4-1. 季節も変わってきたから少し体調が崩れた(1/2)
第4部の始まり始まりです!
約2,500字でお届けします。
楽しんでもらえますと幸いです。
とある朝。季節は暑い時期から寒い時期へと移り変わる時期になっている。
20歳前後の男が大きなベッドの中で唸っていた。切れ長の目の中にある黒い瞳はどこか焦点が合わず、彫刻かのように整っている顔が少し苦し気に映る。彼が咳を込むと紫の髪が揺れていた。
「あー……」
男の名前は、ムツキ。この世界で最強にして唯一の転生者である。
彼の名前を漢字で書くと1月を意味する睦月だ。男で睦月というのも中々なさそうなものだが、前世の両親からの、誰とでも仲良くできるように、尽きることが無い熱意を持ってほしい、という願いによって、至って真面目に付けられた名前だ。本人もとても気に入っていて、転生後もそう名乗っている。
彼のこの世界での目的は、スローライフを送ることだ。それもモフモフやハーレム付きのかなり贅沢なスローライフである。
「ナジュみん……ムツキはどう?」
そのムツキの隣には、二人の女の子が心配そうにしながら彼のことを見ている。
一人はこの世界の唯一神である女神ユースアウィスである。彼女は普段、ユウと呼ばれており、白いナイトキャップに薄青色の寝間着姿をした幼女である。
彼女はお人形さんと呼ばれても遜色ないほど理想的で綺麗な姿で、背中が隠れるくらいの長い金髪に透き通るような白い肌、ぱっちりなお目目の中には綺麗な青い瞳がその存在感を主張していた。
なお、今の彼女は幼女の姿をしているが、自由自在に姿を変えられる。
「うーん……そうだな……旦那様、熱いな。でもまあ、おそらく風邪だろう」
もう一人の女の子がムツキの額と自分の額をピタッと合わせた後、彼を風邪と判断していた。
彼女はナジュミネという元・炎の魔王の鬼族の女の子である。鬼族といっても、角がない種族できめ細やかな白い肌をしている。彼女はまるで陶器の人形が動き出したかのような華麗な姿で、ウェーブの掛かっている真紅の長い髪に、真紅の瞳と釣り目がちな目と全体的に紅い。
彼女は上下ともに赤いパジャマの長袖長ズボンで露出が少ないが、彼女の胸の張り方や腰回りの大きさを見れば、スタイルの良さが容易に分かる。
「そっかあ……ムツキ、待っててね。今、コイはんがお水を持ってきてくれるから」
ユウはムツキの手を取って、両手でギュッと握りしめた。
「ゲホッ……あー……すまない……あったかくてホッとする……」
「大丈夫だ。看病くらい、いつものお世話と変わらん」
ナジュミネもユウとは逆側のムツキの手を取って、両手でギュッと握りしめる。
「……いつも、すまない」
ムツキが気にするのには理由がある。
彼は最強であることの代償とも言うべきか、日常生活を送るには不自由過ぎるほどの様々な呪いを抱えていた。つまり、彼はモフモフやハーレムの女の子たちにお世話をしてもらわないと生きていけないのだ。
「……いや、待ってくれ? 旦那様がいつも手間とかそういうことを言いたいわけじゃないぞ?」
「いいんだ……そんなフォローをしなくても……」
「どうしてそうなる……」
ムツキは風邪で弱っているからか、非常に申し訳なさそうにボソリと呟く。言葉の意味を理解したナジュミネが慌てて否定するが、彼はやはり申し訳なさそうにするばかりだ。
「ムツキは弱っている時のちょっとした面倒くささがかわいいよね」
「面倒くさい……のか……ごめん……」
ユウの何気ない一言にムツキは打ちひしがれてしょんぼりし始める。
「ユウ! 旦那様が落ち込んじゃったじゃないか!」
「あ、ごめん……」
握り返していた彼を手の力が若干弱まったので、ナジュミネがユウに注意をした。ユウも言い過ぎたと思ったのか、すぐさま謝る。しかし、ムツキは落ち込みっぱなしだ。
「おーい、水、持ってきたぞ! 後、みんな、ついてきた」
コップと大容量の水差しを持って現れたのは、白狐の獣人族のコイハだ。
白狐とは、つまり白銀のキツネである。獣人とは、動物がヒト型に近付いて2足歩行したような姿だとイメージすれば早い。
彼女は白銀の毛並みが美しく、すっと伸びたマズルや尖った耳、ムツキ同様の切れ長の目に茶色の瞳、ふさふさの尻尾と高い身長が特徴的な美しい白狐である。
彼女は自慢の毛並みの上に、白いナース服を着ていた。
「ムッちゃん、私がついているからね! もう安心よ!」
ムツキを愛称で呼ぶ美少女は、リゥパという白い肌と長く尖った耳が特徴的な見目の美しい森人とも言われる妖精族の一種エルフである。
彼女は若干スレンダーな体型で、優しそうな丸みを帯びた目の中にある瞳の色や髪の色は淡い緑色をしており、髪がショートボブで短く綺麗にまとめられている。
彼女は薄緑色のナース服を着ており、白い手足がむき出しになっていて色っぽい。また、両腕に身に着けている琥珀色の腕輪はエルフの姫の証である。
「マスター、私たちの看病できっとすぐに元気になります」
ムツキをマスターと呼ぶのは、人族の始祖に造られた兵器であるキルバギリーである。
彼女の髪は灰色のポニーテイルに、瞳も同じように灰色であり、肌とも言える表面は薄橙をベースに少し光沢のある薄い虹色が掛かっているかのようである。さらにその上に、灰色のナース服を着こなしてピシッと立っていた。
「なんでサラフェまでこんな格好を……」
文句を呟きつつも青色のナース服を着こなしている女の子は、サラフェという元・水の勇者の人族の女の子である。
彼女は着せ替え人形が動き出しているかのような可愛らしい顔をしており、透き通るような青い髪を両サイドにまとめているツインテール姿だ。
彼女の垂れ目がちな目の中にある瞳の色がその髪の色と同様に綺麗な青色である。彼女の肌は健康的な褐色で、体型がとてもとてもスレンダーで真っ直ぐスラっとしている。
「ダーリンのために決まってるじゃん! 皆がこんなかわいい格好でなら、ダーリンも元気100倍だよ!」
ムツキをダーリンと呼ぶのは、メイリという黒狸の半獣人の女の子である。
半獣人は人がどこか動物的な耳や尻尾などの特徴も持っているようなイメージだと理解すれば早く、彼女の場合、耳、尻尾、肘から先の腕と手先、膝から下の脚と足先が狸のようになっている。
彼女の肌の色や髪の色は黒く、少年のようなショートヘアに真ん丸な顔、真ん丸な目、真ん丸な茶色の瞳は小動物的な可愛さを引き立てる。しかし、その幼い顔立ちと低身長には似合わない大きな胸が存在を主張していた。
彼女もまた黒いナース服な上に、胸元がパツパツでボタンが弾け飛びそうだ。
ユウ、ナジュミネ、リゥパ、サラフェ、キルバギリー、コイハ、メイリの多種多様な7人がムツキの妻たちであり、つまり、彼のハーレムメンバーである。
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