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【完結】最強転生者のゆかいなスローライフ生活 ~最強なので戦いに巻き込まれるけれど、意地でモフモフとハーレム付きのスローライフにしがみつく!~  作者: 茉莉多 真遊人
第4部9章 人族の始祖レブテメスプとの決着

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4-87. 屁理屈をこねられたから戦うことになった(2/2)

約2,000字でお届けします。

楽しんでもらえますと幸いです。

 レブテメスプが指をパチンと鳴らすと、彼の後ろの方から扉の開く音がする。3つのスポットライトのうち2つが動き回って扉のある場所を示す。


 扉は2つだった。


「そう。追加のゲーム。ムツキとロリには二手に分かれてもらうよ」


 人差し指を立てて振りながら楽しそうな笑顔のレブテメスプに対し、サラフェが青筋を立てて彼を睨み付けている。


「その前に、人のことを……ロリ、ロリ、ロリと……そう呼ぶのはやめてもらえますか? ひどく心外です」


 サラフェは自分の体型や身長、つまり、見た目の幼さを気にしているため、その手の言葉が彼女にとって最も許せないものの1つだった。


 彼女は、恥ずかしさ混じりに怒っている時は言葉数も増えて騒ぎたてるが、本当に怒り始めている時だと喚き散らかさずに静かに沸々と怒りを溜め込み始めるので、周りから見て非常に分かりやすい。


「あっはっは。そんなに怒るなよ☆ 素敵なツインテールをしているからいいのかと思っただけさ☆ じゃあ、名前で……サラフェちゃんだっけ?」


「……ちゃん付けはイラっとしますのでやめてもらえますか?」


 レブテメスプは怒るサラフェが面白いのか、あえて嫌がりそうな言葉をぶつけて楽しんでいた。案の定、彼女は怒りのゲージを徐々に溜め込みながら言葉のトーンを下げていく。


 ムツキは正直この場に居合わせたくなかった。たとえ、自分が怒られているわけではなくとも、好きな女性が怒っているところには居たくないようだ。彼は場が凍っていくような感覚に震える。


「注文の多い子だね。じゃあ……サラフェたん、ね☆」


「……本当に気持ち悪い」


 サラフェの目つきがいよいよ変わった。氷のように鋭く冷ややかな目つきに加え、剣呑とした雰囲気が周りを包み込み、彼女の氷のような冷たい怒りが小さな声とともに静かに発せられる。


 少しビクついているムツキに対し、レブテメスプは特に意に介した様子もなく、冷たくなっている場の雰囲気を払うかのように手をひらひらとさせていた。見た目こそ年端のいかない少年だが、実年齢がユウに近いだけあって、彼には妙な貫禄がある。


「ははっ、冗談が通じないね☆ まあ、いいや。さて、話を続けるとしよう。ムツキとサラフェが二手に分かれてもらったら、1人はボクとバトル、もう1人はキール、君たちが言うキルバギリーとバトルさ☆ その選択権は大サービスで君たちに譲ろうじゃないか」


 レブテメスプの提案を受けざるを得ない。そう思った2人は互いに見合わせて、仕方がないといった様子で肯き合った。


 その直後にサラフェから口を開く。


「ムツキさん、サラフェが決めてもいいですか?」


「あぁ、いいよ」


 サラフェの申し出に、既にそのつもりだったムツキは二つ返事で了承する。そもそも彼は彼女がどのように選択するのか見当がついており、その言葉を待っているだけとも言えた。


「サラフェがキルバギリーを取り戻します。ムツキさんはそこの気持ち悪い人を思いきりぶっ飛ばしてください。思いっっっっっきりですからね? いいですね?」


「あ、あぁ……わかった。よし、決まったぞ、レブテメスプ」


 ムツキの読み通りだった。サラフェはキルバギリーを救出することを選ぶ。


 ただし、レブテメスプを思いきりぶっ飛ばさなければならないことまでは予想していなかったらしく、彼は少し面食らったような顔をしつつも頷く。


「決断が早くて何よりだね。では、改めて紹介しよう。ボクの娘のキールさ。かつての仲間どうしで存分に戦ってくれたまえ☆」


 レブテメスプの紹介に合わせて、キルバギリーが空から舞い降りてくる。


「キルバギリー!」

「キルバギリー!」


「…………」


 キルバギリーはムツキとサラフェの言葉に反応を示して彼らの方を見るが、特に返事らしい返事もなくただただ見つめているといった様子である。


 彼女自体に大きな変化はないが、どこか虚ろ気な様子と無感情な表情がロボットらしさや儚さを醸し出していた。


「記憶は完全に消した上で上書きさせてもらったよ☆ 感情も抑制するようにしているから従来よりも大人しい感じかもね☆ 追加で改良させてもらったよ。今のキールは前より強いぜ?」


「よくも……お前は結局、自分の都合が悪いことをなかったことにして、キルバギリーをお人形にしたかっただけか!」


 ムツキのその言葉に、レブテメスプは思うところがあったのか、一瞬だけだが神妙な面持ちを隠すことができなかった。


「……割と痛い所を突くじゃないか。まあ、ムツキには分からないさ☆ さあ、キール、行っておいで」


「はい、レブテメスプ様」


「あ、待って! キルバギリー!」


 キルバギリーが右の扉の奥へと進んでいくので、サラフェは無駄だと分かりつつも声を掛けながら後を追う。


 その後、ムツキが追いかけられないようにするために右の扉が閉まる。


「さて、ボクたちはこっちさ。追って来いよ、ムツキ」


「言われなくても!」


 レブテメスプが左の扉の奥へと進むので、ムツキは後を追った。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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