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【完結】最強転生者のゆかいなスローライフ生活 ~最強なので戦いに巻き込まれるけれど、意地でモフモフとハーレム付きのスローライフにしがみつく!~  作者: 茉莉多 真遊人
第3部1章 ムツキと楽しい日々

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3-Ex1. もらった権利だが使わないことにした(1/2)

約2,000字でお届けします。

楽しんでもらえますと幸いです。

 海から帰って来た夜というよりも深夜。ムツキは【テレポーテーション】を複数回使った後、長めの風呂に入り、軽い夕食を取って、仔猫1匹と添い寝してそのまま眠りについていた。


「……よし、行こう」


「……にゃ」


 ムツキの部屋にメイリと数匹の猫の妖精たちが低姿勢で入り込む。ムツキはその気配に気付いて意識が覚醒するも何かしてくるまで寝たふりを決め込もうとした。メイリだけならイタズラの可能性も大いにあるが、仔猫の妖精たちもいるのでそうひどいことにはならないだろうと思っていた部分もある。


「ぐっすり寝ているね……」


「にゃ」


「起こさないようにそっとね?」


「にゃ」


 ムツキはベッドの上にうつ伏せで寝転がっていたが、次の瞬間に、背中に何かが乗る感触を得る。彼の上に仔猫が乗ってきたのだ。さらに、仔猫たちは彼を踏みつけるようにゆっくりと体重を掛けたり足を離したりを繰り返す。


 そう、それはマッサージだった。彼が疲れている様子だったので、こっそりと起こさないようにマッサージにやってきたのである。これにはムツキも反応せざるを得ない。


「あぁ……これは幸せの重みだ……」


「あ、起きちゃった?」


 メイリがムツキの耳元で囁く。


「これは起きない方が不幸だ」


「それじゃあ、予定変更かな。頭を膝の上に乗せてほしいな。よいしょと」


 ムツキは頭だけをあげて、そこにメイリが滑り込むように入った。彼女が彼に膝枕をする。彼は横方向を向いており、右頬には彼女の太ももが、左頬には彼女の胸が当たっているサンドイッチ状態だった。


 さらに、彼女は自分の右手を彼の目の前に差し出す。彼は嬉しそうに目の前にある肉球を触り始めた。


「にゃっ、にゃっ」


「これは……がんばった甲斐がある……」


「んふふ……サンドイッチは僕や姐さんくらいしかこれができないぞー♪ サラフェなんか、長座体前屈みたいに屈まないと……」


 メイリが意地悪そうな声でそう言い始めると、ムツキが肉球を触っていた手を肉球から離して人差し指だけを伸ばして振り始めた。ストップと言いたいのだろう。


「メイリ、冗談なんだろうけど、そういうことを言うのはやめとけ……。メイリにはメイリの良さがあるし、サラフェにはサラフェの良さがあるんだ。違いは良いことだが、そうやって比べることは悪いことだと思う」


 ムツキは思わず昔のことを思い出す。周りと比べられるだけで、良いことは当然、悪いことは改善という息苦しさしかない記憶。


「……ごめんね。何か、思い出しちゃったかな?」


「にゃー、にゃ」


 メイリはムツキの顔が見えずとも、彼が少し悲しげになっていることは声色から読めた。


「あぁ……いや、まあ、というか、長座体前屈って言葉、久々に聞いたけど、この世界にもあるのか……」


「にゃっ、にゃっ」


 しばらくの間、妖精たちはムツキの背中や太ももの上でタップダンスを踊るように軽快なステップで全体重を乗せたマッサージをして、メイリは先ほどに加えて、彼の頭も撫で始める。


「柔らかめな肉球も、固めの肉球も、気持ちいいな……楽園はここにあったか」


「にゃー」

「にゃっ」


 ムツキの言葉に猫たちは嬉しそうに反応し、メイリもまたクスクスと笑う。


「ダーリンの楽園は割とどこにでもあるよね」


 メイリのその言葉に、ムツキは片手をパタパタと振り始める。


「楽園はどこにでもあった方が幸せじゃないか。それに、モフモフに囲まれているのに、楽園じゃないなんてあり得ないだろ?」


「にゃー」


「ふふっ……本当にダーリンはおかしいよね」


 メイリは微笑む。ムツキが心の底からモフモフ好きでモフモフを愛していることに、自分のことを褒められているようでくすぐったさを覚える。


「そうか?」


「偏屈じゃなくて変態だよね。半獣人や獣人を好きになるなんてね」


 この世界では、人族、魔人族、妖精族、獣人族、半獣人族などが多種多様な種族が多種多様な生き方をしているが、異種族と恋愛をすることが少ない。


 自分たちと違う者というある種の恐怖が下地にあるのか、貿易などの商売関係はあっても、恋愛関係は稀である。


「偏屈って……周りからどう言われても、俺はモフモフ好きで……女の子好きのただの人だよ。半獣人や獣人だって最高じゃないか。なんで、皆、それが分からないんだろうな」


 ムツキが本心から言っていると思えるからこそ、メイリは彼のことが本当に好きなのだ。違いを認め、理解し、潰そうとせずに良さとして見る彼のことを愛しているのである。


「そっか。そういうことにしておいてあげよう」


「にゃ」


「メイリこそ、人族の妻なんて、その……嫌だったりしないのか?」


 ムツキのセリフに、メイリの青筋が浮き出る。仔猫たちは何かに気付き、そして、気付かないふりをして続けた。彼女の両手が彼の額と後頭部に密着する。


「……ウリウリウリ!」


 メイリの前後からのグリグリ攻撃にムツキは少しだけ顔を顰める。


「あ……ちょっとだけ痛いかも……」


「もう! すごく痛くしているつもりなのに……変に強すぎ! はぁ……それはそうと、さっきのは、逆に傷付いちゃうな」


 メイリはグリグリ攻撃を止めた後に小さく呟いた。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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