第一頁目
最初に思ったこと。
「…なんじゃこの本」
そりゃそうだろう。
本が独りでに開くだの、その頁しか読んじゃダメだの。
規則が多すぎる。
【はじめに】と書かれた頁にもう一回目を通す。
でも何一つとして変わりはない。
…まぁそうだろうね。
普通に考えて何回読んでも本の文字が変わる訳ない。
常識だよ私、バカなの私?そうだよバカだよ。
ため息をつく。
ぱたんと本を閉じた。
「あー…もっかい屋根裏になおした方がいいかな…でも
めんどい」
机の上にぽーんっと本を放る。
ばさ。
「お、見事に着地したぜ」
黒い表紙がこっちを向いている。
と、タイミングよくお腹が鳴った。
一人暮らしの私はご飯を作ってもらう人がいない。
…当たり前だよいたら怖いよ。
つまり自分で腹ごしらえをしなくてはいけない。
立ち上がって台所に行く。
「よし、カレーにしよう」
カレーを煮ている間にお風呂にも入ろうとして後ろを振り返る。
本が開かれていた。
ぎょっとした。
ぱらぱら。
頁が勝手にめくれていく。
無論クーラーが故障しているので風は無い。
扇風機すらない。
窓も開いてない。
なのに次々とめくれる本の頁。
ソレを見つめたまま立ち尽くす。
ぱらぱら、ぱらり。
唐突に本の頁が止まった。
「え…っとぉ…?」
恐る恐る本を覗き込むと題名が書かれていた。
【第一読目】風呂場の鏡
「…えー…」
とても反応に困る。
だってその題名はないよ…。
今からお風呂行こうと思ってたのに…。
私は悩みに悩んだ末に本を取って布団に寝転がった。
どうせなら先に読んじゃえ。
えーいままよ!の精神だよ(?)。
私はその話を読み始めた。