4-15. 自分のしわざと気付かれたから派手に登場した (3/3)
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楽しんでもらえますと幸いです。
興奮気味に話すレブテメスプの話をユウは楽しそうにしながら聞いている。
「うんうん、そうなんだ。すごいね! でも、なんで大人のまま美形になる発明はしなかったの?」
ユウの質問にレブテメスプは指をパチンと鳴らす。
「その点によく気付いたね! さすがユースアウィスだね☆ その理由は簡単さ。始祖の1人とはいえ、大人の姿でロリと一緒にいるのは大昔に問題になっていたからね! さすがにオレ様にもメンツってものがあるから、いつも白い目で見られるのには耐えられないのさ☆ だから、オレ様自らショタになってつり合いが取れるようにしたんだ!」
しばらく静かに聞いていたムツキだが、少しばかりウズウズし始めて思わず口を開く。
「なんか、ちょこちょこと語尾に星がついている話し方をするな……ってか、ロリやショタって、別世界と意味同じなのか……何が語源なんだ……?」
「しっ……旦那様、静かに。ユウに怒られてしまうぞ?」
ナジュミネはムツキの口をそっと手で押さえつつ、彼の耳元で小さくそう呟く。
「へー、そうなんだ! たしかに見た感じはどっちも同じ年齢の方がいいよね」
「そう! それで、このレジュヴィネイティングビーム銃を発明したんだよ! これのすごいところは、ある程度の年齢指定ができるところなんだ! これでオレ様は10歳前後になったのさ☆ 10歳から少し下くらいまでがちょうどいいよね☆」
ユウが相槌を打って少しばかりの質問をすると、レブテメスプはその何倍もの言葉を会話として返してくる。彼女はそれを頷きながら聞きつつ、徐々に自分の聞きたいことへと誘導していった。
「すごい! これでムツキも10歳前後になったんだ? でも、どうして、ムツキを若くしたの? お友達が欲しかったの?」
ユウのその質問に、レブテメスプは表情が急に明るさを失っていく。彼女は話さなくなるのではないかと少し焦るが、辛抱強く待っていると彼がやがて口を開いた。
「……いや? なんか大人なのにイケメンでムカついたし、異種族も含めて美人ばかりのハーレムを作ってエンジョイしててムカつくし、そもそも、ユースアウィスを取られてムカつくし、それに、それにだ……オレ様の最高傑作な娘まで取りやがって、つまりは、超絶ムカついてるだけだああああああああああああああああっ!」
レブテメスプが急にキレ始めると、彼の乗るUFOから突如、火山が噴火したような効果音が流れる。彼のUFOには、彼の強い感情に合わせて、音や光で表現をする機能が備わっているようだ。
「……ってことで、ただの嫌がらせで小さくしてやったのさ☆ それ以外の理由はないぜ?」
「おいおい……嘘だろ……って、そんなことができるレブテメスプの固有スキルは何なんだ?」
「……それは私が答えます」
ムツキの疑問に答えるために、キルバギリーが意を決してコイハの尻尾から顔を出す。彼女はレブテメスプを一瞥した後にムツキの方を見据えた。
「キルバギリー」
「キルバギリー?」
レブテメスプがムツキの呼ぶ名前に違和感を表したが、それ以上は何もしなかった。
「【創造の両腕】です。ユウさんが創世神として大掛かりな創造を得意としていることに対して、レブテメスプ様は局所的な創造を得意としています」
「局所的な創造?」
ムツキが不思議そうに相槌を打ち、レブテメスプがうんうんと頷いている。
「そうですね。もっと具体的に言うと、レブテメスプ様はいろいろな技術やメカを発明するのが得意なのです。さらに、局所的な創造、発明であるため、ユウさんでもできないことをレブテメスプ様ができる場合もあります」
「ユウにできない創造も?」
「はい。今回のようなマスターの若返りはユウさんにはできないようですが、レブテメスプ様の【創造の両腕】で発明されたメカならできるわけです。今回の場合はレジュヴィネイティングビーム銃という名前でしょうか。実際にこのような状況になっていますから、先ほどの話が証明されています」
レブテメスプが「よくできました!」のくす玉を割り、一方のムツキは腕を組んで難しい顔をする。
「つまり、トンデモ発明家なわけか……」
「って、おい、聞こえているからな? もう少し言い方どうにかならないの? あのな? 人族が魔力や肉体、能力で魔人族に劣っていても、魔人族と対等に張り合えるのは、その頭に思い浮かべられる想像力とそれを実現できる知恵と器用さがあるからさ! それはこのオレ様が人族の始祖として存在したからこそ成し得た状況ってことさ☆」
レブテメスプがムツキに丁寧に説明しているのは、ムツキが人族、つまり、彼の仲間だと思われているためである。彼がムツキのことを仲間だと思っていなければ、もっとひどい仕打ちもありえたかもしれない。
「ねえ、レブテメスプ、少し話を戻すんだけど、ムツキを元に戻してもらえないかなあ?」
ユウは少しかわいくおねだりをしてみる。レブテメスプもそのロリっとした仕草にまんざらでもない感じで彼女を見ている。
「うーん、タダで戻すのはやった意味がないじゃん?」
「じゃあ、どうすれば、元に戻してくれるの?」
「うーん……そうだな……」
ユウを見るレブテメスプの目が少し怪しく見えたのか、ムツキがナジュミネの膝の上からユウの隣に動き、彼女をしっかりと抱きしめた。
「先に言っておくが、ユウは絶対にダメだ! ユウは俺のだ!」
「ムツキ……」
突然のムツキの行動にユウがびっくりしつつも嬉しいのか頬を赤らめている。その光景は周りから見ると、子どもが好きな子の取り合いをしているような少し微笑ましい感じだった。
「さっきも言ったけど、まあ、その状態のユースアウィスじゃ、オレ様が無理やり奪ってもしょうがないね☆ ……それじゃあ、ゲームでもしようじゃん?」
「ゲーム?」
レブテメスプがニヤリと笑い、ムツキが怪訝そうな表情を浮かべた。
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