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4-66. あの時から成長した(1/2)

約2,000字でお届けします。

楽しんでもらえますと幸いです。

 サラフェとナジュミネが着替え終わって、狐サラフェと狐ナジュミネの前に立つ。


「おー、やはり、ビーチバレーは水着じゃな」


「仕方なくですからね」


 サラフェは水色のミニスカートワンピースタイプで、さらに肩の上から青いレースの上着を羽織っている。露骨に上半身の露出を避け、代わりに褐色肌の健康的な美脚を魅せるようにしている。


 上着は以前だと白いレースだったが、それだと狐サラフェがまったく同じ格好だからか色違いを用意した。


「まあ、旦那様の居ない中で、水着になったところでな……。やはり、見せる相手がいないと張り合いがない……」


「だとしても、なんだかんだと前と違うものをいろいろと注文しよってからに……」


 ナジュミネが以前選んだのは、露出を抑えた真っ赤なタンクトップビキニの上下である。今回は上の露出も若干減らした上で、さらに下をパンツタイプにして動きやすさを重視した。ムツキのいないところで露出しても意味がないからである。


 狐ナジュミネはいろいろと注文された後のようで、うんざりした顔で彼女を見つめていた。


「ねぇねぇ、全部終わって、キルバギリーを起こせたら、全員でダーリンの前で次の暑い時期に着る水着のファッションショーをしようよ。ミクズとコイハは交代でさ。今度はケットが一番だなんて絶対に言わせないように女の子だけでね!」


 メイリが屈託のない笑顔を4人に向けながら、自分の服装を【変化の術】で前に着た新型スクール水着ではなく、黒く際どい感じのモノキニビキニ姿を披露する。


 狐サラフェと狐ナジュミネは驚きを隠せずに若干呆れたような顔をする。


「……我もか?」


「ダーリンを攫ったお仕置きは受けてもらうけど、その後はみんなで仲良くだよ! そうやって、このハーレムはできたんだからね!」


「それを言われるとサラフェは何も反論できませんね」


「旦那様が許すなら妾は何も言うことない。まあ、旦那様なら許すのだろうな」


 狐サラフェと狐ナジュミネは笑うしかなかった。


 当たり前である。


 先ほどまで大切な人を攫われて怒っていた女の子たちがいつの間にかその攫った相手を仲間扱いして、ちょっとした罰を受ければ赦すと言っているのだ。


 もちろん、大切な人を失ったわけでもないし、ミクズが同じハーレム仲間のコイハの一部であるのだが、それにしても緩すぎると彼女は思う。それもこれもムツキの作った場なり環境なりといった雰囲気の影響である。


「……笑わせてくれるのう。ぬるい……ぬるすぎて……温かすぎるのじゃ……」


 ミクズはすっかり毒気が抜けた。元々ちょっとした遊びであったことには間違いないが、この遊びを仕掛けたこと自体、途端にバツ悪くなった感じになる。彼女はこういう反省のさせ方もあるのかと感心してしまうほどだった。


 獣人族のコイハが居心地よいと思う理由が分かる。ミクズがミクズとして生きていた時にはほとんど感じることのなかった獣人族や半獣人族以外の種族との触れ合いの中での温かさ。そこに自分もいずれ混ぜてもらえるということに疑心を抱かなくても良い安堵。


 いつ消えるか分からないミクズの人格が何とか生き延びられないかと考える。


「ん? ミクズ?」


「……さて、では開始じゃ。審判はこちらで用意しよう」


 新たな狐火で出てきたのは狐耳狐尻尾をしたメイリである。元々の狸耳と狸尻尾はなく、代わりに黒い狐耳と黒い狐尻尾を持っており、人肌の部分が真っ黒なこともあり、漆黒の狐という雰囲気である。ちゃっかりと今のメイリに合わせてモノキニビキニ姿での登場だ。


「わっ! 狐耳狐尻尾の僕!?」


「はっはっは。黒狸のものに狐耳をさせるのは愉快じゃの。黒狐か、悪くないのじゃ」


「ねえ……手足が狸のままなんだけど……」


 メイリが指摘すると、狐メイリは自分の手足を見る。メイリは元々肘より先の手の部分や膝より先の足の部分は狸の足をした半獣人族であり、狐メイリは耳と尻尾だけ変化させたため、手先足先が狸だった。


「……気にするな」


「雑だ! これじゃ狐狸じゃないか! ちゃんとしろー」


 メイリは中途半端なのがどうにも許すことができなかったようでぶーぶーと文句を言っている。


「そういえば、何故お主は半獣人族なのじゃ」


「どういうこと?」


「……その話は後じゃな」


「気になるな―」


 メイリが追及しようとするが、ナジュミネがそっと手を出して制止した。メイリは渋々といった様子で引き下がる。


「さて、話を戻させてもらおうか。ミクズが審判をするとなるとこちらに不利になると思うが?」


「はっはっは! その通りじゃな。じゃが、勝てるか勝てぬか分からぬ試合にメイリを審判で付き合わせるのと、そこの扉から次の階層へとメイリ1人だけでも上げさせるのとなら、姐御ならどちらを選ぶのじゃ?」


 狐メイリの言葉に、ナジュミネの眉がピクリと上がった。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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