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【完結】最強転生者のゆかいなスローライフ生活 ~最強なので戦いに巻き込まれるけれど、意地でモフモフとハーレム付きのスローライフにしがみつく!~  作者: 茉莉多 真遊人
第3部3章 毒蛇の王ニドの謀略と魔人族の始祖アニミダックとの闘い

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3-34. 女の子たちは応戦していたが敵が卑怯だった(1/4)

約2,000字でお届けします。

楽しんでもらえますと幸いです。

 ムツキが【テレポーテーション】をしてまもなくのムツキの家。彼を見送ってから、ナジュミネたちも何かできることはないかとみんなでダイニングテーブルに集まって話を始めていた。


「さて、それでは話を始めよう」


 議長のナジュミネがそう呟いて話し合いが始まり、すぐにすっと、リゥパの手が上がる。ナジュミネが彼女の方を向いて頷く。


「リゥパ、発言を許そう」


「どうしたら、ムッちゃんとイチャイチャできるかを話し合いたいわ」


 リゥパ以外の全員の頭がテーブルにゴンとぶつかる。ナジュミネが困った様な表情をしながら、ゆっくりと口を開く。


「……それは賛成したいところだが、優先度はユウがだろう。まあ、アイスブレイクにはちょうどいい発言として認めよう」


「ユウ様を見つけ終わったら、たっぷりムッちゃんを補給するわ! 昨日はムッちゃん、ナジュミネにべったりで全然相手してもらえなかったんだから!」


「賛成! ユウを見つけて、たっぷりとダーリンからご褒美をもらわなきゃね!」


 リゥパとメイリの話が盛り上がっているのに対し、サラフェがせっかく集まっているのだから真面目にしてほしいという視線を2人に送っている。ナジュミネはどうやら自分にも一因があると感じて、早めに両手で2人の話を制止する。


「待て待て、昨日は妾もちょっと感情の制御ができなかったのだ。とはいえ、脱線とご褒美の要求はほどほどにな……。さて、本題に戻させてくれ。たしか先ほど、メイリとコイハは魔力探知が得意と言っていたな」


 ナジュミネの問いに、メイリが得意げな顔をしてうんうんと頷く。


「そうだよ! 動物族の犬が匂いに敏感なように、犬型の妖精族や犬系の獣人族や半獣人族は魔力に敏感なんだよね」


 ナジュミネは考え込むようにして、口元に手を当てる。いくつか推測を交えながら、彼女の辿り着く理解を再度口にしていく。


「きちんとは分かっていないのだが、そうすると、全員を個別のものとして嗅ぎ分けられるというか判別することもできるのか?」


「うーん、半分当たりで半分外れだな」


「コイハ、どういうことだ?」


 ナジュミネの問いにコイハが反応したものの少し曖昧な言い方で返すので、ナジュミネは再度発言を促す。


「動物が判断する匂いと違って、魔力探知はもう少し曖昧でな。判別対象の近親者や魔力の質が近い同族なんかはかなり意識してないと普段はほとんど気付けない。違和感があっても、本人が出す魔力が揺らいでいる可能性もあるからな」


「なるほど」


 ナジュミネが多少理解したところで、急にクーが前足をテーブルに掛けて、立っているような体勢で話し合いに参加しようとしている。


「ちょっと話をもらうが、そういう意味では、ユウが音信不通になったことは、恐ろしいことが起き始めている可能性を示唆しているかもしれないんだ」


 いつになくクーが緊張するような発言をする。


「恐ろしいこと? それはなんだ、クー」


「敵がいるかもしれんということだ」


「敵? それは一体?」


 ナジュミネはその事の重大さに気付いたのか、彼の方を凝視しつつ、周りへの警戒を始める。彼女は以前より虫の騒ぎというべきか、勘が鋭く働くことがあった。


「!」

「!」

「ニャ! これは!」


 コイハ、メイリ、ケットが何かに気付く。ナジュミネやリゥパ、サラフェ、キルバギリーはそれに合わせて、椅子から飛び上がるようにして立ち上がる。


「気付いたか。このざわつき、まとわりつき、覆われているような嫌な魔力の感じ。主様がいなくなって、主様の圧倒的な魔力が離れて、ようやく気付けた違和感だ。気を付けろ……来るぞ! 主様の留守を見計らったかのようにな!」


 クーが吠える。非戦闘員である妖精族に退避を呼び掛けている合図である。キッチンや別の部屋から樹海の方へと退避する音が聞こえる。


 突如、床や壁、天井、四方八方から何の前触れもなく、様々な色、形、大きさの触手が無数に現れ始めた。岩のようにまっすぐと硬直した触手もあれば、風に吹かれている柳のように動く触手、まるで海の中で蠢くイソギンチャクのようにウネウネと動く触手もいる。


「この触手、やっぱり、アニミダック、ニャ!」


 次の瞬間、扉が破壊される。扉どころか、その周りの壁ごと破壊されていた。破壊したのはしなった鞭のように動いた黒色の触手である。


「ニャー! また家が! ニャんでみんニャ、家や扉を壊して出てくるニャ! 扉も分からニャいのかニャ! 猫だって閉じられニャくても開けるくらいするニャ!」


 ケットは憤慨しているが、誰もそこまでの余裕はない。コイハが強化魔法を唱え、メイリが鈍化の弱化魔法を唱えている。リゥパは【マジックアロー】を準備し、ナジュミネ、サラフェ、キルバギリーも何かしらの魔法を準備していた。


「その声はケット・シーか」


 アニミダックが全員の前に現れた。ムツキ以上の長身、漆黒の髪がその長身の膝裏まで伸びて揺れており、顔つきも魔力もムツキには似ているものの少し異なる。さらには、病的なまでの白色の肌と目元の濃いクマ、クマと同じような黒色の瞳をしている。


 彼はまるで魔術師のような黒いローブで全身を覆っていた。これが彼の正装のようである。


「そうすると、やはり、これがムツキとユースアウィスの胸糞悪い愛の巣か。あー、完全に叩き壊してやろうか」


 アニミダックは吐き捨てるようにそう言い放った。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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