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春支度

作者: 昼咲月見草

沈丁花が咲いた。


ふわりと薫る芳香。


枝垂れ梅が咲いた。


たおやかに、上品に。


白梅(はくばい)が咲いた。


ぽつぽつと、ためらうように、可愛らしく。



春が来た。


今日の風はまだ冷たいけれど、春が来た。


図書館前の河津桜も満開で。


道のそばには水仙が並ぶ。


冬用のコートはやめて、でも暖かいインナーを着て。


今日は春の支度をしよう。


気の早い花たちに急かされて、軽やかな服を出そう。


つくしが顔を出して、通りを染井吉野の桜色が埋め尽くす。


そのときまではまだ油断できないけれど。


でも今日はもう春支度を始めよう。


きっと大丈夫、もう大丈夫と花たちが笑うから。


今年もまた騙されてやろう。


騙されたフリをして春を祝おう。


ここは常春の国だと。


幸せと喜びばかりの国だと。


花たちが歌うから。


だからわたしも一緒に歌う。


咲き出した彼女たちと一緒に春を歌う。


ここは常春の国だと。


幸せと喜びばかりの国だと。


冬は去り、これから春ばかりが永遠に続くのだと。



紅梅(こうばい)が咲いた。


馬酔木(あせび)が咲いた。


庭の待雪草が、鉢植えの福寿草が咲いた。


届いた桃の枝の蕾も、もうほころびかけている。


春が来た。



挿絵(By みてみん)

※家紋様からのいただきものです。ありがとうございます!

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