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【完結】最強転生者のゆかいなスローライフ生活 ~最強なので戦いに巻き込まれるけれど、意地でモフモフとハーレム付きのスローライフにしがみつく!~  作者: 茉莉多 真遊人
第2部2章 ハーレムの女の子が一気に増える 

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2-Ex11. 考えることが多いので成り行きに任せることにした

約2,500字でお届けします。

楽しんでもらえますと幸いです。

 昼食後。ムツキやケット、ユウ、そして、クーがダイニングテーブルに集まる。ナジュミネとリゥパは外で訓練をしていた。コイハ、メイリ、サラフェは疲れのあまりか自室を宛がわれた後にすぐに眠りに落ち、キルバギリーもサラフェと同じ部屋で待機している。


「どうしたもんかな」


 ムツキが最初に口を開く。その口の動きはやや重々しく、それに合わせてか、頭を掻く仕草もどこか緩慢である。


「ニャー……獣人族や半獣人族が樹海付近に永住することは想定外だったニャ」


 ケットがそう呟く。議題は獣人族や半獣人族の移住についてだ。想定外という言葉の通り、簡単な案件ではないことがケットの口ぶりからしても容易に想像がつく。彼の尻尾もどこか元気がない。


「はあ……中々の厄介事をもらってきたようだな」


 クーはその笑っていそうな顔から出るとは思えないような大きな溜め息を吐いた後に、ムツキとケット、そして、ユウを睨み付けている。といっても、彼の顔は終始笑顔のようなもので睨み付けもかわいらしいものだ。


「そう言うなよ、クー」


「本当のことだからな」


「うっ……」


 ケットもクーも誰にであろうと臆することのない物言いをする。ムツキやユウでさえも例外ではなく、その愛くるしい姿から放たれる言葉の棘は割と深く刺さる。


「まー、元々、中立のような立場だったから、人族も魔人族も静観していたもんね。人族がその方向性を変えたといっても、それはあくまで人族側だけ。その一部でも完全に受け入れるとなると、魔人族側もどう転ぶか分からない。つまり、全地域にいる獣人族や半獣人族が迫害の可能性もあるから、全員を受け入れないとひどいことになるね……」


 ユウが幼女の姿に似合わぬ話をする。その顔もどこか大人びた感じである。


「いっそのこと、少し内容を変えて、魔人族の領に全員を移すのは?」


 ムツキがそう提案するが、ケットとクーは首を横に振った。


「昔、動物の犬伝いに聞いたが、魔人族側でもそういう話がちらほらあるようだ。遅かれ早かれ似たような状況が魔人族の領でも起きることを考えると最善とは言えんな」


「オイラも猫伝いに聞いたことあるニャ」


 ムツキはがっくりと項垂れる。


「そうか。似たようなルートとはいえ、2つのルートから話が上がっているとなると、可能性の排除ができないな」


「はあ……まったく……安請け合いは良くないな」


 クーは溜め息を漏らす。彼からすれば、捨て置くことが一番簡単な話だが、ムツキはともかくケットが引き受けてしまっている以上、妖精族としての約束事になり、それを反故にすることは避けなければいけない。


「すまん。どうしても、断れなかった」


「オイラも申し訳ニャいニャ」


「ごめん。私のせいで……」


 クーは首を再び横に振る。


「……主様やユウ、ケットを責めたいわけじゃない。何であれ、俺は主様の意志に従うと決めている。……ただ、小言くらいは許してくれ。じゃないと、骨を噛むくらいじゃこの気持ちは解消できん」


 ムツキはクーが骨をがじがじしているところを想像して見てみたいと思ったが、そんなことが言える雰囲気ではまったくなかった。


「ありがとう。ところで、ユウ。獣人族や半獣人族は今、どれくらいいるんだ?」


「うーん。どの獣人族や半獣人族も少数種族とはいえ、さすがに全員となれば、ムツキ村じゃ済まないよ?」


 ムツキの問いに、ユウは頭の中で人数をざっと数えて答える。


「小国1つ分か? 俺に国の管理なんて、とてもできないぞ? そんな器じゃない」


「そこは獣人族や半獣人族の中で決めてもらうニャ。人族の王ニャんて受け入れがたいだろうニャ。そもそも、ちょっとした村の管理でもご主人が所望のスローライフができニャくニャるニャ。束ねるってのはそんニャに簡単じゃニャいニャ」


 ケットのその話を聞いて、ムツキが急に机に突っ伏した。


「それならなおさら! この世界に来てまで働き詰めなんて嫌だ! スローライフを送るために生きているんだ!」


 その言葉を聞いて、ケットは少し呆れた顔になる。


「分かっているけど、そこまではっきり言われるとニャんだか複雑ニャ……」


「ごめん……」


「話を戻すぞ。で、これからどうするんだ?」


 クーの言葉にムツキが起き上がり、思案顔の後、口をゆっくりと開く。


「ナジュとサラフェ、キルバギリーには手伝ってもらうしかないな。ナジュ経由でプロミネンスにも少し裏で動いてもらえないか、聞く必要があるな」


 プロミネンスとは、赤の賢人と呼ばれ、ナジュミネが炎の魔王の頃に補佐役兼目付け役をしていた気の良い老人である。ナジュミネをムツキと出会わせた張本人であり、今でもたまにお茶をしに来る間柄である。


 しかし、ムツキが出したその提案に、ユウ、ケット、クーが唸る。


「うーん。上手くいくかなあ?」


「そうだな。プロミネンス、つまり、魔人族には何か見返りを用意するのか?」


 クーの言葉にケットが反応する。


「いやいや、それはマズいニャ。魔人族だけに見返りとニャると、人族が黙っていニャいニャ。秘密にしていても、情報が漏れた時点でマズいことにニャるニャ。それに魔人族全員じゃニャいニャら、魔人族内でも面倒ごとにニャるニャ」


「かと言って、見返りなし、というわけにもいかないか。……じゃあ、プロミネンスの助力は得られないな……」


 ムツキは困り顔になる。その顔に心苦しさを感じたユウが慌てて喋り始める。


「わ、私が全員をね、上手く連れて来られるように、運命の操作を……」


 次の瞬間にムツキがユウを制止する。


「それはダメだ。ユウのそれは何が起こるか、本当に分からない。全員を無事に連れて来られるのか?」


「うーん……」


「まあ、無理ニャ。いくつか、もしくは、下手するとすべてを……亡骸として連れてくることにニャるニャ。もちろん、ユウ様に頼らなくても、それが十分に起きうる話ニャのだけどニャ」


「ケットの言う通りだな」


 ケットが想定されるケースを伝え、クーがそれに同意する。


「迅速にかつ確実に全員を回収することができるか、だろうな。それも俺たちだけで……か……」


「仕方ニャいニャ。まずは鳥の妖精を全域に放って……」


 ケットが自分たちのできることから順々に作戦を立てていく。しかし、画期的な案ではなく、極めて基本的な作戦であり、外しようのない定型ともいえる。妙案などそう思い付くものでもない。


「それでも、やるしかない。みんな協力してくれ」


「やるニャ」

「やるしかない」

「がんばろー」


 ユウが意気揚々と両手を上げると、ムツキ、ケット、クーがふるふると首を横に振った。


「いや、ユウは大丈夫」

「ユウ様は要らニャいニャ」

「ユウは大人しくしてろ」


「……え、みんな、ひどくない!? ここは一致団結しようよ!?」


 少し不格好でも作戦が決まった安堵からか、少しばかりの冗談がやり取りされるようになった。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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