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【完結】最強転生者のゆかいなスローライフ生活 ~最強なので戦いに巻き込まれるけれど、意地でモフモフとハーレム付きのスローライフにしがみつく!~  作者: 茉莉多 真遊人
第4部2章 毒蛇の王ニドの暗躍と人族の始祖レブテメスプとの遊戯の開始

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4-Ex4. 新しい能力だったから楽しみにしていた

約2,000字でお届けします。

楽しんでもらえますと幸いです。

 これはレブテメスプがムツキたちが出会っていることと並行して起きている話。


 場所は、毒蛇たちの泉、毒蛇の王ニドの棲む大きな泉である。世界樹の根が張り巡らされた樹海の中に点在するいくつかの洞窟は、すべてこの最下層にある泉へと繋がっていると言われている。


 その泉の主であるニドは毒蛇の王ながら、毒蛇と呼ぶには大きすぎることと、背も腹も真っ黒であることから、黒き蛇竜とも言われていた。ただし、蛇は竜族ではなく妖精族の一員である。つまり、

ケットの傘下である。


「よく集まってくれた、同胞たちよ」


 泉には、毒蛇たちとニドが集まっていた。毒蛇は大小も様々であれば、その身体の柄も様々であり、すべての種類の毒蛇たちが彼らの王の下へ集まった様相である。無数の蛇たちは鎌首をもたげつつも、恭しく頭を垂れるかのような体勢になっていた。


「ふしゅ」

「ふしゅる……」


 何匹かの毒蛇たちがニドに向かって何かを話しかける。ニドはその言葉に嬉しそうな表情と声を出す。


「あぁ、同胞たちよ……今から伝えるのは間違いなく朗報だとも。……さて、まず伝えるべき朗報は、勇敢なる同胞がレブテメスプを起こし、彼をけしかけ、ムツキの所へ向かわせたことだ。まあ、もっとも……あの自分の研究と発明と女神にしか興味を起こさないものぐさのことだから、どのようにして出会っているかは分からんがね」


 レブテメスプが現れたのはアニミダックの時と同様に、ニドが配下の毒蛇たちを使って起こしたためである。


 ニドは配下を経由して話をすることができ、その能力を使ってレブテメスプにムツキやその周りのことを事細かに説明していた。


 レブテメスプは最初、興味があるようなないような曖昧な態度を示していたが、ユウとキルバギリーの話になると、目の色を変えたのだ。


「しゅ、ふしゅ……」


「あぁ、もちろんだとも、奴が私と話したことは覚えていないだろう。さて、朗報はそれだけではない……。勇敢なる同胞はレブテメスプの血を吸い、ここまで運んでくれたのだ。今から私にその血を分け与えてくれる。私に大きな力を授けてくれると言うのだ!」


 ニドは固有能力【適応】を有していた。


 【適応】は、他者の血や体液などを取り込むことで他者の力も得られる能力であり、その他者の力には固有魔法や能力も含まれている。


「しゃーっ!」

「しゃーっ!」


 毒蛇たちはニドを称賛するように一斉に鳴き始めた。その鳴き声をしばし聞いた後、ニドは満足そうに再び話し始める。


「ありがとう、同胞たちよ……我らが理想郷のために! 真の自由を得るために!」


「しゃーっ!」

「しゃーっ!」


「さて、では、頼むぞ……」


 ニドは身体を地面につけ、レブテメスプの血を吸った毒蛇がニドの身体に噛みついてその血を流し込んでいく。


「ぐっ……これはアニミダックの時と同じだ……しかし、奴の血を取り込んだからか、以前よりも【適応】のための痛みは少ない! 感じる……力の増幅を感じる!」


 ニドは少しばかり苦痛に顔を歪めるも、以前アニミダックの血を受けた時よりも痛みがないことに自身の成長を実感していた。


「しゅー」


「ふっふっふ……ふはははははははは……はーっはっはっはっは! 感じるぞ! 力を感じる! これがレブテメスプのやつの力か!」


 ニドは声高に叫ぶ。その嬉々とした表情は、他種族なら恐怖するだろう。


「そして、私は奴の力だけではなく、この能力を望んでいた! 例外的にあの女神さえも超える力が発揮できるこの能力を望んでいたのだ!」


 ニドはよほど嬉しかったのだろう。一度深呼吸をして、気持ちを落ち着かせ整えていく。


「……さぁ、楽しみだ。早速、能力を使ってみようではないか。この【創造の両腕】とやらを!」


 ここでニドが不思議な表情で一時停止した。


「……ん? 両……腕……?」


「ふしゅー」


「同胞たちよ……私は大いなる過ちを犯したようだ……。私に……両腕はない……」


「ふしゅ、しゅー……」


 ニドは【適応】したことで、レブテメスプの能力を得ると同時に、その能力の正式な名称も知ることができる。それ故に、【創造の両腕】という、手が無いと使えない能力だとは露とも知らずにいたのだ。


「待て待て、同胞たちよ……そう嘆くものではない。何か手立てを考えなければならなくなっただけだ……そう、たったそれだけなのだ。しかし、蛇に手が生えることを期待してはならない。そう、私は同胞たち同様にあくまで毒蛇なのだ。何か、能力などで代用できないかを考えねばならぬな……」


 ニドはいずれ辿り着く答えにまだ届かず、気持ちを切り替えることにした。


「まあ、まだ残りの2人も見つかっていないのだ。そう、慌てる必要もない……この苦渋の時はいつかの自由をより豊かに感じさせてくれるだろう……ならば今は、ともに解決策を考えてほしい……」


「ふしゅ」

「ふしゅ」


 ニドは身体を地面につけて、少し気楽な様子で毒蛇たちと手立てを考える会話をゆっくりと始めた。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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