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4-18. 楽しみたいからとゲームを提案された (3/3)

約2,000字でお届けします。

楽しんでもらえますと幸いです。

「それじゃあ、試練くんは試練を出すように起動しておいたから、ゲーム開始だ☆」


 レブテメスプは嬉しそうにゲームの開始を宣言した。ムツキは彼を見て頷きつつ口を開く。


「あぁ……で、勝敗はどうやって決まるんだ?」


「ん?」


「あくまでゲームの細かい内容が分からないのは試練くんを使うからだろう? どうすれば、こちらの勝ちになるんだ? つまり、全体ルールの話だ。そこらへんを細かいとか言わないだろうな?」


 ムツキの言葉を聞いて、レブテメスプがそうだったと言わんばかりの顔でUFOにあるスイッチを押した。


 その途端にキルバギリーの様子がおかしくなる。


「うっ……これは……レブテメスプ様……どうして……」


「キルバギリー!」


 そのまま倒れ込みそうになるキルバギリーをサラフェが支えた。その後、コイハとメイリも協力して、彼女をソファに寝かせる。


「そういえば、それを言い忘れていたね☆ ルールは簡単さ。娘の記憶がリセットされるまでにそこの5人の女の子が試練をクリアすればOKさ」


「記憶のリセット? おい、そんなこと言ってなかったぞ!」


 レブテメスプはムツキの非難を興味なさそうに手を軽く振って払いのけるポーズを取る。


「さっきも言ったけど、主導権があるのはオレ様だ。個々のゲーム内容は公平だけど、ルールを決めるのはもちろん、オレ様さ。オレ様が勝ったら、娘は返してもらうよ、すべての記憶を失った状態でね☆ オレ様だけの娘に戻るだけさ☆」


「この!」


 ムツキがレブテメスプに向かって今にも殴り掛かりそうな勢いだったが、彼の目の前にアニミダックの触手が立ちはだかる。


「無駄だからやめとけ」


「なに?」


 アニミダックはレブテメスプの方を向き、小さな溜め息を吐く。


「昔っからそうだが、レブテメスプ本人が来るわけねえからな。どうせ変な発明品だろ?」


「あっはっはっは! 変な、は余計だけど、大正解! ここにいるのは精巧なコピーロボットさ。こんなものはいくらでもあるから、壊してもいいけど、ルールを知らずにゲームが始まっちゃうぜ?」


 レブテメスプはケタケタと笑いながら自分の左腕を右腕で躊躇なくもぎ取り、リビングの床へとポイと投げ落とす。コピーが解除されたのか、球体関節人形の左腕のようなものが力なく横たわっている。


「くっ……」


「ははっ☆ パフォーマンスにしては過激だったかな? じゃあ、全体ルールを説明しようか。まず、タイムリミットはさっきも言ったように、娘の記憶が消えきるまで。大丈夫、消えきるまでにクリアすれば、バックアップが作動するから全部記憶が戻るさ。そうなったら、改めて娘もムツキに渡すよ☆ 悔しいけどゲームのクリア報酬はないとね! で、どれくらいか、と言うと、おそらく15日前後だね。娘本人が無抵抗なら数日だと思うけど、防衛プログラムが働くはずだから、それくらいになるだろうね☆」


 ムツキはキルバギリーの下へと駆け寄り、そっと彼女を抱き上げて声を掛ける。


「キルバギリー、がんばれ! 俺たちがきっと……」


「ははっ。声が届くといいね! でもさ、さっきから気になっていたんだけど、娘の名前がちょっと違う気がするんだよねー」


 レブテメスプは少しだけ意識しているのか、低めの声を出している。


「名前が違う?」


「そう。オレ様が命名したときはキール・ヴァルキュリー。ユースアウィスに聞いた異世界に出てくる戦乙女だね。……キールにはいろいろな意味があるから割愛さ☆」


「ヴァルキュリー……か……」


 ムツキはその言葉を復唱する。彼は前の世界でその単語に聞き覚えがあった。


「で、話を戻すと、ゲームは同時に1つまで。クリアされれば、次のゲームが出るようになっているよ☆ 順番は赤のキミ、緑のキミ、青のキミ、白のキミ、黒のキミだよ。一人が時間を掛けちゃうと他の子たちの時間が減ることになるね☆ それで喧嘩しないように仲良くね!」


 ナジュミネが前に出て、レブテメスプを睨みつける。その彼女の表情に、彼は少しばかり恐怖に顔を歪ませた。


「そんな心配は無用だ……妾たちの心配より、負けた後の自身を案じることだな……子どもの姿とて、まさか、容赦されるとは思っていないだろうな? 悪い子には仕置きが待っているものだ」


「……へえ……キミ、面白いね! そうならないようにこれから毎日お祈りでもしとくさ☆ それじゃ、がんばってねー。ちなみに、このロボットとUFOは自動的に消滅するぜ☆」


「は?」


 レブテメスプのコピーロボットとUFOは突如爆散した。爆炎はなかったが、黒い煙幕を張るように煙が爆音とともに立ち込め、部屋全体を真っ黒に覆う。


「……けほっ……あー……みんな大丈夫か?」


 やがて、煙幕が晴れた頃に、全員が煤まみれで面食らった顔をしてお互いを見合わせる。


「さっきから派手に汚しやがって……誰が掃除すると思ってんだよ……」


 この後、部屋を綺麗にするアニミダックがボソッと呟いた。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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