の四方八方から何かが飛んでくる。飛んできた何かが彼の前に集合し、ムツキの方を向いた。


「キルバギリーに似た女の子が……9人も?」


 ムツキは目の前の光景に驚く。


 そこには年齢や身長、体型、髪型などを細かく変えているものの、顔や髪色はどれもキルバギリーとほぼ同じような女の子たちが9人も現れたからだ。


「キールと同じく、ボクの娘たちさ。まあ、キールは試作型で唯一無二だが、この娘たちはシリーズ化された改良型かつ特化型さ。キールとの違いを名称に込めて、ワルキューレとでも呼ぼうか」


 ワルキューレと呼ばれた9人の女の子たちは、にっこりとしているがどこか無機質な微笑みを湛えながら、盾、大剣、双剣、大槌、突撃槍、銃火器、鎖付き鉄球、杖、鞭と、それぞれの武器を構える。


 彼女たちを特化型とレブテメスプが言うだけあって、近接も遠距離も何でも対応できるという感じではないと、ムツキは理解する。


 「ヴァルキュリーもワルキューレも意味は変わらないな……ところで、俺の前にかわいい女の子を出すってことは、全員、俺のパートナーにしてもいいのか?」


 ムツキは冗談のつもりでそう言い放った。


 しかし、場が一瞬にして凍りついて、数秒ほど全員が固まっていた。


「はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは☆ おい……冗談でもぶっ飛ばすぞ?」


 レブテメスプは目を丸くして驚いた後に突然ケタケタと腹を抱えて笑い出し、それから急に凄まじい剣幕でムツキを睨みつけるという表情の七変化を見せた。


 彼からすれば、怒るのも無理はない。キルバギリーを取られた上に、さらに自分の娘たちが取られることになることなど到底許せるわけもない結末である。


「冗談だよ。それに、元々ぶっ飛ばすつもりだったんだろう?」


「へえ……ボクへの挑発が上手くなったじゃないか」


 ムツキとレブテメスプ、2人は笑う。女の子たちはそれを不思議そうに見ている。


「パートナーの記憶を消されて、俺だって腹が立っているんだぞ? お義父さん」


「その言葉、そっくりそのままお返しするぜ? 義息子」


 ムツキもムツキなりに腹が立っている。キルバギリーとは両者の合意を持ってパートナーになっているのに、それを生みの親とはいえ、両者以外の外野が理不尽にもなかったことにしようとしているのだ。


 レブテメスプも未だに娘を泥棒猫に取られた気分であり、腹立たしさが腹の奥底にずっと鎮座してくすぶっているのだ。


「ふっ……義父と思っていないけどな!」

「ふっ……義息子と思っていないけどね!」


 タイミングがばっちりの2人を見て、女の子たちはこの男2人が意外に仲良くできそうじゃないかと思えた。


「じゃあ、始めるか」


「待てよ。ボクがまだだぜ?」


 9人のワルキューレと戦うつもりだったムツキは、そのレブテメスプの言葉に耳を疑う。


「レブテメスプが?」


「今回、ワルキューレはボクの支援部隊だ。本命は……UFO変形!」


 レブテメスプがそう叫んで、UFO内のボタンを押すとUFOが浮上し始めて変形し始めた。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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