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0話 プロローグ ◆

作者の初小説&暇潰しで書いているので、矛盾等ありますがそっと指摘してほしいです。

(物語に影響の無いものは直していきます)


また、 個人的にハーレムは好きではないので書くかどうか悩んでいます。

出来るだけ違和感の無い物語が広がるよう努力していきますので、どうかよろしくお願いします。


 桜の時期が終わる4月後半。


 太陽が沈みかけ、教室全体がオレンジに染まる午後六時三十分。


 生徒は次々と帰り支度を整え、教室を出ていった。


 ちなみに俺もすぐに帰る……予定だ。



 俺は童貞で陰キャ。

 一緒に帰る程だった友達には1年前に裏切られ、女子からも陰口を言われる始末だ。

 

 清潔感を保ってるつもりではある。


 放課後。

 休み時間にロッカーの上でふざけている男子達も、教室だと言うのにボールを投げている野球部も、机に乗ってスマホをいじっている男女も、放課後にはいない。いくらか静かなこの時間帯は、結構好きだったりする。


 俺は明日の時間割を見ようと黒板に目を移す。

 いつもこの時間に教壇の周りで話している女子達は、相変わらず今日も元気だ。


 短く切られたチェックスカート。鞄にはこれでもかという程の大きなストラップ。濃い化粧は誰が見てもすぐ分かり、もはや隠す気はなさそうだ。爪は多彩に彩られ、髪はぐるぐるに巻かれて今でも絡まりそうである。 

 女子グループの中でもカーストを制覇している彼女らは、まるで猿かのような甲高い声をし、大声で笑う。


 その中の一人が俺からの視線に気づいたのかコソコソと、いや堂々と話し始めた。


 「え、なにぃ? あいつぅ。クソキモいわぁ」


 「え、こっちみてるんだけどぉ。まじキメェ」

 

 「キショすぎだわ死ね」


 前言撤回。やっぱり放課後は嫌いだ。

 ていうか別に見たくて見たわけじゃないし、どうしても視界に入るのだ。

 理不尽に貶され少しばかりイライラするが、一旦心を落ち着かせ黒板を見ようと体を動かす。


 が、見えない……。

 しかもさっきより見え辛くなったような気さえする。

 女子の壁は一向に崩れず、俺もそろそろ堪忍袋の緒が切れそうになった、


 その時だった。

 

 教室のドアが勢いよく音を立てて開く。


 あまりの勢いに、持っていたシャーペンが手から離れ机の上に落ちていった。


 俺含め、教室内にいた者の視線が一点に集中するーー。

 

 皆の視線の先に立っていたのは生徒会本部会長であり、この学校で一番有名な美少女、篠原楓しのはらかえでだった。



 「生徒は速やかに帰りなさい! いつまでも話していないで! それと神崎さん、そのメイクとマニキュア、校則違反です。明日の朝七時さに職員室まで速やかに行きなさい。生徒指導の先生が待っていますからね」


 「……ッチ。いこーぜ、だりぃし」


 「それなぁ」


 

 サラサラで黒いロングストレートの髪に、綺麗に揃えられた前髪。大きくも小さくもない丁度良い胸。白い肌に細い両足。きっと誰が見ても美少女に見えるだろう。

 

 そんな清楚系美少女と対象的な女子達は、大義そうにぞろぞろと教室から出て行く。その途中、わざと篠原にぶつかって去って行く者もいたり、俺でも聞こえる程の舌打ちをしていく者もいたり、女子が怒ると怖いということを改めて実感した俺であった。女子怖い……。


 そう思っているのも束の間、俺は気づいてしまった。この瞬間、この場にいるのは俺と篠原二人だけであることに。

 きっとこんな事この先一生ないだろうと、心の中で神に感謝しつつ、自分の気持ちを抑えてペンを握る。



 「君も、早く帰りなさいよ? この時期、暗くなるの早いんだから。」



と、急に話しかけてくる篠原。

 篠原が話しかけてきた……?! まじか……?


 俺のような低いカーストに位置する者は篠原のような人と話すことなんて出来ないと思っていた……。

 その様子を見たのか、首を傾げる篠原。



 「どうしたの?固まってるけど」



 少し嬉しくなりながらも冷静に、そこらにいる不良生徒との違いを見せつけるため俺は丁寧に返事をした。

 


 「あ、はい。もうすぐ書き終わるので、そしたら帰ります。心配してくれてありがとうございます」

 

 「うん。それでよし。あ、それともう一つだけ。君の名前、聞いてもいい?」


 「……全然いいですけど。俺、戸田隼人とだはやとです」


「うん、ありがとう。あ、私はーー知ってると思うけど一応。こほんっ……えっと、篠原楓です。じゃあ、私もう行くから」

 


 篠原は優しく笑う。


 その瞬間、俺と篠原の目と目が合った。


その笑顔はどこか懐かしく心が安らぐようで、こんなことを言うと気持ち悪いかもしれないが、心地よかった。


いや、篠原とは今日初めて話したし懐かしいとかあるのか……? いやでも本当だし……まあ、いいか。


そういえば篠原は男性嫌いで一匹狼だと聞いていたが、そんなことは無く意外と優しいのかも知れない。

 噂というのは勝手なものだな。いや、それとも俺だけに見せてくれた一面……なのか?!



 「なわけないかっ!」

 


 そう口に出し自分に言い聞かせる。

 窓の外を眺めるとさっき見た時はオレンジ色に輝いていた太陽も、今はもう紺色の空へと溶け込んで見えなくなっていた。

 俺は筆箱とノートをしまうとシンとした教室を見回す。


「やっぱり静かな教室が好きだな……」


 俺は思った。この時間がずっと続けばいいのに……と。



 そのときだったーー


 空がやけに明るくなっていくことに気付く。



 「なんだ……急に?! いきなり光がっ!」



 見たことのない、謎の光に世界が包まれていく。

 この時俺は無意識に、今までの人生を思い出していた。


 何故かは分からないが、死を予感したのかもしれない。

 次々に18年間の記憶がフラッシュバックされ、脳内で流れていくーー。


 それと同時にだんだんと視界がぼやけていき、俺の意識も遠のいていった。


 最後に、今日初めて話し合い、初めて目と目を合わせた篠原のあの優しい笑顔がフラッシュバックするーー。




 そして、


 遂に俺は気を失った。
















 











 


 



 



見ていただきありがとうございました。






※ この先 作者イラストあります ※
















挿絵(By みてみん)

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