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1-14. 帰らせると思っていたらそうならずに賑やかになった(3/4)

約2,000字でお届けします。

楽しんでもらえますと幸いです。

 ユウとナジュミネは一糸纏わぬ姿で風呂場に入ってくる。


「ナジュみん、洗いっこしよ? 私が先に洗ってあげる。【バブルソープ】」


「これは便利な魔法だな。ありがとう」


 ユウは泡でモコモコしているタオルを使って、ナジュミネの身体を洗っていく。首回りから右腕、左腕と上から徐々に泡でモコモコにしていく。


「ところで、ユウ様には敬語の方がよろしいでしょうか」


「ううん。私、ナジュみんのその口調、かっこよくて好きだから、そのままがいいな。でも、無理にとは言わないよ? あと、ユウって呼んでね。これは絶対ね」


 ナジュミネの問いに、ユウはそう答えた。


 ユウは自分を可愛く見せたいところがあり、偉そうな態度は基本的に取らない。もし取るとしても、それは可愛らしく振る舞える時だけである。


「わかった。ユウでいいんだな?」


「うん! やっぱり、その方がかっこいいね! ナジュみんじゃなくて、お姉ちゃんって呼んじゃおうかな」


「それは恐れ多いな」


 ナジュミネとユウはお互いに笑った。距離感はある程度縮まってきているようである。


「それにしても、ナジュみんって、胸、大きいよね。戦闘服? だと分かりづらいけど」


 ユウは前に回り込んでナジュミネの胸を丁寧に洗いつつ、思わずその言葉を口にした。ナジュミネははっきりとそう言われて赤面する。


「なっ。ユウだって、大きくなったら胸も大きいだろう」


「うーん。私は自由自在だからね。この姿でも胸だけ大きくできるんだよ」


 ユウは目の前で胸だけを大きくしてみせた。ナジュミネは驚きのあまり口が開いたままである。


「……すごいな」


「でもね、そうじゃないっていうか。ナジュみんはそうじゃないでしょ? それでも、こんなに大きいんだから、すごいなあ、って」


 ユウは自由自在である分、他者の不自由の中で得られた結果に対して、素直に称賛を送る。


 それはユウが神として最も重要視している部分でもある。


「ありがとう。旦那様に喜んでもらえそうか?」


「絶対に喜ぶよ! ムツキは胸、尻、太ももが好きだよ!」


 ユウはナジュミネの各部位を触りながらそう言い放った。


「あんっ……それは、とても、分かりやすいな」


 ナジュミネは自分から出た声に思わず顔を赤くする。


「ムツキも男の子だからね!」


 ナジュミネも言い寄る男がたくさんいたので、自分の顔や身体にまったく自信がないわけではない。ちなみに、言い寄る男は戦ってみてすべて蹴散らしてきていたので、彼女はお付き合いなどもしたことがない。


 そして、ムツキが好ましく思うかどうかは分からないので、ナジュミネは少しだけ不安だった。


「だけど、うーん。後はそうだね、ギャップだね……」


 ユウはキリっとした顔でナジュミネの太ももを丁寧に洗い上げながらそう呟く。


「ギャップ?」


 ナジュミネは頭に疑問符を浮かべる。


「そう、ギャップを制する者は男を制す。ちょっと耳を貸してね。今夜はまずムツキの部屋に行って、ごにょごにょごにょ……」


「……っ!」


 ユウはどうやら何らかの手ほどきを伝えたようで、ナジュミネは先ほどよりもさらに顔を赤くする。


「あとは……ごにょごにょ。これで、今夜はお楽しみですね!」


 ナジュミネは今までにないほど紅潮し、思わず手で顔を覆ってしまう。


「っ! 恥ずかしすぎる! だが、がんばらねばなるまい!」


 まるで死地へ向かう戦士のような気迫と意気込みである。


 ユウは一通りナジュミネに伝える。ムツキと長く居るからか、それとも、単純に年の功なのか、完璧なアドバイスを施したようだ。


「誰が年増だっ!」


 ユウが急に虚空に向かって叫んだ。思わず、ナジュミネはびっくりする。


「……どうした、急に」


「なんでもなーい」


 その後、ナジュミネの髪も洗い、彼女の全身を洗い流したところで交代した。


「今日はありがとね」


 ユウはナジュミネに髪を洗われながら、静かにそう口にした。


「それは……どういうことだ?」


「ムツキ、すっごく楽しそうだった!」


 ユウは本当に嬉しそうにそう言った。


「今考えると、急に押しかけて、迷惑だったろうに。私の方は、プロミネンスに旦那様の存在を詳細に教えてもらい、逸る気持ちを抑えられなかった」


「うーん。まあ、それでも、最後は楽しかったみたいだからいいんじゃない?」


 ユウは全身を洗われながらナジュミネをフォローする。


「そういうものだろうか」


「まあ、あと、ううっ、なんか気付かれちゃったみたいだし」


 そう、ユウの神パワーによって、ナジュミネはここに来たのだ。


 ただし、心情操作はユウにもできないので、この結果はユウだけで達成できるものではない。


「ん?」


「なんでもなーい。それに、こんな綺麗な女の子が好きになってくれるなら、ムツキもまんざらじゃないよ」


「そうだろうか」


「もちろん。ムツキは、モフモフ第一、ハーレム第二、のんびり第三で、意外にムッツリスケベだからね」


 ユウはムツキのことを散々に言うが、ナジュミネにはそれが愛情表現と捉えられていた。


「いや、まだ、そういう話はちょっと……」


「……ウブなんだねえ。身体洗ってくれてありがとね。さて、お風呂に入ろ」


「そうだな」


 その後もナジュミネとユウは楽しくお喋りをした。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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