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mission 0
まるで夢の世界だった。
夜空に虹がかかり、もう雪の季節ではないと言うのに雪が降っている。
ふよふよと浮かぶ光球が暗いビルの並ぶ町並みを明るく照らす。
まるで魔法のような光景。これが現実だと言うのだから大したものだ。
最新の建築技術を用いたビル郡、騒音のない滑るように走る車。
科学とファンタジーの融合した世界がここにはあった。
白い息を弾ませ、小学生くらいの子が本屋の紙袋を抱きしめ過ぎて行く。制服から見て西区の生徒だろう。
もうすぐ外出禁止の時間になるだろうに反対の東区までご苦労なことだ――なんて言ってる場合でもないな。
白い息を吐きだし、俺も走ることにした。
入学初日から規律違反者なんて不名誉な称号は必要ない。